第50話:転移魔法
無事にサイクロプスを倒すことに成功した俺とヒューイさんは一旦、休息の為に仮拠点の穴ぐらで休んでいた。
「はぁ~」
サイクロプスとの戦闘で見事なまでに砕け散り、柄の部分だけになってしまった愛用のダガーを見つめ、俺はため息を吐く。
ピノが物珍しそうにテーブルに置かれている柄だけになったダガーでじゃれるようにチョイチョイと手を出して遊んでいる。
「クルス、そう落ち込むなよ。武器っていうのは消耗品だからな、いずれは壊れる物だ」
ヒューイさんはそうは言うがせっかく手に馴染み始め、愛着が湧いてきていたというのに武器を失うことが初めてで経験に乏しい俺にはすぐには「はい、そうですか」とはいかない。
例えるなら気に入り始めたケータイが壊れるようなものだ。・・・たぶん。
「それに今回の探索でミスリル銀を手に入れていたし、新しく武器を新調したらいいさ」
ヒューイさんの励まし&アドバイスを受けて薄情なことに確かにそうだと思い、浅い穴を掘り残った柄を埋めて手を合わせておく。
「ところでヒューイさん、今回倒したサイクロプスっていくらくらいになりますかね?」
「切り替え早ぇな・・・」
ヒューイさんが少し引いているが気にしない。
「そうだな・・1体丸々だから金貨で4、500枚っていったところか」
「えっ!?そんなにですか!?」
「ああ、サイクロプスの皮は防具にすると自己修復のスキルが付くから高性能で人気があるんだ」
優秀な素材なんだな。
「素材は沢山ある訳だし、まとまった金も手に入るから武器を新調するついでに防具も新調したらどうだ?」
パーティー魔拳のレオンさんとの闘いで俺の防具は腕当ては裂かれ、その他の防具もメンテナンスをしているとは言え、ボロボロだ。
確かに替え時なのかもしれない。
「そうですね、そうします」
「それとな装備を新調するついでにサイクロプスを森林都市で売却してきてくれないか?」
「構いませんよ」
「それは助かるぜ。なんせミト村の小ギルドではサイクロプスは手に余るからな。ハハハ」
確かに職員はヒューイさんとエミリアさんしかいないから持ち込まれても困るだろうな。
「それじゃあ、もう少し休憩したらミト村に帰るとするか」
俺は返事をして休息がてら今回の成長を確認する。
クルスLV:110
魔闘士LV:60/70
ガラス職人LV:40/40
HP:3310
MP:2220
SP:4085
ATK:1332(+90%)
DEF:1110(+80%)
INT:1221(+80%)
RES:1110(+50%)
TEC:1110(+180%)
SPD:1110(+110%)
LUK:300
☆剣士、☆戦士、☆盾士、☆重戦士、☆槍棒士、☆弓士、☆短剣士、☆拳士、☆狩人、☆冒険者、☆魔術士、☆治癒士、☆錬金術士、☆設計士、☆大工、☆細工師、☆料理人、☆画家、☆縫製師、☆造形師、☆双剣士、☆魔導師、☆ガラス職人
アイテムボックス☆
地図+Lv:MAX
製図Lv:MAX
描写Lv:MAX
完全感知Lv:MAX
完全遮断Lv:MAX
危険察知Lv:1/10
魔拳皇術Lv:MAX
魔剣皇術Lv:MAX
魔槍皇術Lv:MAX
夜目Lv:MAX
魔力眼Lv:MAX
無音歩行Lv:5/10
縮地Lv:MAX
無拍子Lv:MAX
冷静沈着Lv:MAX
4大要素魔法Lv:MAX
4大上位魔法Lv:MAX
回復魔法Lv:MAX
錬金術Lv:MAX
魔力制御Lv:MAX
自然操作Lv:MAX
4大要素纏衣Lv:MAX
MP消費半減Lv:MAX
HP超回復Lv:MAX
MP超回復Lv:MAX
絆の力Lv:MAX
毒無効Lv:MAX
麻痺耐性Lv:MAX
まずはマスターしたガラス職人を家具職人に入れ替える。
そして、SPが結構貯まっているので消費することにする。現在、修得可能なスキルは以外の通りだ。
遠目5SP、暗視5SP、隠密5SP、罠設置5SP、細剣術5SP、大剣術5SP、斧術5SP、棍棒術5SP、鞭術5SP、棒術5SP、弓術5SP、盾術5SP、暗殺術10S、魔弓術5SP、騎乗5SP、紡績5SP、裁縫5SP、転移魔法500SP、複数属性同時操作15SP、溶岩操作10SP、雷操作10SP、氷結操作10SP、樹木生成10SP、精神集中20SP、命中10SP、レジスト10SP、テイム5SP、従魔強化10SP、味覚強化5SP、視覚強化5SP、爆裂纏衣15SP、雷鳴纏衣15SP、氷結纏衣15SP、樹木纏衣15SP、ノックバック5SP、ノックバック耐性5SP、火耐性10SP、水耐性10SP、風耐性10SP、土耐性10SP、爆裂耐性10SP、雷耐性10SP、氷耐性10SP、樹耐性10SP
取得可能スキルを見渡して俺はついにあのスキルを取得することを決める。
それは転移魔法だ!転移魔法Lv:MAXまでに必要なSPは足りているので一気に2750SP消費して取得する。
500+450+400+350+300+250+200+150+100+50=2750SP
「(転移魔法がLv:MAXになりました)」
脳内アナウンスと共に使い方が流れ込んでくる。
どうやら一度行った場所ならば頭の中に思い浮かべるだけで行けるようだ。
とりあえず、残りは1335SPになった。
次は検討した結果、前から欲しかった複数属性同時操作を825SP消費して取得することにした。
「(複数属性同時操作がLv:MAXになりました。自然操作と統合され、自然複数操作になりました。)」
後は中途半端に上げていた無音歩行のレベルを最大にして200SP消費する。
「(無音歩行がLv:MAXになりました。回避、無音歩行、縮地、無拍子が統合され闘神歩行になりました。)」
なんかすげーのになった。
残りの310SPは残しておく。
新しいスキルを取得しているとそこそこ時間が経ったようでヒューイさんから出発すると声をかけられたが俺は転移魔法を試してみようと思っている。
問題は伝説級の転移魔法が使えるようになったことをどうやって切り出すかだが俺の一番の理解者であるヒューイさんなら普通に受け入れてくれるだろうと信じて口を開く。
「ヒューイさん」
「おう、どうした?まだ、休憩が足りなかったか?」
「いえ、そうじゃなくてミト村に早く帰る方法があるんですけど、試していいですか?」
「ん?まぁ、構わないが・・・」
俺はテーブルの上で丸まっているピノをフードへ入れてヒューイさんの肩に手を置いて大森林の入口を思い浮かべる。
「転移っ!」
「えっ!?」
俺が転移と発した後、ヒューイさんがギョッとした目付きで俺を見てきたがすぐに周囲がぶれるように移り変わっていき、あっという間に大森林の入口に立っていた。
「じゃあ、ミト村に帰りましょうか」
俺はいかにも当たり前みたいな態度で帰ろうと促す。
当然、ヒューイさんは事態がまだ飲み込めていないようで辺りを見渡しては俺の方を見て口をパクパクさせていた。
「(あ~、エミリアさんの手料理楽しみだな~)」
遅れること数秒、ヒューイさんは俺に対して何か言いたそうな顔をしながらも共にミト村に帰還したのであった。




