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ブレイブ クロス〜調律者は運命を奏でる〜  作者: くろのわーる
第一章

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第9話:魔法

「やっと、着いた〜」


大森林から帰還し、現在ミト村のギルドにいる。


「今日は少し遅かったわね。」


昼食の準備が終わり、待っていたエミリアさんが声をかけてきた。


「クルスが最後にヘマをして遅くなった。」


「・・・」


「あらあら。怪我はなかったの?」


「かすり傷を少々。」


「ちょっと、見せて。」


素直に傷を見せる。


「確かにかすり傷だけど、化膿するとよくないからね。ヒールウォーター!」


傷口が残らず、治った。


「これでよし!」


「エミリアさん、ありがとう。」


「どう致しまして。それじゃあ、狩りの成果を見して貰おうかな?」


カウンターへ移動し、回収した物を出していく。


一通り出し、まだ解体してないボアタックルは外で解体する。


取得した剥ぎ取りスキルが役に立つ。

解体している間にエミリアさんの査定はとっくに終わっていた。


「今回の報酬は銀貨6枚よ。それと依頼を3つ達成したのでFランクに昇格よ。」


エミリアさんにギルドカードを渡し、ヒューイさんに報酬の半分を渡す。


「分け前はなしでいいぞ。」


「でも、」


「代わりにボアタックルの肉をたらふく食わせてもらうさ。」


今回もヒューイさんは太っ腹だ。


「クルス君、カード返すわね。」


カードを返してもらい確認するとGからFにちゃんと変わっていた。


「遅くなったけど、昼食にしましょうね。」


「はい。」


今日も3人で会話しながら食事をとる。


「クルス、明日なんだが俺は仕事があるから狩りに同行出来ない。」


「そうなんですか。」


「ギルドマスターとして本部に現状報告の書類やら商隊の要請やらで少し忙しい。」


「商隊の要請ですか?」


「ああ、この村は見ての通り何もないから、足りない物は余所から取り寄せないと生活していけないからな。」


「村の人達に足りない物を聞いてリストを作らないといけないから明日は1日ダメね。」


「大変ですね。」


ヒューイさん、ちゃんと仕事してたんだ。


「そういう訳で明日は大森林に行くなとは言わないが行くなら無理はするなよ。」


「そのことなんですが明日は狩りを休んで魔法の練習をしようかと思います。」


「そうか、お前がそうしたいならすればいい。」


「じゃあ、明日は私が魔法を見てあげようか?」


「いいんですか?」


「いいわよ。ただ、初級の水魔法しか使えないけどね。」


「全然、構わないのでお願いします。」


「明日は私がクルス君の先生ね。ふふっ」


「はい。よろしくお願いします。エミリア先生!」


明日が楽しみだ。


「2人で盛り上がっているところ悪いがその前に俺との訓練がまだ残ってるぞ。」


「・・・はぁ〜」


「なんだ!?そのため息は?」


「いえ、別に。」


「よし、いいだろう。そんな態度をとるならこっちにも考えがある。」


「なんですか?」


「明日は訓練がないからな、今日の訓練はみっちり濃厚な訓練にしてやる!」


「くっ!あんた魔王か!」


「なんとでも言えばいいさ。ブハハハハッ!」


「笑っていられるのも今のうちだ。今日こそは吠え面かかしてやる!」


「やれるものならやってみるが良い!」


競うようにお互い昼食をかっこんだ。



◇◇◇◇



結果は言うまでもなく、鬼のヒューイさんにボコボコにされた。


あの人、本当に今までよりも厳しかったな。おかげでまだ、身体中が痛む。まあ、それより明日の為にスキルを取得しよう。


今日の狩りで足りなかった気配察知と遮断をまず上げようと思う。


それと気になっていた、索敵も取得してみようかな?


現在の480SPから5SPを消費して索敵を取る。


「(索敵を取得しました。索敵は地図と統合されます。)」


アナウンスを聞き、スキル地図を開き、思わず声を出してしまう。


「まるでレーダーみたいだ!」


テンションが上がってレベルを3まで上げて合わせて30SP消費した。


気配察知と気配遮断を3レベルずつ、上げて150SPを消費する。


次は本日のメインである魔法を取得する。


さて、どの属性を取るかだな。


悩んだすえ、一通り取得することにする。


火、水、風、土の4属性で合わせて20SP消費した。


後は魔力感知と魔力制御も取得しておく。

魔力感知をレベル5にして75SP、魔力制御もレベル5にして150SP消費した。


「(魔力制御レベルが5になりましたので派生スキル魔力遮断を覚えました。)」


地図Lv:MAX

索敵Lv:3/10

剥ぎ取りLv:5/10

体術Lv:6/10

短剣術Lv:6/10

回避Lv:7/10

軽業Lv:3/10

胆力Lv:7/10

火魔法Lv:1/10

水魔法Lv:1/10

風魔法Lv:1/10

土魔法Lv:1/10

魔力感知Lv:5/10

魔力制御Lv:5/10

魔力遮断Lv:1/10

気配感知Lv:6/10

気配遮断Lv:6/10

危険察知Lv:1/10

麻痺耐性Lv:1/10


かなりスキルが増えた。残りは55SPだ。


どの属性を上げようかな?


やっぱり、水と土が使用頻度が高い気がするので2つずつレベルを上げて50SP消費した。


地図Lv:MAX

索敵Lv:3/10

剥ぎ取りLv:5/10

体術Lv:6/10

短剣術Lv:6/10

回避Lv:7/10

軽業Lv:3/10

胆力Lv:7/10

火魔法Lv:1/10

水魔法Lv:3/10

風魔法Lv:1/10

土魔法Lv:3/10

魔力感知Lv:5/10

魔力制御Lv:5/10

魔力遮断Lv:1/10

気配感知Lv:6/10

気配遮断Lv:6/10

危険察知Lv:1/10

麻痺耐性Lv:1/10



これで準備は終わったので寝ることにする。



◇◇◇◇



翌朝は楽しみにしていたせいか、早くに目が覚めてしまった。


顔を洗う為に一階に降りるとエミリアさんが朝食の準備をしていた。


「エミリアさん、おはようございます。」


「クルス君、おはよう。今日は早いわね。」


「楽しみにしていたので興奮して目が覚めちゃいました。」


「ヒューイが聞いたら拗ねるわよ。」


いつも通り、顔を洗い終わり席につく。


「朝食の準備も出来たし、ヒューイを呼んでくるからちょっと待っててね。」


その後、3人で朝食を取った。


ヒューイさんは少し重い雰囲気で話しを切り出す。


「クルス、魔法の練習は今日が初めてだからな上手くいかなくても落ち込むなよ。お前は魔法がなくても十分に優秀な冒険者になれるからな。」


急にどうしたんだろうか?と思っているとエミリアさんからフォローが入る。


「たまにね。魔法に適正がなくて使うことが出来ない人達がいるのよ。そういう人達は身体能力が高いって特徴があって。それでクルス君はもしかしたらってヒューイは心配しているのよ。」


なんだかんだ言ってもヒューイさんも優しい人だ。


俺は笑顔でヒューイさんを見るとぷいっと横を向いてしまった。


そんなヒューイさんを安心させる為の言葉を言う。


「ヒューイさん、例え魔法が使えなくても落ち込んだりしないので大丈夫ですよ。」


すでに魔法スキルを取得済みだからまず、あり得ないんだけどね。


そんな俺の言葉を聞いてか、朝から張り詰めた様子だったヒューイさんの雰囲気も少し和らいだ。


朝食を終え、ヒューイさんは早速、仕事に取り掛かるようで俺とエミリアさんも仲良く後片付けを済まして裏の訓練場(仮)に移動した。



「さて、まずは魔法に必要なイメージをしやすくする為に私がお手本で魔法を撃つから真似してみてね。」


「はい!エミリアさん。」


「先生・・・」


「ん?」


「今日は私の事を先生と呼ぶように!」


エミリアさん、もといエミリア先生はノリノリだった。


「お、お願いします。エミリア先生。」


「ふふっ。じゃあ、いくわよ。」


エミリア先生は少し離れた木に手をかざし、魔法名を叫ぶ。


「ウォーターボール!!」


かざした手の少し前にハンドボール位の水球が現れ、なかなかの速度で木に向かい飛んでいく。


ドコォ!


水球の見た目からは想像出来ない威力で木に当たり、表面が軽くえぐれていた。


「・・・・っ?!」


空いた口が塞がらないとはこのことだ。


「こんな感じだけど、わかったかしら?」


「は、はい。なんとなく。」


「それじゃあ、ものは試しだからやって見ましょうね。」


先ほどのエミリア先生を見習い、木に向けて手をかざす。


「ウォーターボール!」


エミリア先生の水球に勝るとも劣らない勢いで発射される。


ドコォ!



「「・・・・・」」



エミリア先生と目を見合わせる。


「出ちゃった。てへ!」


エミリア先生は下を向き、小刻みにプルプルしている。


「(や、やり過ぎたのか?)」


俺が困惑していると両肩を掴まれる。


ビクッ!


「(天才だわ・・・)」


小声でよく聞き取れない。


「クルス君、あなた天才よ!!」


「えっ?!」


「すごいわ!初めてで成功、しかもこの威力!!まさに天才よ!」


「(やり過ぎだったか〜!)」


俺が軽くやり過ぎたことを反省しているがエミリアさんの勢いは止まらない。


「10年にいや100年に一人の逸材よ!」


このままではマズいのではと思い始めていると後ろから声を掛けられる。


「エミリア、もうその辺にしとけよ。クルスが困ってる。」


ヒューイさんがギルドの影から現れた。


「でも、ヒューイ見たでしょ?クルス君は天才よ。」


「確かに魔法の発動には普通は一週間か早い奴で3日くらいかかるがたまにクルスみたいな奴もいるもんだ。」


どうやら、やり過ぎ確定みたいだ。


「だけど、あなただって心配で隠れて見てたくせに」


「お、俺はたまたま通りかかっただけだ。さてと、仕事の続きをしないとな。」


ヒューイさんは颯爽と軽い足取りで戻っていく。


「気を取り直して、今日はどこまで出来るか、試しましょうね!」


「はい。」


やってしまったものはどうしようもない。開き直ってとことんやってやる。


「他の属性魔法も試してみましょうね。」



結論からいうとスキルレベルに応じた結果となった。


「4属性全て使えるなんてすごいわ!」


「珍しいんですか?」


「そうね〜、だいたいの人は1〜2属性ね。4属性全て使える人は1000人に一人くらいじゃないかしら?」


白々しく返事をしておく。


「ラッキーですね。」


「そうね。鍛えれば、戦いの幅が広がるわね。でも、器用貧乏にもなりやすいから今日、見た限り、水と土の相性が良さそうだったから2つを集中的に鍛えていきましょうね。」


「はい。」


その後、2属性を中心に色々と試していった。


「ウォーターボール」、「ヒールウォーター」、「ウォーターカッター」、「ウォーターウォール」、「アースバレット」、「アースニードル」、「アースバインド」、「アースウォール」。


「これらの魔法は一般魔法と呼ばれるものね。」


「一般じゃない魔法があるんですか?」


「あるわよ。そもそも魔法は使用者のイメージに基づいて発動するから土魔法で大地震をイメージして、それに見合ったINT値とMPがあれば、発動すると言われているわ。ただ、自分の能力に見合わないイメージをして無理に発動させようとすると反動で最悪、死に至るから要注意が必要ね。」


魔法を使う上で正確に自分の実力を把握しておく必要があるってことか。


「魔法を使う時は気を付けます。」



その後、実戦を意識した魔法の使い方を考えながら色々、試してみる。


「アースショットガン!」


ズバズバズバズバッ!


魔法名の通り、銃のショットガンをイメージした魔法だ。


近距離以外では殺傷力が下がるが相手を面で捉えることが出来るので命中率が高く、使い勝手はよさそうだ。


結局、思い付いた魔法で使えそうな魔法はショットガン系1つだけだった。


他には発動までの時間を計ったり、飛距離を確認したり、形状を変えてみたりして、次にウォーターボールの複数同時発動を試した時だった。


急にMPをごっそりと持っていかれ、目眩がし、膝をついてしまった。


魔法は1つはちゃんと発動したがもう1つは半分以下の大きさで勢いもなく発動した。


「クルス君、大丈夫?」


「すみません。急にMPを大量に持っていかれて。」


「ええ、見ていたわ。複数同時発動は高等技術だから反動でMPを大量に消費して枯渇状態に陥ったのよ。今のクルス君には早かったわね。」


「そうなんですか。」


「ちょうど、お昼の時間だし休憩にしましょうか?」


休憩にしてエミリアさんと2人で食事を取った。

ヒューイさんはギルマスの部屋で仕事をしながら一人で食事を取っているらしい。


「それにしても半日でここまで魔法が使えるようになるなんてすごいわ。」


「僕も驚きです。」


エミリアさんには初めて会った時のことがあるせいか、本当のことが言えない状況に心が締め付けられる想いで十字架を背負っているみたいだ。


「そういえば、何か大事なことを教えるのを忘れていたような?」


「なんですか?」


「なんだったかしら、、、そうそう魔力感知についてだわ!」


「魔力感知ですか?」


「そう、え〜と・・・」


そこへ食べ終わったお皿を持ってヒューイさんが2階から降りてきた。


「魔力感知スキル。このスキルを持っていると相手の魔法の兆候を察知することができ、相手の魔力を探ることで魔法の力量を推し量ることが可能だ。また、相手が気配遮断を使用していても魔力遮断スキルがない限り、魔力で感知することが出来る便利なスキルだ。」


ヒューイさんが説明してくれた。


「もう、私が教えようと思ってたのに!」


「悪い、ついつい口を出してしまった。」


「まあ、いいわ。で午後からはMP枯渇しちゃったみたいだし、魔力感知のトレーニングをしようと思うの?良い考えでしょ!」


まじか!もう取得してるけど、エミリアさんにはなんとなく逆らえないしな。しょうがない。


「はい!是非、やってみたいです。」


「じゃあ、そうしましょうね。」


エミリアさんはスキップをしながら食べ終わったお皿を奥に運んでいく。


その後ろ姿を見て、これでよかったんだと自分に言い聞かせた。


午後のトレーニングは魔力感知を既に習得しているので頑張っている振りをして瞑想してこの日のトレーニングは終了した。



「(瞑想スキルを取得しました。)」




お読み頂きありがとうございました。


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