性的被害に遭ってから
詳しいところは別の小説で述べましたので(*1)、ここでは『以外』のことを。
上京して驚いたのは。性に傷を持つ女性が予想外に多かったということです。
高校時代。わたしの周りでは、性的行為を経験しないのが普通でした。いまはどうだか分かりませんが。で。
大学生になると性のトークとは無関係に過ごせないじゃないですか。飲み会のときに決まってそういう話になったり。わたしは。
自分が被害に遭ったあと、出会った女の子に積極的に打ち明けた結果、……同じく凌辱未遂の被害者が一人。最後までされた女の子が一人。
DVの彼氏と別れられない女の子や(ちなみに彼氏はめっちゃ人当たりのいいひと)。
電車に乗るたび、痴漢被害に遭って悩んでいる女の子もいましたね。取り立てて派手な格好をしているわけではないのに。
街を歩くたび、思います。わたしが知らないだけで。性に傷を持つ女性は。
もっと、もっと、多いのではないかと……。
かく言うわたしも、大学のときに五人くらいに明かした程度で、以降は全く語らずに過ごしています。傍から見ると本当に平和に恵まれて育った女性……なのでしょうね。
遠野の小説を読んだ方は、そうは思わないでしょうけども。あなたとわたしだけの秘密。
作中では書ききれなかった、『自殺』と『性の傷』がリンクする部分を述べていきましょう。思うに。性犯罪被害者にとってもっともむごたらしい事実は。
抵抗、できなかった自分自身への憤りが。
加害者ではなく。
被害者本人へと向かう。――これが。
性犯罪における最大の悲劇だと思います。悲劇って言い方が正しいかすら分からないです。被害者を更に追い詰める真実、と言うべきか。
よくねー。昔のサスペンスドラマなんかではねー。殺人の動機を掘る部分でかんならず出てくるんですよ。やめてー! って服びりびり破かれて抵抗する女が。
嘘をつけ。
……と、冷めた処女のわたしは思って見ていましたね。未経験でも分かるわ。人間、真の恐怖に触れると『フリーズする』ってことくらい。分からない男は自分よりも屈強な男に一度組み敷かれろ。だからね。
ドラマが嫌いになったきっかけはソレ。いっつもホワイダニットに組み込んで単純過ぎるっての。チャンネル変えるときに引っかかってアレだっての。アレ見るくらいなら森博嗣の小説読んどきゃあ良かった。
「……分かる。本当に、抵抗できないんだよね。固まっちゃって『マグロ』になっちゃうんだよねえ」……と。
同じく凌辱未遂の被害に遭った女の子と泣きながら自虐的に話すことで癒やされたこともありました。
事件の、記憶は、曖昧です。
一定期間を過ぎたのちに、断片的になりました。例えば。
つきまとう野蛮な手に、洗濯機のうえに逃げ込んで涙を流して。お願い、お願い、やめて……と懇願した場面(でもご想像どおり、わたしの願いは通じなかった)。
相手にいいようになぶられ眺めた天井のいろの孤独。……
その後。
思い返すたび。
台所の戸にしまってあるはずのナイフがわたしのこころのなかでギラつく。
殺意。そんな生易しい表現を借りたくない。わたしのこころの内側には。
すっぱだかで冷たいシャワーを浴びながら泣き続ける自分が存在します。
なんで、わたしだけ、――と。
消えることはないのです。……何故ならあの子も。
わたしのなかの大事な一部、だから。
憎悪に燃える自分も存在します。彼らの愚かしい行動によって生成された様々なわたし自身は、一生涯、消えることは無い。
あいつらに。子どもも生まれてハッピーな人生が送れてる……だなんて。
想像するだけで吐き気がします。残念ながら、DEATH NOTEが手に入ったら書きたい名前が二つ。
こういうふうに。
『怒り』が全面に出ている状態だと。負けるものかーと燃え上がって。自殺のことなんか考えません。厄介なのは。
こころが、壊死した状態。
情動が普段よりも感じられない……そういう状態のときです。
対処法は前に触れましたね。物語に触れて無理にでも引き起こすこと。蘇生措置とでも言うのか……。
まああとは。ほんとに危ないものは自分の周りから撤去すること。ハサミとかカッターとか連想させるものはとりあえず引き出しにしまう。
わたしのように。落とし込める方は日記とか。ノベライズするのも手ですけどね。ただ一般的な処置ではないです。
それにしても。
『セックス』は、時期が来れば誰でもする行為なのに。『レイプ』ってなると、世間様から、ものすごく汚い経験をした存在扱いされるのは一体なんなんでしょうね。……ニュアンス。伝わってますかね。
被害者が汚いんじゃないんですよ。
汚いのは、犯罪。罪を犯した側。なのに。
→レイプされた、ああ穢れてしまった、そうなのね、あの感じ。被害者の年齢が低いほどに世間の見なす『穢れ』度は上昇する。いやそれ決めるの無関係のおたくらじゃねーだろと。
被害者の側が、自分が穢れてしまったと自身を責め立てるのは理解できる。そしてそう思って欲しくないわたし自身も存在している。何故なら。
あなたは。絶対に、悪くないんだから。
どんな理由とて。人間が、ほかの人間の性を冒涜していい理由なんて、存在しません。わたしがほかにも理解できないのは。
加害者が被害者の顔見知りだったと知った瞬間。「それ女のほうにも落ち度があるよ」的な見方をする世間の風潮です。
元交際相手に暴行や殺害をされた場合の被害者の扱いって本当に酷いですよね。
ニュースでプライバシーの暴露の連続。尊厳ってものは、存在しないのか……!?
こればっかりは、憤慨しすぎて日常生活に支障が出るので、見ることができません。思い返すだけで腸が煮えくり返る。犯罪抑止って口実にも限度があるわ……。
遠野もね。つき合ってはいないけど、大学生の頃、変な男に絡まれたことはありますよ。
携帯とピッチを持っている頃で(時代を感じるねえ)、二台合わせて一日五十件~百件メールが来た。超怖かった。返信しないと「なんで返事しないの? ねえ暇?」……鳴り続ける携帯に頭っから布団被ってがたがた震えていた。一人暮らしだし、窓の外から見張られているみたいで恐ろしかった。
仮にわたしがあの男に惨殺されて。友達でした→だからわたしにも落ち度がありました。→同じグループの男の子だったから→元交際相手とか誤報道されたら死んでも……浮かばれんわ!
共通グループの別の男の子に「ましろが怖がってるよ」と伝えてもらって、一定期間経過後に沈静化しましたが……。
まあ。そもそも。報道には『誤報道』というものも、ありまして。
伝言ゲームをしてみると、いかに、口頭での伝達がいい加減なものかは、分かるでしょう? ――ですので。
直感で『違う』と思った情報は、鵜呑みにしないことです。大事なことは。
自分の目で、『確かめる』こと。真実というものを。
己の腹の底で「正しい」と思えることを実践すること……これ、すごく、大事です。
その腹の底の声が「自殺」になってしまうとしんどいんですが。それを阻止する方法を述べているわけです。
なにかいいアイデアあったら教えてね。
遠野の話は、続きます。
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*1……『なみだ、かわりに散るさくら』
http://novel18.syosetu.com/n9003r/
R18指定かけてますが特に15歳~22歳の女性に読んで頂きたい。




