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プロローグ

まったりゆっくり更新していきます

不定期更新です


 ギターを引けて、歌も上手い親友の織音おとは 司朗しろうと、身長、容姿、運動、学力、苗字どれをとっても平凡だが歌う事に関しては自信のある俺、佐籐さとう かけるは歌手を目指していて、今日もカラオケで99点台をいくつも叩き出し、満足気味に帰路へ着いていた


「くそぉ…今日は飛の勝ちかぁ…」

「これで501勝2分け499敗だな!」


俺と司朗は点数争いをしていて、少しでも点数が高かった方が勝ち点プラス1。歌手になるまでに勝ち越しした方が負けた方の言う事をひとつ聞くという賭けをしていた。過去2回引き分けたのは二人して100点を取ったのだ


「これが卓球なら俺の勝ちなんだけどなぁ」

「そんな制度は無い…というか卓球すらお前弱いだろ」

「なにっ…やってみなければわからないだろうが!」

「歌以外何もかも平凡なお前に敗れる私ではないのだ!ふははははは!」


男子高生二人がじゃれついてる様子を想像してみてくれ…むさ苦しい。


「次は勝つ」

「次も、勝つかなぁ〜」


勝者の余裕を見せつつ悔しがる司朗を見下ろす。ちなみに本当は司朗は身長が180あるので逆に見下ろされてる状態だ。


どっちが勝ってもおかしくはない。休日に予定がなければ時間を1時間と決めてカラオケバトルを繰り返している


「身長小さいくせに」

ボソッっと呟いていてイラッときたので、なんだと〜!?と戯おどけながら背中を押す

「やったなぁ!?」


──その瞬間…トラックが信号無視で突っ込んできたため、俺と司朗は全人類の約35%の確率で身に起こる交通事故を体験した



***



目が覚めたのだが、右目しか開かない

「左目…が?」

そこには闇が広がっていた。開かないのではなく見えなかったのだ


その後、意識が回復した俺は両親に事故のことを聞かされた。左腕の後遺症(動作障害)と左目の失明だそうだ

司朗の事を聞くと司朗は右腕の後遺症に加え、声を失ってしまった。


司郎のことを事を聞くと司朗は右腕の後遺症に加え、声を失ってしまっていた。


右腕の後遺症のせいでギターも弾けず、声が出ないので歌うことも出来ない。歌手への道は絶望的だ。

話を聞かされた司朗の顔は蒼白でこの世の終わりのような顔をしていた


「な、なぁ…司朗?」

『いいよなお前は歌えて』


それを見て俺心臓をグッと掴まれているような感覚に陥った。俺は 動けない。

司朗は紙にペンで文字を書いて会話続ける


『当たりどころが悪かったんだと。もしお前が押さなければ』…


そこまで書いて焦ったように髪を破り、一言、いや。一文だけ『ごめん』

と書いてそれきり司朗はペンと紙を置き、それ以上何も語らなかった。


俺が司朗を押したばかりに結果喉を潰してしまった。居眠り運転をしていたトラックが悪いのだが、もし押していなければ喉が潰れて無かったかも…いや、『もし』や『だったら』は最早意味をなさない。


どれだけ司朗が歌手になりたかったのは知っている。俺もなりたかったし、何より同じ夢を持って長い間過ごしたのだから。それ故により一層罪悪感は増える。


それ以上なにかするでも無く。いたたまれなく、司朗に少し寝ると伝えてカーテンを引いた




***



退院し、勉強の遅れに何とかついていこうと頑張りながらも事故のことは頭から離れなかった。司朗とは飯を一緒に食べたり映画を見に行ったり、多少ギクシャクはして気まずくはあるが何とか過している。


「司朗。昼飯食いに行こうぜ」


その日に限り司朗は何も喋らないものの、ひんやりとした棘のような雰囲気を感じた


「し、司朗?」

『うっさいな黙れよ! 目障りなんだよお前は!』

「!!」


病院の時とは比べ物にならない司朗の心の悲鳴を叩きつけられ、呆然していると俺を押しのけて司朗が教室を飛び出した


「まてよ! 司朗!」


司朗は雨の降りしきる屋上にいた。


「司朗…すまん。お前が苦しんでるのに…でも俺…」

『お前なんて消えてしまえ! 視界に入るな!』


理不尽極まりない八つ当たりに


───ブツっ


胸の内に抱えていた自制心の糸が切れた


「なんだよ! 俺だって歌いたいしお前とカラオケ行きたいのに我慢してるじゃないか! それにあの時だってお前が俺のこと馬鹿にしなければ俺だってお前を押さなかった!

悪いのは俺だけじゃない! なのに何でこんな態度とられなきゃならないんだよ! どうしてなんだよ! なぁ! 司朗! ……俺だって…辛いんだよ! 」


次の瞬間には司朗の拳が俺の頬を殴り飛ばしていた


「んだよ…やんのかてめぇ!」


頭に血が上った司朗と俺は取っ組み合いを続けた。

















しかし、それは突然の出来事に終わる。

互いに距離を置いて荒い呼吸に肩を上下させていると立ち上がった俺は足を滑らせ、脆くなった屋上のフェンスごと後ろに倒れた。


「うわぁああああああああああああああ」


落ちる瞬間見た司朗の顔は、絶望とも歓喜とも取れる非常に矛盾したひどい顔になっていた


叫び声を上げながら地面に吸い込まれるように落ちていき、死を待つだけなのに時間の流れが遅く感じられた。

思い出すのは二人で将来夢を語った思い出やカラオケで歌を歌ったり、騒いだりした思い出。


これが走馬灯って奴か…と納得していると

俺の意識は闇に落ちた
















***


(飛…?飛! 飛!)


八つ当たりなのもわかっていた。結果運が悪かったという他にしょうがないのもわかっていた。

けど…飛が落ちるなんて思わなかった…


飛が屋上から落ちてしまい、急いで安否を確認をするために駆け寄って下を見る


(飛…?)


濡れた地面には錆付き壊れた柵の残骸のみが残っていた


(ど、どういう事だ!?まさか昨日の呪いが…?)


「!」


身を乗り出し、下を確認するために体を支えていた指が滑って自分自身も下に落下した


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
















飛と司朗は行方不明になり、新聞では事故により歌えなくなった親友と心中?

オカルト雑誌では禁忌に手を染めた学生二人が神隠しに!

などという見出しで掲載されたりしたのだが、それはもう少し先の、物語とは関係の無い話である

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