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恐怖の録画撮り

作者: 神名代洸

いつものように夜9時すぎると布団に入る僕は朝も起きるのは早い。

飼っている猫達に餌をあげなくてはならないから。

今日も早く寝なくちゃと思い、布団に入るが、なぜか今日に限って眠気が起きてこない。

寝なければ朝が辛いのはわかってはいるのだが…。

自宅は築30数年という建物だが、手入れは行き届いており、快適だ。

ただ問題があるとすれば、僕には見たくないものが見えてしまうということくらい…。

家族でも見える人はいない。

母さんは昔、学生時代に見えていたと言っていたからその血を色濃く受け継いだか?

妹は見えない様だ。

そんな話一度もしたこともなかった。

なぜそんな風になったのかはわからない。

或る日突然だった。

突然見える様になり、その存在を知ることになるなんて夢にも思わなかった。

そもそもそんなものの存在を信用していなかったのに…。


そんなある日、僕はいつもの様にテレビを見ていた。テレビでは売れっ子芸人が恐怖体験を話すというコーナーがやっていた。大して興味もなかったが、チャンネルはそのままに飲み物を取りにキッチンへ向かった。

そしてそのまま見始めた。

その時何気なく周りを見たが特に変わったところもなかった為、大して気にもせずに笑いながら見ていた。

「こんなこと本当にあるわけないだろ?何でわかんないのかなぁ〜。視聴率欲しさでテレビ関係者は何でもやるんだな。」

などといろいろ考えてしまった。

そんなこと気にする必要もなかったのに…。


その時だ。

突然携帯が鳴ったのは。

こんな時間にかけてくる相手など覚えがなかった。番号も非通知だ。

でようかでまいか迷ったが、何度も鳴り続ける音楽に諦め境地で電話に出た。相手は知らない人からだった。

「どちらさまですか?」

「………。」

「もし、もし?」

「ザーッ。」

「何だよ、薄気味悪いなぁ。」だが僕はその時にはまだ何が起こるのかわかっていなかった。

不気味な電話はすぐに切り、またテレビに夢中になった。テレビで盛り上がるにつれ、僕は背後に誰かいる気配を感じた。一人暮らしではない為、家族の誰かが来たのだろうとそう考えていたのだが、一向に挨拶すらない。

で、振り返ったが、だーれもいなかった。

「何なんだ?今の。」

画面内では霊が出たとされる場所で検証実験がされており、悲鳴をあげる芸人達。

その時僕も背筋が凍りつく様な感じがして振り向かない、振り向かない…と何度も頭の中で叫んでいた。

しかし、体は何故か背後を振り返ろうとする。


怖い。こわいこわいこわいこわい。


目をぎゅっとつぶっていたが、体は完全に背後を向いてしまっている。あとは目を開けるだけだ。

心臓がばくばく言っている。

少しずつ薄目から始まっていったのだが、目の前に現れたそれは髪の長い女性だった。背後を向いている。その姿が徐々にこちらを向こうと動き出す。むくな!こっちを向かないでくれ!そう願っても願いは届かずこちらを向いて立ち止まっている。

しかし、突然早足になったかと思うと覗き込む様に下から顔を上げている。姿はうっすらと見えていたので諦めて目を開けるとそこに現れたのは…。

血だらけで顔が半分つぶれた姿だった。

あまりの恐怖に僕はテレビもそのままに気を失ってしまっていた。


気が付いた時には髪の長い女は消えていた。

恐怖映像も終わっていた。

一応テレビは録画撮りしていたので、見直してみることに…。

携帯が鳴った時間は始まってちょうど1時間ほど経った頃か。

そして見てみた…。

すると確かに写っていたではないか。僕が見た女性の霊だ。僕は怖くなってきてすぐに録画撮りした番組を消した。

すると今までのことが嘘の様に体も軽くなり普通の日常がおくれている。


そのことがあって僕は2度と恐怖番組を録画撮りするのをやめた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 怖かったです。自分には関係ないと思っていても、実際遭遇してみると、みんな信じてしまうんですよね。
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