第2話:異世界に降り立つ!
無事に異世界へたどり着き、まず自分の身体を確認する。
新しい身体だけど、特に違和感は感じないな。しいて言うのなら目線が低くなったことくらい。
身体の感覚を確認していると突然、聞き覚えのある声が頭に響く。
「新しい身体の調子はどう?」
すぐに女神の声だと気付き、返事をする。
「いい感じです。」
「それは良かったわ。それじゃあ、実地についたことだし、簡単に説明してあげるわ。」
「早速、ステータスオープンって言ってみて。声に出してもいいし、頭の中で思っても大丈夫よ。」
俺は言われた通りに声に出して言ってみる。
「ステータスオープン!」
名前:
職業:
副業:
SP:30
Lv:1
HP:40
MP:30
ATK:20
DEF:20
INT:20
RES:20
TEC:20
SPD:20
LUK:300
女神の祝福
目の前に半透明の液晶のようなものが映し出された。
内心で少し驚いていると女神からさらに説明が入る。
「まず、一番上の名前のところだけど、自分で好きな名前を念じてみて。ただ、あなたが住んでいた日本の名前ではかなり浮くと思うから気をつけてね。」
そう言われ、自分の名前を考える。
こういったことは悩んでもなかなか決まらないのでTVゲームでよく使っていた名前、クルスにしようと思い念じてみると名前の欄にクルスと表示された。
「上手く出来たみたいね。次は職業欄の説明ね。では、あなたに渡した魔法の袋からナイフを取り出してみて。出し方は手を入れて念じるの。」
魔法の袋へ手を入れてナイフと念じてみる。そして、手を袋から出してみるとさっきまで何もなかった手にナイフが握られていた。
「取り出せたみたいね。じゃあ、そのナイフをもったまま軽く振ってみて。」
言われた通り、ナイフを振ってみる。
ビュッ!!
「(職業:短剣士が選択可能になりました。)」
「職業選択が可能になったら、同じように念じてみて。」
今でと同じように念じてみるとステータスの職業欄が短剣士になった。
名前:クルス
短剣士Lv:1/40
副業:―――
SP:30
Lv:1
HP:40
MP:30
ATK:20
DEF:16
INT:16
RES:16
TEC:20
SPD:24
LUK:300
「ステータス値が変わりましたけど、これが職業補正ですか?」
「そうよ。職業の特徴によって値が変わるの。短剣使いは下位職業にあたるからステータス値が全体的にマイナスになってしまうの。」
「じゃあ、上位職業になればなるほど、プラスになるんですか?」
「その通りよ。だから、頑張って上位職業を目指してね。」
俺はふとナイフを振っただけで職業が増えるならと思い、いったんナイフをしまい拳を握り、ボクシングのようにワン・ツーを放つ。
「職業:拳士を選択可能になりました。」
「あら?早くもこの世界のシステムを理解したみたいね。」
「格闘系の職業を覚えるかなと思い、やってみただけなんですけどね。」
「じゃあ、少しだけアドバイスしてあげるわ。だいたいの職業は今のように行動すれば、覚えられるんだけど中には特定の条件を満たさないと覚えないものもあるから気をつけてね。例えば、特定のスキルを持っていないとダメとかレベルがいくつ以上とかね。」
「わかりました。頑張っていろいろ覚えてみます。」
話が一段落したところでさっそく副業をセットしてみる。
職業設定でメイン職業を拳士にし、副業を短剣士にしてみる。
名前:クルス
拳士:Lv1/40
短剣士:Lv1/40
SP:30
Lv:1
HP:40
MP:30
ATK:20
DEF:24
INT:16
RES:16
TEC:20
SPD:20
LUK:300
女神から補足が入る。
「ステータスに反映されるのはメインの職業のみよ。」
「では、なんの為の副業ですか?」
「大概の人は一つずつでしか職業Lvを上げられないのだけど、副業枠があると二つ、つまり人より2倍の速さで成長出来るってことよ。」
「経験値10倍もあるし、かなり優良ですね。」
「私があげたチートの凄さがわかってきたみたいね。」
「はい!!」
俺の返事を聞き、女神はスキルについて話し始めた。
「では、スキルについて教えるわね。と言っても30SPあるし、使って覚えてみましょう。覚え方は今でと同じようにスキル欄を表示するに念じてみて。」
今回も言われた通りに念じてみる。
すると現在取得可能なスキルが表示された。
転移魔法500SP
アイテムボックス600SP
体術5SP
短剣術5SP
回避5SP
カウンター5SP
軽業5SP
投擲5SP
胆力5SP
DEF強化100SP
SPD強化100SP
「あなたが今、取得可能なスキルはこれだけね。そして、スキルの後ろの数字が取得に必要なポイントよ。」
まだ、2つしか職業選択出来ないから少ないのは仕方ないとして、転移魔法とアイテムボックス必要ポイント多っ!!!
「当たり前だけど、レアなスキルほど必要ポイントは多くなるわよ。」
今、取得出来ないスキルに悩んでも仕方がないので回避を取得してみる。
「(回避スキルを取得しました。)」
さっそく、ステータスで確認してみる。
回避Lv1/10
もう一度スキル取得欄にして確認すると、回避が10SPに増えていた。
すかさず、女神から説明が入る。
「スキルはレベルが上がるほど、必要ポイントが増えていくわ。ただ、スキルによって一度の取得で済むものもあるわ。例えば、アイテムボックスとかね。」
「後は転移魔法は初め多くて、レベルが上がるにつれて必要ポイントが減っていく珍しいパターンね。」
それを聞き、俺は少し安堵する。
残り25SPも使っておこう。
結果、こんな感じになった。
体術Lv1/10
短剣術Lv1/10
回避Lv2/10
胆力Lv1/10
「ステータスは見たままで特に説明は要らないと思うから省くわね。」
「最後は持ち物について簡単に言うわよ。」
魔法の袋の中に入ってる物を教えてもらった。
これと言ってスゴイ物はなく、ナイフ一本と着替え、一週間分と当座の資金として一般家庭が普通に1ヶ月、暮らせるお金が入っていた。
「一通り、説明は終わったけど何か質問とかあるかしら?」
「現在地はどこなんですか?」
「今いる場所はオーランド王国の南部にある炎竜王の山の麓に広がる大森林よ。」
「炎竜王って・・・!?この場所は大丈夫なんですよね?」
「大丈夫よ。炎竜王はほとんど、火山から出て来ないからむしろ、遭うことの方が難しいでしょうね。」
「今いる場所は大森林の外苑部に近いところで魔物も低級のものしか出ないから安心して。
ただし、火山に近づくにつれ魔物は強くなっていくから気をつけてね。」
「はい。分かりました。」
「他にはあるかしら?」
「これと言ってないですね。」
「わかったわ。では異世界生活頑張ってね。間違っても地球の神がチートを授けた勇者なんかにやられたりしないでね。」
「(地球の神と仲悪いのかな?)」
最後に村の方向を教え、女神は戻っていった。