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ブレイブ クロス〜調律者は運命を奏でる〜  作者: くろのわーる
第一章

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第5話:冒険者の基礎知識

「身体を使った訓練は明日からとして、その前に基本的な事を教えていくぞ。」


「はい。お願いします」


「まずは成長率についてだ。」


「(成長率?確か女神様の話しだと俺の成長率はかなり高くしてあるってことだったな)」


「成長率は9段階に分かれている。わかりやすいように紙に書いてやる。」


SSS=20

SS=15

S=10

A=7

B=5

C=4

D=3

E=2

F=1


「このようになっている。一般的な人の成長率の平均はCだ。」


「Cが平均て意外と低いんですね。」


「そうでもないさ。9段階に書いたが上の2つ、SSS、SSは種族特性みたいなものだ。」


「種族特性ですか?」


「ああ、例えば、獣人族は身体能力に優れ、ATK、DEF、SPDの成長率が高い代わりにINT、RESが低く魔法が苦手なやつがほとんどだ。他にエルフ族は魔法系が得意な反面、身体能力が低い。」


「ただ今、言った獣人族やエルフでも実はSS止まりだ。成長率SSSってのは基本的に魔物どもの為にあるクラスだな。」


「魔物ってそんなに強いんですか!?」


俺は不安に駆られる。


「さっきも言ったが種族特性だ。魔物は多種多様で特性が強く出やすいだけだ。これも分かりやすくいうと、例えば、アイアンゴーレム、こいつはアホみたいに固くてDEFの成長率がSSSの代わりにSPDが最下位のFクラスだ。」


「対処法はいくらでもあるから安心しろ。」


「はい。」


俺はひとまず安心する。


「話を戻すぞ。成長率を見極めるにはレベルアップ時にステータスを確認すれば、自身の成長率を知ることが出来る。」


「(10ずつ上がっていたから俺はオールSってことか、女神様のいう通りかなりのハイスペックという訳か。女神ルシリス様ありがとう。)」


「ステータスの中で高い成長率を基に自分に合った職業を選択して長所を伸ばしていくのが今の時代の主流だな。もっとも、特化型と呼ばれるスタイルになりやすい為、複数人でパーティーを組み、足りないとこを補っていくことになるな。」


俺はゲームのアタッカー、タンク、ヒーラー等の役割を思い出していた。


「その他に反主流として短所を補うスタイルだな。冒険者ってはいろいろな出来事に対処していかなければならない時があるからな。苦手分野は少ないほうが良い。」


「明確に数値としてステータスに影響が出る短所をどうやって補うんですか?」


「いい質問だ。」


ヒューイは嬉しそうな顔をしていた。


「答えは職業だ。」


職業?俺はポカーンとした顔になる


「ハハハ、職業レベルが最大になるとその職業にあったステータスに常に補正がかかるようになる。冒険者の間では職業神の祝福なんて言われているな。」


「(職業神・・・女神様以外にもいるのか。)」


「これも分かりやすく教えてやろう。」


「さっき、チラッと見たがクルスの職業は拳士だな?」


「はい」


「拳士をマスターすると常にDEFに20%の補正が付くようになる。他にも魔術師ならINTに剣士ならTECに20%の補正がかかる。」


確認の為に聞き直す。


「それはマスターさえしてしまえば、違う職業でもですか?」


「ああ、常にだ。」


予想以上に職業は重要だと認識する。


「そして、下位職業は20%、中位職業で30%、上位職業で40%、最上位職業は60%という具合に補正がつく。」


「当然、高ランク職業になればなる程、難しく職業によっては素質や才能が必要なものもあるから冒険者の中にはひたすら下位職業を鍛えているヤツらも少なくないのさ」


「なるほど」


「俺はお前に職業指導までしてやる気はないから自分の能力を考えて選択するんだぞ。」


「はい。」俺は素直に頷く。


「次はスキルについてだ。スキルは職業と密接に関係していることは知っているか?」


ヒューイさんに問われ、俺は答える。


「はい。確か職業に応じて覚えれるスキルが決まっているとか」


「半分、正解だな。」


「半分ですか?」


「スキルは職業に関係なく覚えることが可能だ。ただ、剣術のスキルを覚えたかったら剣士の職業で剣を振るのが一番早いし、スキルレベルを上げたいのなら尚更だな。」


「違う職業だとどれくらいの差が出るんですか?」


「一般的には倍の努力が必要と言われているな」


「(倍か・・・俺は女神様によって仕様が違うからかなり楽だけど、職業が増えないと覚えれるスキルも増えないから職業を増やすことに重点を置いた方が良さそうだな)」


「まあ、スキルと言ってもいろいろあって特にレアスキルっていうのは努力だけではどうにもならないものもあるからな。無理に覚えようとしても無駄に終わることの方が多いから注意しろよ!」


「はい。ちなみにレアスキルってどんなものがあるんですか?」


「有名なスキルだと鑑定とかアイテムボックスだな。他に剛力、鉄壁、流麗、俊足、覚醒のスキルは各ステータスを2倍にする効果があるからかなり、重宝されるな。後は聞いた話では過去に存在した勇者が転移魔法を使えたって話だな。」


「(アイテムボックスや特に転移魔法は人になるべく知られないようにしないとな。まだ、覚えてもいないけど。。。)」


「次は魔法についてだが」


「(待ってました!魔法!」


「魔法は専門じゃないから悪いがこの本を読んで理解してくれ。知り合いで魔法に詳しいヤツをそのうち紹介してやる。」


カウンターの上にたてかけてある本の一冊を手に取り渡してくる。


本を受け取り、タイトルを見る。


「魔法の心得」


ヒューイはエミリアさんが持ってきていた飲み物を一気にあおると俺に話し掛けてくる。エミリアさんはいつの間にか席を外しており姿が見えない。


「ところでクルス、ここまで話しを聞いてどういうスタイルにするか、だいたい決まったか?」


俺の考えはこの子供の身体では体格で劣ることがあるであろうからスピードを生かした戦闘スタイルにしようと思い、自分の考えを伝える。


「そうだな。用紙にも特技が体術と短剣術と書いてあったからな。体術と短剣術は相性も良いし、スピードを生かすなら良い選択だろう。ついでにお前の鍛え方の方向性も決まりだな。」


俺からも気になったことを聞いてみる。


「気になったことがあるんですけど、聞いてもいいですか?」


「おう、遠慮なく聞いてくれ」


「さっきから冒険者を1人も見かけないんですけど。」


「・・・ああ、このミト村を拠点に活動している冒険者は商隊の護衛で今朝、出発したところだ。」


「そんな大人数で出発したんですか?」


「・・・いや、4人だ。」


「・・・」


「言っておくがこのギルドの冒険者は俺を入れて5人だ!」


「・・・・・」


「え〜と、僕のイメージではたくさん冒険者がいてワイワイガヤガヤしているのを想像したんですが。。。」


ヒューイはバツが悪そうに話し出す。


「このギルドは出来てまだ、1年ちょっとでな。このミト村に冒険者ギルドが出来たことすらあまり知られていなくて、大半の冒険者は隣の森林都市で活動しているのさ」


「ヒューイさんは左遷させられたんですか?」


「お前は子供の癖にいらん言葉を知っているな。はぁ〜」


我ながら、さすがにこの質問はなかったな〜反省、反省。


「一つ言っておくが左遷ではないからな。」


「俺は元々、このミト村出身でな。農家の三男として生まれたんだが当時、水不足やなんやらで不作が続いていて家の負担を減らす為にお前と同じ12才の時に村の同じような境遇のヤツらと共に冒険者になったのさ。」


「そんなヤツらと苦労しながらも冒険者を続けてAランク冒険者になり、それなりに名を知られるようにもなったが俺もいい年で蓄えも結構あるからな王都の本部ギルドで受付をしていたエミリアと結婚を期に生まれた村でのんびりと狩りでもしながら過ごそうと思っていたところ、この村に冒険者ギルドを作ることになってな、ギルドマスターをやらないかと要請を受けたのさ。」


そういう経緯があったのか。


「ヒューイさんAランク冒険者だったんですね!すごいです。」


そこで奥で何か作業をしていたエミリアさんが戻ってきた。


「そうよ。旋風剣のヒューイと言えば、Aランクパーティー風の守護者の名とともに今でも有名ね。」


「二つ名持ちなんですね。風の守護者っていうのは?」


「ヒューイがリーダーをしていたパーティーでそのメンバーが今のところ、このミト村の冒険者たちね。」


早く会ってみたいな。


「まあ、昔のことだ。それより奥で何やってたんだ?」


「ふふふ、今日はクルス君が冒険者になった記念すべき日だから、ごちそうを作っていたのよ。」


確かに良い匂いがする。


「そういうことだから少し早いけど、準備するから夕食にしましょうね。」


考えてみれば、異世界に来てからエミリアさんが用意してくれた飲み物しか口にしていない。


俺は感謝の気持ちでエミリアさんに手伝う旨を伝えると喜んで奥に連れて行かれた。


「職業:料理人が選択可能になりました。」


料理5SP

味覚強化5SP

TEC強化100SP


料理が出来上がり、3人で食卓を囲み、エミリアさんとヒューイさんが出会った話しやヒューイさん率いるパーティー風の守護者がダンジョンに挑んだ話を聞いているうちに外は暗くなっていった。


そこで俺は重大なことを思い出し、思わず声をあげてしまう。


「あーーーっ!!」


そんな俺にビックリし、2人が俺を見つめてくる。


「宿屋、決めてなかった!」


2人はポカーンとするとお互いに顔を見合わせ、笑い出す。



「「はははっ」」



笑う2人を無視して質問する。


「今からでも宿屋に泊まれますかね?」


エミリアさんが答えてくれる。


「ええ、余裕で泊まれるわよ。だってここだし。」


「ん?」


「そもそもこの村は小さいし訪れる人もほとんどいないから宿屋はないのよ。」


「んん?」


「代わりにギルドが受け入れているから安心してね。」


「え〜と、ギルドが宿屋もやっているんですか?」


「そうよ。2階が宿泊用の部屋になっているの。」


「良かった〜危うく野宿する羽目になるかと思いました。」


「クルス君だったら宿代、無料でいいわよ。」


ここはきっちりと断っておく。


「それはダメです。これからサポートしてもらって宿代まで払わないのは甘え過ぎなので払わしてください。」


「そうだな、これから冒険者としてやっていくわけだから良い心掛けだ。ただ、無理せずに苦しくなったら遠慮なく言えよ。」


「はい。」


優しい、この2人との出逢いに感謝だな。


その後、エミリアさんに部屋まで案内してもらった。


部屋は4畳ほどの大きさでベッドと小さめな机があるのみだ。


エミリアさんから借りたろうそくの代わりの魔道具を机に置き、魔法の本を読み始める。


魔法には火、水、風、土が基本属性で上位属性に

爆裂(火+土)

雷鳴(火+風)

氷結(水+風)

樹木(水+土)

そして、光と闇があり、人により得意な属性や苦手な属性がある為、すべて習得出来るとは限らない。

特に光と闇を扱える者は珍しいみたいだ。


その他、基本属性以外の魔法に、精霊、治癒、結界、付加、召喚等、色々あるようだ。


俺は本に目を通し終わると静かに閉じた。


「(職業:魔術士が選択可能になりました。)」


魔力感知5SP

魔力制御10SP

火魔法5SP

水魔法5SP

風魔法5SP

土魔法5SP

int強化100SP



「そろそろ、寝るかな。」


そして、異世界での長い1日目が過ぎた。



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