第19話:夜の大森林
森林都市を出て、ミト村に続く道を歩いていく。
「ミャ〜!」
ピノが珍しく、フードから降りたがっている。
降ろしてあげるとぴょこぴょこ跳ねるように俺と歩き出した。
「(何、この子!ヤバイくらい可愛いんですけど!)」
一緒にピノを見ながら歩いているとふとピノが走れるのか気になってくる。
なので少し試してみることにする。
「ピノ、ちょこっとだけ走ってもいいか?」
「ミャ〜!」
Yesと勝手に捉え、軽く駆けてみる。
すると一生懸命についてくる。
可愛い過ぎる!
もう少しだけ速度を上げてみる。
なんとかついて来れるみたいだ。
どうやら、まだ体が幼すぎてステータス値を十分に発揮出来ないようだ。
こんな可愛い子に無理は禁物なのでまた歩く速度に戻すと疲れたのか、足にしがみついてくる。
たまらず、抱っこして優しく撫でてからフードに入れるとすぐに丸まってしまった。
心の中でお疲れ様と言い、帰路を進む。
さらに進む。
ひたすら進む。
「・・・退屈でしんどい。」
何か気が紛れることを模索する。
道から外れ、大森林の中に入っていく。
退屈しのぎに大森林の中を狩りをしながらミト村を目指そうと思う。
我ながら馬鹿な発想だ。
いつものようにスキルを発動させて進む。
すぐにゴブリン達を発見したので狩るために近づいて行く。
視認出来る距離になったのでまだ試していなかった上位属性魔法を使う。
まずは爆裂魔法から試してみる。
「(フレアアロー!)」
ゴブリンの一体に向かって真っ直ぐ飛んでいく。
ゴブリンに突き刺さったと思った瞬間、ゴブリンがバラバラの肉片となって飛び散る。
完全にオーバーキルだった。
「(あれは魔石を回収出来ないかも・・・南無阿弥陀)」
気配完全遮断のおかげで残りのゴブリンにまだ認識されていないようだ。
続いて雷鳴魔法を使う。
「(ライジングアロー!)」
今までのアロー系魔法の中で恐らく最速で飛んでいく。
バチンッ!!
小さな雷が落ちたような音が鳴り響く。
ゴブリンは倒れた後もビクンビクン痙攣している。
今度は魔石は回収出来そうだ。
最後の一匹には氷結魔法を試す。
「(アイスアロー!)」
氷の矢がゴブリンに突き刺さると刺さった矢の周りからしだいに凍っていき、ゴブリンを氷漬けにし、氷像が完成する。
芸術は氷漬けだ!
自身で意味不明なことを思いながら回収する為、近づいていく。
爆散した奴はどうしようもないので2匹分だけアイテムボックスにしまい解体する。
ゴブリンは耳と魔石以外必要ないのでその場に捨てていく。
今回の魔石は魔道具用に売らずに取って置く予定だ。
まだ、試していない樹木魔法の餌食を探し、突き進む。
地図に魔物の反応が映し出され、確認するとホーンラビットだった。
近寄ってから魔法を放つ。
「(ウッドアロー!)」
自分で言っておいて魔法名的に弱そうだ。
見た目、普通の木の矢が飛んでいき、突き刺さる。
「(属性効果は特にないか。)」
そう思った次の瞬間、刺さった矢が成長し始める。
「・・・・!?」
矢からは枝が生え、芽が出て葉が咲き、ホーンラビットを半ばまで飲み込み小さな木になると成長は止まった。
「・・・宿り木ってやつか?」
今回も回収不能になった。
とりあえず、大きく成れよと言い残し、その場を後にする。
その後は薬草やよく解らない草をアイテムボックスに入れて名前を確認すると毒消し草だったりとアイテムボックスの便利な使い方を発見したりした。
狩りの方もゴブリン、ホーンラビット、グリーンスライムなどを仕留めては回収し、浅い領域を移動していくと初見の魔物に出会う。
見た目はどこからどう見てもただの木なのだが索敵に反応している。
魔物の名はトレント、以前にミト村のギルドの図鑑で見たことがあった。
生息数は多くなく、ただの木に擬態し特徴は幹にあるこぶが人の顔に見えて弱点でもあると。
枝は杖の素材として幹は家屋の高級材料になるが運搬が大変だとか。
さっそく、弱点のこぶを見つけるため遠巻きに離れて探す。
「(あった!)」
こぶに狙いをつけて、魔法を撃つ。
「(フレイムアロー!)」
魔法が当たると奇声を上げて、暴れるように枝を振り回す。
こぶが燃え尽きるとバランスを崩したように倒れた。
残り火を水魔法で消してアイテムボックスにしまう。
ギルドで売り払えるか疑問なのでアイテムボックスの肥やしにしておこう。
狩りを再開する。
トレントの群生地なのかところどころに点在している。
手当たり次第に狩っていく、ついでに薬草や毒消し草も回収していく。
「(冒険者のレベルがMAXに達しました。条件が満たされた為、職業:中級冒険者が選択可能になりました。)」
中級冒険者1/70
地図30SP
索敵5SP
危険察知5SP
SPD強化100SP
「(魔術師のレベルがMAXに達しました。条件が満たされた為、職業:魔導師が選択可能になりました。)」
魔導士1/70
MP消費半減15SP
MP高速回復15SP
精神集中20SP
int強化100SP
「(魔術師のレベルがMAXに達しました。条件が満たされた為、職業:魔闘士が選択可能になりました。)」
魔闘士1/70
魔闘術10SP
身体強化10SP
威圧10SP
res強化100SP
「(条件を満たした為、火炎術師が選択可能になりました。)」
火炎術師1/70
火流操作10SP
火纏衣15SP
火耐性10SP
「(条件を満たした為、流水術師が選択可能になりました。)」
流水術師1/70
水流操作10SP
水纏衣15SP
水耐性10SP
「(条件を満たした為、旋風術師が選択可能になりました。)」
旋風術師1/70
風流操作10SP
風纏衣15SP
風耐性10SP
「(条件を満たした為、大地術師が選択可能になりました。)」
大地術師1/70
土流操作10SP
土纏衣15SP
土耐性10SP
職業レベルが最大になったようだ。
クルスLV:58
冒険者LV:40/40
魔術士LV:40/40
HP:1750
MP:1180
SP:300
ATK:590
DEF:472(+20%)
INT:472(+20%)
RES:590
TEC:590
SPD:708(+40%)
LUK:300
★短剣士、★拳士、★冒険者、★魔術士
さっそく次の職業と入れ替える。
次の職業は剣士と治癒士にする。
ちょうど、日も暮れてきたので一旦、街道へ戻り、野営の準備をする。
準備すると言っても火は魔道具があるし、食料も買ったものがあるのですることがない。
少しは野営感を出そうと無駄に考える。
テントがないので代わりに土魔法でかまくらを作ってみた。
「(土魔法って便利だな。)」
かまくらの中に移動し、ピノと一緒に夕食にする。
辺りは真っ暗になってきた。
スキルポイントが300SPあったので夜目スキルを取得しようと思う。
275SP消費して夜目スキルを最大で取得する。
すると、真っ暗で見えなかった周囲が見えるようになる不思議な感覚だ。
これなら夜の移動も問題なく行えそうだ。
夜は魔物が活性化したり、夜行性の魔物が活動しだす為、危険なのだが体力的に余力があり何事も経験だと思い、夜の大森林を移動することにする。
夜の大森林はどこに隠れていたのか昼間に比べて魔物の数が多く、夜特有の魔物が徘徊していた。
今もコウモリの集団を相手にしたところだ。
「(夜の移動は軽率だったかな?)」
そんなことを考えていると次の魔物が迫ってくる。
気配完全感知で確認すると細長くクネクネ移動しているところを見ると蛇の魔物のようだ。
魔法を当てるのは多少、難しそうなので短剣で仕留めることにする。
来るのをただ待っていても仕方ないので俺からも近づいていき、飛びかかってきたので軽く避けて胴体を真っ二つにしてやる。
二つに別れた蛇は地面でのた打ち回り、戦闘不能寸前だったので留めを刺す為に近寄ると口から霧を吐き出した。
咄嗟に飛び退くが少し吸ってしまった。
すぐに肺が焼け付くような痛みに襲われる。
「(くっ!?毒か?)」
ステータスを確認すると毒状態になっていた。
すぐにアイテムボックスから毒消し草を取り出し歯ですり潰して飲み込む。
「(苦い!)」
悪態をつき、毒消し草が効くのを待つ。
「(くそっ!前も油断して麻痺ったのに我ながら進歩がないな。)」
「(毒耐性レベル1を取得しました。)」
ようやく、毒消しかスキルか分からないが毒の効果が薄れてきた。
「(こんなところをヒューイさんに見られたら怒られるな。)」
緩んでいた警戒心を引き締めて先へ進んでいく。
魔物はひっきりなしに索敵に引っかかり、遠過ぎない限り狩っている。
「(最近は魔法1発で終わっていたのでこんな緊張感は久しぶりだ。)」
狩っては進み、進んでは狩るの繰り返しをしていると夜が明け始めた。
魔物の数も徐々に減り始めている。
さすがに疲れてきたので今回の狩りはここまでにして街道に戻る。
街道に戻るとひとまず、腰を下ろし休憩を取りつつ、ステータスを確認する。
クルスLV:60
剣士LV:30/40
治癒士LV:30/40
HP:1810
MP:1220
SP:1825
ATK:722
DEF:610(+20%)
INT:488(+20%)
RES:488
TEC:610
SPD:610(+40%)
LUK:300
★短剣士、★拳士、★冒険者、★魔術士
浅い領域ではさすがに俺自身のレベルは上がりにくくなってきた。
ピノのステータスも確認しておく。
ピノ(使い魔)
レベル50
HP:1500
MP:1500
ATK:750
DEF:350
INT:750
RES:500
TEC:350
SPD:1000
LUK:150
ピノ、強ぇ〜!
ステータスを確認し終わり、現在地を確認するとミト村まであと少しだった。
「あと一踏ん張りだな。」
ほんの数日、離れただけだがミト村が恋しくなってきたので休憩もそこそこに歩きだす。
ミト村に着いたのは昼前だった。




