芝居
ミケってリヴァイアサン?
リヴァイアサンと縁側でお茶を飲むおばーちゃんを想像する
ミケと名付けるおばーちゃんのネーミングセンスに突っ込むべきか
神に近いドラゴンをペットにするその強さを突っ込むべきか・・・
リヴァイアサンを見つめる、これがミケか
「ミケ・・・」
思わず口に出てしまった言葉に目の前のリヴァイアサンがビクッと反応したのを見逃さなかった
ふむふむ
確かつまみ食いで来なくなったとおばーちゃんは言っていたな
・・・これは・・・使える!
(みけちゃーん)
(にゃーん!じゃない!にゃに勝手に妾に語りかけてくるのじゃ!)
(あ、反応した。やっぱりミケちゃんだったのね)
(謀ったな!)
「ふはははははは」
ジェノの叩く釘の音だけが森に響く
(そんなミケちゃんにお話があるんだけどなー、ちょーっと相談に乗ってくれたらおばーちゃんに許してもらうようにとりはからうんだけどな・・・まぁ天下の海神様には必要ないですかね?いやー残念だなー)
(当たり前じゃ、妾を誰だと思っておる!
・・・で?)
(え?何がですか?)
(話とはなんじゃ?心の広い妾じゃ、話くらいは聞いてやってもよいぞ?)
(本当ですか?流石海神様!太っ腹です!ではとても頼みづらいのですが・・・ちょっとそこの高笑いしてる馬鹿にやられた振りしてもらえませんか?)
(・・・ふざけるでない、あんな人間に振りとは言えやられろと言うのか?妾を誰だと思っておる)
(ですよねー、やっぱり厳しいですよね)
流石に無理か・・・さてどうす
(とは言え妾も鬼ではない、そうじゃな・・・先ほどの話に合わせて・・・)
お?まさか本当に聞いてくれるとは思わなかった。期待していたとはいえ予想外だ、しかし一体どんな無理難題を・・・
(主様に1度だけ聞いた事がある。
都会にしかないといわれる珍しいすいぃつで、それはそれは美味と噂のぱるふぇとか言う食べ物・・・を献上するならばやってやろうではないか)
スイーツ?ぱるふぇ?・・・パフェ!?海神様安っ!
(ぱるふぇですね!畏まりました!)
(交渉成立じゃな)
むふーと鼻息荒い海神様
(で、妾は何をすればいいのじゃ?)
(ええとですね・・・ゴニョゴニョでお願いします)
(う、ううむ・・・や、やってみよう・・・)
「ふははははは!どうだ!どうだ!?効いてきたか?」
まだやってんのか、そしてうるさい
・・・
「ぐ、ぐわー」
リヴァイアサンことミケの芝居が始まった
しかし棒読みだな・・・本当にこれでジェノを騙せるかな?
「おぉ!まさか本当に効くとは!あの本で書いてあったことは本当だったんだな!
ふははははは!苦しかろう!
今楽にしてやる!」
えぇ?騙せた
けどそのセリフは正義の味方が言っていいセリフではないぞ
「おのれ人間め!」
ミケが右手を振り下ろしジェノに反撃をする
がやけに遅い
「遅い遅い!止まって見えるぞ!
はっ、まさか窮地によって俺の隠された力を発揮してしまっているのか?
一流の冒険者は相手の動きが手に取るように分かるというあれか!?」
私からも止まって見えるから違うかなー
ジェノが手加減しまくったミケの攻撃を掻い潜り腕に剣を突き立てる
ミケから血が吹き出
ガイーン!
あ・・・鱗が剣弾いちゃった・・・
流石にそこは手加減できないよね
「・・・」
「・・・」
睨み合うふたり
気まずいミケ
(どうすんのよ!これから!)
(妾に言われても困る!文句なら鱗に言ってくりゃれ!)
(なんとか誤魔化して!)
(う、うむ・・・やってみる・・・)
「ぐ、ぐわーやられたーたいさん!たいさん!」
「え・・・?」
森の奥に消えるミケ
あっという間に見えなくなる
「やっ、やったー!さすがゆうしゃ!みごとドラゴンをしりぞけましたね!」
「・・・え?あ・・・あぁ、俺にかかればドラゴンなぞこの通りよ!しかし、倒せなかった。まだこの辺りに潜んでいるはずだ
これから行ってトドメを」
「あー!大丈夫ですよきっと!だからその先にある薬草集めて帰りましょ!」
「いや、それでは村長に俺の力を見せれないではないか」
「もう十分堪能したので大丈夫です!」
「そうか?まぁそれならいいが・・・」
渋々といった様子で森の薬草を集めるジェノ
ふぅ、なんとかごまかせた・・・かな?
(娘よ、後で落ち合おうぞ)
(りょうかーい)
後始末も残ってるしね・・・