第16話:アイテムボックス
昨日は休息を取ったからかいつもより身体が軽い気がする。
一度、伸びをしていつものように顔を洗いにいく。
今日はピノのレベル上げのため、狩りに専念する予定だ。
顔を洗い終わり寝坊助のピノを抱えて朝食の席につく。
「エミリアさん、ヒューイさん、おはよう!」
「クルス君、おはよう!体の調子はどう?」
「すこぶる良いですよ!」
ヒューイさんが問い掛けくる。
「今日はどうするんだ?」
「今日はピノのレベル上げをしようと思ってます。」
「まあ、そうだな。」
「今日は訓練はなしですか?」
「ああ、今日はなしだから思いっ切り狩りをしてくるといい。」
「じゃあ、お弁当作ってあげるわね!」
「エミリアさん、ありがとう!」
朝食を食べ終わり、エミリアさんと片付けをしてから狩りの準備をする。
準備も終わり、一階へ行くと前と同じように布に包まれたお昼を手渡され魔法の袋にしまう。
「今日も頑張ってね!それと余り遅くならないようにね!」
「はい!行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
エミリアさんに見送られ意気揚々と出掛ける。
朝の清々しい空気を感じながら大森林へ向かう。
ピノはもちろんフードに入ったままだ。
大森林の前に着き、ピノに話し掛ける。
「今日はお前のレベル上げをするけど、狩りの仕方もちゃんと見とくんだぞ!」
「ミャ〜」
通じているかは不明だが気にせず、いつものように気配遮断と魔力遮断を使い、大森林の中へ進んでいく。
取得したばかりの無音歩行スキルの効果を確認しながら進んでいるとグリーンスライムがいたのでピノの為の贄になってもらう。
ついでにピノの成長率の確認もするつもりだ。
最早、敵ではないグリーンスライムを蹴り飛ばして仕留める。
「(使い魔のレベルが上がりました。)」
さて、どうなったかな?
レベル1の時のステータスはこうだった。
ピノ
レベル1
HP30
MP30
ATK:15
DEF:7
INT:15
RES:10
TEC:7
SPD:20
LUK:150
そして、レベルアップ後はこうなった。
ピノ
レベル3
HP90
MP90
ATK:45
DEF:21
INT:45
RES:30
TEC:21
SPD:60
LUK:150
計算するとピノの成長率は
ATK:SS
DEF:A
INT:SS
RES:S
TEC:A
SPD:SSS
「・・・うちの子、天才じゃね?」
予想外の成長率にピノを抱き上げ、1人森の中で小躍りする。
「ピノ、一緒に強くなっていこうな!」
「ミャ〜!」
成長率も分かったことだし、ガンガン狩っていこうと思う。
本日のターゲットは基本的には魔物すべてだがフォレストスパイダーを50匹ほど狙う予定だ。
まず、討伐報酬で銀貨1枚で魔石で銅貨5枚が貰える上に木の上で待ち伏せしているので魔法で狙いたい放題の為、なかなかおいしい獲物だ。
早速、フォレストスパイダー目指して進撃開始だ。
フォレストスパイダーが生息する領域に30分ほどでついた。
地図で索敵を確認するといるわいるわ。
ほくそ笑みながら、狩り始める。
今日も魔法で仕留めるが今日の魔法はアロー系を試す。
記念すべき本日、最初の一匹目にはフレイムアローを試す。
「フレイムアロー!」
ぼすっ!
フォレストスパイダーの胴体に当たり、魔法矢は半ばまで突き刺さる。
フォレストスパイダーは熱さで暴れ狂うがすぐに動かなくなりそのまま、地面に落下する。
近づいてみると口から少し煙が出ていた。
死んでいるのを確認し魔石と牙を回収する。
フレイムアローはMP消費量も少なく悪くない。
次の獲物を求めて移動する。
標的を見つけ、アクアアローの準備をする。
的の大きい胴体を狙い放つ!
ぼすっ!
矢は胴体を貫通し、さっきと同じように暴れるがなかなか死なないどころか怒ったのか魔法を放った俺を探しているようだ。
幸い気配遮断を使っているので見つからずにいるが見つかると面倒なので頭を狙って第2波を撃つ。
見事に当たり、今度はすぐに絶命したようで地面に落下した。
火は一撃だったが水は頭に当ててやっとだった。
他の属性も試してみることにする。
移動して次の獲物にストームアローを胴体に撃つ!
胴体に当たると矢の周りをえぐるように矢が突き刺ささり、一撃で仕留めた。
風は削砕力が強いのかな?
回収しながら考える。
火は内部にもダメージを負わせる、いわゆる追加効果で水は貫通力に秀でていて風は削砕力に優れていると思う。
となると土は硬さかな?
まあ、相手の属性の相性とか耐性にもよるから魔法については要考察かな。
その後、ストームアローでフォレストスパイダーの頭を狙い、次々と狩っていった。
午前中だけで30匹ほど狩れた。
わずかに疲労が出てきたので休憩がてらお昼にする。
お昼をピノと一緒に食べ終わり食後の休憩をし、ピノのレベルが気になったが狩りが終わってからの楽しみにしておく。
狩りを再開し、また魔法で次々とフォレストスパイダーを仕留めていく。
午前中に結構な数を近場で狩ったので目標の50匹を達成するのに多少時間がかかってしまったがなんとか達成出来た。
さて、お楽しみのステータスチェックだ!
まずは俺から見る。
クルスLV:55
冒険者LV:35/40
魔術士LV:35/40
HP:1660
MP:1120
SP:1705
ATK:560
DEF:448(+20%)
INT:448
RES:560
TEC:560
SPD:672(+20%)
LUK:300
★短剣士、★拳士
かなりレベルが上がっていた。
特に職業は変えたばかりなのでレベルがよく上がっている。
次はお待ちかねのピノだ!
ピノ(使い魔)
レベル35
HP1050
MP1050
ATK:525
DEF:245
INT:525
RES:350
TEC:245
SPD:700
LUK:150
やべぇ〜!既に俺に匹敵する数値だ。
SPDに関しては基礎能力値で負けている。
それにしても、この見た目で俺とそう変わらないステータス。
子猫のピノにボコボコにされる魔物を想像するとCG映像みたいだ。
本当に戦えるのか疑問が湧いてくる。
ピノと言えば、狩りの最中も寝ていた。
人間に例えるなら生まれたての赤子と変わらないだろうから仕方ないというか、むしろ寝ることが仕事だ。
ピノのステータスを確認し終わり、時間はおよそ午後3時を回った頃だと思う。
無理する気もないので今日は帰ることにする。
地図で村の方向を確認し、帰途につく。
ミト村の近くまでくると魔物の反応が帰る方向にあったので狩っていくことにする。
近づいて魔物を確認するとボアタックルだった。
新しく取得して、まだ試してないスキルを試したいが遅くなるとまたエミリアさんに心配をかけるかもしれないので今日はやめておく。
ちゃっちゃと終わらせる為、ボアタックルの喉を目掛けて土魔法のアースニードルを発動する。
ズシャッ!
軽々と喉を突き抜けた。
間違いなく即死だろう。
ボアタックルを回収する為、近づき魔法の袋に入れようと思ったら空きスペースが足らず回収出来ない。
このまま、放置する気にもなれないのでとうとうアイテムボックスを取得することにする。
現在のスキルポイントは1705SPだ。
アイテムボックスを600SP消費して取得する。
「(アイテムボックスを取得しました。)」
アナウンスを聞き、さっそく試してみる。
ボアタックルに手を触れ収納と念じる。
すると手品かと思うように一瞬でボアタックルの巨体が消えた。
驚きながらも今度は頭の中にアイテムボックスのリストを思い浮かべるとボアタックルと表示されていた。
アイテムボックスを取得したついでにこの場でスキルポイントを消費しようと思う。
今の保有スキルは以下だ。
アイテムボックス
地図Lv:MAX
索敵Lv:7/10
気配感知Lv:8/10
気配遮断Lv:8/10
危険察知Lv:1/10
剥ぎ取りLv:5/10
体術Lv:7/10
短剣術Lv:7/10
二刀流Lv:5/10
回避Lv:8/10
受け流しLv:5/10
見切りLv:5/10
軽業Lv:5/10
無音歩行Lv:5/10
胆力Lv:7/10
火魔法Lv:5/10
水魔法Lv:5/10
風魔法Lv:5/10
土魔法Lv:5/10
雷鳴魔法Lv:1/10
爆裂魔法Lv:1/10
氷結魔法Lv:1/10
樹木魔法Lv:1/10
回復魔法Lv:3/10
魔力感知Lv:5/10
魔力制御Lv:6/10
魔力遮断Lv:5/10
瞑想Lv:1/10
HP回復速度上昇Lv:1/10
絆の力Lv:1/10
麻痺耐性Lv:1/10
昨日、考えていた通り今あるスキルを集中的に上げていく。
まずは今日、狩りをしていて感じたのわ。
剥ぎ取りに時間がかかることだ。
レベルを上げれば、剥ぎ取りの速度が上がって時間の節約になると思うので200SPを消費してレベルMAXにする。
「(剥ぎ取りのレベルが最大になった為、アイテムボックスに統合されます。)」
「なぬ?」
「(アイテムボックスがアイテムボックス+に変化しました。)」
意味がわからず、とりあえずアイテムボックスのリストを表示してみる。
するとボアタックルの文字の後ろに剥ぎ取り可能と追加表示されていた。
わからずに選択してみるとアイテムボックス内のリストの表示が変わる。
ボアタックルだったのがボアタックルの毛皮、ボアタックルの肉、ボアタックルの血、魔石(小)に変わった。
「まさか・・・」
考えられる可能性はアイテムボックス内で自動的に剥ぎ取りを実行したということだ。
異世界に来てまだ間もないが今までで一番のチートだと感じた。
あまりの便利機能に興奮が醒めないが他のスキルも上げていく。
索敵もレベルを10まで上げて135SP消費する。
「(索敵のレベルが最大になった為、地図に完全統合されます。)」
「(地図が地図+に変化しました。)」
正直、これは予想通りだ。
次は気配感知と気配遮断を最大まで上げ、95SPずつ、合計190SP消費した。
「(気配感知のレベルが最大になりました。気配感知が気配完全感知になりました。)」
「(気配遮断のレベルが最大になりました。気配完全遮断になりました。)」
「おお〜!」
さっそく、試してみる。
感知可能な範囲が広くなり、感知した相手の大きさや形がくっきりと分かるようになった。
さて、まだまだ上げるぞ〜!
なんか、楽しくなってきた!
95SP消費し、回避スキルを最大まで上げる。
「(回避レベルが最大になりました。)」
「・・・・何も起こらないなぁ。」
そう上手く進化ばかりしないか。
残りのスキルポイントは485SPだ。
ヒューイさんとまた訓練したら怪しまれそうだが既に異様に思われていると思うので体術と短剣術も最大にする。
最大レベルにする為、135SPずつ、合わせて270SP消費する。
「(体術が最大レベルになりました。)」
「(短剣術が最大レベルになりました。)」
魔法系も上げておく。
土魔法をレベル7に上げ、65SP消費する。
魔法制御をレベル8に上げ、150SP消費する。
スキルポイントを使い切り、保有スキルを確認する。
アイテムボックス+
地図+
気配完全感知Lv:MAX
気配完全遮断Lv:MAX
危険察知Lv:1/10
体術Lv:MAX
短剣術Lv:MAX
二刀流Lv:5/10
回避Lv:MAX
受け流しLv:5/10
見切りLv:5/10
軽業Lv:5/10
無音歩行Lv:5/10
胆力Lv:7/10
火魔法Lv:5/10
水魔法Lv:5/10
風魔法Lv:5/10
土魔法Lv:7/10
雷鳴魔法Lv:1/10
爆裂魔法Lv:1/10
氷結魔法Lv:1/10
樹木魔法Lv:1/10
回復魔法Lv:3/10
魔力感知Lv:5/10
魔力制御Lv:8/10
魔力遮断Lv:5/10
瞑想Lv:1/10
HP回復速度上昇Lv:1/10
絆の力Lv:1/10
麻痺耐性Lv:1/10
確認も終わり、帰途につく。
空が赤くなる前に村の入り口にたどり着いた。
村に着くといつもと違う雰囲気で村の人達が広場で馬車を囲んでいた。
不思議に思いながらもエミリアさんに帰ってきた報告をする為、ギルドの中に入る。
するとヒューイさんが初めて見る4人組みの冒険者達とテーブルでワイワイ話していた。
俺に気付いたヒューイさんが話しかけてくる。
「クルス、ちょうどいい頃に帰ったな。」
「?」
なにがちょうどいいのか疑問に思っているとヒューイさんと同じテーブルについていた青年、恐らく二十歳前後だと思う男が軽く睨みつけながら話しかけてくる。
「お前がヒューイさんが言っていたクルスってガキか?」
今さっき、ヒューイさんが俺のことをクルスと呼んだばかりなのだが頭が残念な人なのかな?
「はい。そうですけど、どなたですか?」
「俺と今から勝負しろ!」
やっぱり、残念な人だったか。




