第10話:1人で出来るもん
魔力感知スキルのトレーニングも終わり、夕食の時間だ。
夕食はヒューイさんも一緒で3人で食べる。
白々しく、ヒューイさんが聞いてくる。
「今日の魔法の出来はどうだったんだ?」
「実戦でも一応、使えるレベルだと思います。」
エミリアさんが嬉しそうに喋り出す。
「謙遜し過ぎよ。私が基本を教えただけで色々、工夫して実戦向きな使い方をしていたし、MP量も多いし、十分に実戦で戦えるわよ!」
エミリアさんからお墨付きを貰ったようだ。
「それで明日は実戦で色々試してみようと思ってます。」
「そうか、実際に魔法を使ってみるのも大事だからな。俺も付いて行ってアドバイスしてやりたいとこなんだが明日も同行出来そうもないからな。」
「問題でもあったの?」
「大したことじゃないが今、うちのギルドの冒険者は全員出払っているから手紙を届けてくれるヤツがいないんだよ。」
「そういえば、そうね。」
「だから、俺自身で届けに行こうと思っている。俺なら森林都市まで行って帰ってくるのに1日かからないからな。」
ということは明日は1人で狩りということか。
「そういう訳でクルス、明日は1人で頑張ってこい!」
「わかりました。」
「魔法を覚えたからって過信はするなよ?」
「大丈夫です。今のところ、魔法は牽制程度に考えているので危なかったらすぐに逃げます。」
「なら、大丈夫だな。お前に何かあったらエミリアが悲しむからな。」
「そうよ。心配かけたらダメだからね。」
エミリアさんに心配かけないようにしないとな。
その後、ヒューイさんはまだ、仕事が少し残っているらしく、仕事部屋に戻って行った。
俺は今日、枯渇を起こしたのでエミリアさんに早く休むよう言われ、少し早いが寝ることにした。
◇◇◇◇
窓から朝日が差し込み、目を覚ます。
ステータスを呼び出し、ちゃんとMPが回復していることを確認する。
いつものように1階に降りて顔を洗い、いつものテーブルにつく。
俺が席につくと食事が始まった。
食事が始まると昨日と同様に無理しないように念を押され、ヒューイさんは一足早く、出掛けて行った。
俺は少し食後の休憩を取ってからいつもの防具を身に付け、エミリアさんに挨拶をし、出掛けようと思ったら引き止められた。
「ちょっと待って!」
「どうしました?」
エミリアさんは布に包まれた物を手渡してくる。
「これは?」
「お弁当よ!ヒューイが遠出するからクルス君の分も作ったの。」
「エミリアさん、ありがとう。」
「ちなみにお弁当を渡したけど、お昼前に帰ってきてもいいんだからね。」
「はい。無理しないようにします。」
笑顔で見送られ、大森林へ向かった。
大森林で1人になるのは異世界に来た時以来だ。
あの時と違うところはくらべものにならないくらい落ち着いているところだろう。
「さて、行きますか。」
1人呟き、いつものようにスキルを発動させて大森林の奥へと向かっていく。
駆け足くらいの速さで近くの魔物を片っ端から屠っていく。
浅い領域ということもあり、基本スライムだ。
「(レベルが上がりました。)」
倒した数が10匹を越えたあたりから魔物の種類が変わり始める。
今はゴブリン3体に狙いをつけている。
魔法を試す良いチャンスだ。
気配遮断のレベルを上げたおかげで楽に近づけた。
「(アースニードル!)」
真ん中のゴブリンに大地の棘が突き刺さる。
真下から刺さった為、見た目が相当エグイことになった。
仲間を殺され、俺の存在にやっと気付いた残りの2匹が怒りながら迫ってくる。
落ち着いて、片方のゴブリンに手をかざして魔法を発動する。
「ウォーターボール!」
魔法はゴブリンの顔面に当たり、変な音とともに後ろに倒れるように吹き飛んだ。
魔法が顔に当たった衝撃か立ち上がる気配はない。
残りの1匹は倒れた仲間を気にする余裕がないのか、棍棒を振り下ろしてくる。
その攻撃をすれ違う形で避けると同時に首筋に一閃して仕留める。
魔法の威力を確かめる為、気絶しているゴブリンに近づいていく。
「うわぁ〜」
俺がやったことだけど、ゴブリンの顔が見るも無残になっていた。
魔物とはいえ、無駄に苦しめる必要もないので手早くトドメを差して回収する物を回収して次の標的へ向け移動した。
「(レベルが上がりました。)」
次の相手はキラープラントだ。
こいつは前回の戦いである程度の能力を把握済みだ。
キラープラントに感知されるギリギリ手前、10メートルちょっとのところで立ち止まり、弱点の茎へ手をかざし、魔法を発動する。
「ウインドカッター!」
風の刃は狙った通り、茎を切り裂き、キラープラントの上体が倒れる。
「(レベルが上がりました。)」
その後、近くにいた4体を楽に倒して証明部位と魔石を回収していった。
MPも今のところ、全く問題ない。
探索系のスキルレベルを上げた事と魔法によって、この間と比べるとかなりのハイペースで狩りは進んでいく。
この調子でいこうと思い探索を再開した矢先、俺の中で緊張が走る。
「(ホロホロバードだ!)」
前回、ヤツにはまんまと逃げられている。
今回は必ず、仕留めやると息巻き、静かに距離を縮めていく。
ホロホロバードは辺りを警戒しながら、食事をしているようだ。
現在の距離はおよそ10メートルだ。
これ以上は近づけそうにない。
ホロホロバードは見た目がダチョウに似ている。首が細く、ウインドカッターで切り落としてやりたいが風魔法レベル1の為、出来るか微妙だ。
仕方ないのでアースバレットの形状変化を使う。歪な球体から拳銃の弾丸のような形に変え、的の大きい太ももに狙いをつけ、撃つ!
「(アースバレット!)」
バスッ!
グゲェ!
命中したと同時に飛び出し、仕留めにかかる。
ホロホロバードは逃げようとするが思いのほか深くまで刺さっており、脚を動かすことが出来ずにバランスを崩し倒れる。
グゲェ!グゲェ!
倒れている、ホロホロバードの首を切り落とし息の根を止める。
「・・やったぁ。」
思わず、喜びの声が漏れてしまう。
「(レベルが上がりました。)」
少しの間、喜びに浸りすぐに血抜きをして魔法の袋へと回収した。
次の獲物を探そうと地図で確認すると近くは粗方、片付けてしまったのか少し離れた距離にしか魔物はいなかったので少し早いが昼食にする。
エミリアさんが作ってくれたお弁当はサンドイッチと果物が入っていて、美味しく頂いた。
お昼を食べ終わり、少しの小休憩を取ってから狩りを再開した。
今は浅い領域から中域の手前くらいを探索している。
もちろん、狙いはフォレストスパイダーだ。
相手は高い気配遮断スキルを所持しているので一層の警戒しつつ索敵していく。
すると、この間は感知出来なかった気配が感知出来た。
地図にも赤く点滅している印が表示してある。
さっそく、近い所から攻略を始める。
フォレストスパイダーは木の上で獲物が通り過ぎるのを待っているのか、気配を消して待ち構えている。
まずは魔法で先制攻撃をする。
「アースバレット!」
土の塊がフォレストスパイダーの胴体に向かい飛んでいき、直撃する。
バコォン!
フォレストスパイダーは直撃を受け、木の上から落ちてきた。
ドサッ!
背中から落ち、魔法でのダメージもあり、仰向けのまま脚を僅かに動かしているが起き上がれそうにない。
このまま、近づいてトドメを刺そうかと思ったが前回、油断して近づいたらキズを負わされたので今回は念の為、魔法をもう一発撃つ。
さっきと同じアースバレットで貫通力を上げる為、先端の形状を尖らせ、ぶっ放す!
ボスッという音を立て、見事に貫通した。
「(レベルが上がりました。)」
正直、今回も多少は苦労するだろうと予想していただけに呆気なかった。
その後も同じ要領でフォレストスパイダーを手当たり次第に仕留めた。
「(レベルが上がりました。)」
20匹ほど、狩ったところで辺りには魔物が見当たらなくなったので今回の狩りはここまでにして帰ることにする。
予想以上の成果に満足し帰りの足取りは軽かった。
クルスLV:35
拳士LV:35/40
短剣士LV:35/40
HP:1060
MP:720
SP:900
ATK:360
DEF:432
INT:288
RES:288
TEC:360
SPD:360
LUK:300
お読み頂きありがとうございました。




