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第7話「服屋の場所」

 朝起きると下着姿でいることに気恥ずかしさを感じ、アイテムボックスから昨日とは別のメイド服を出す。まだ女性用の服を着ることに慣れていないので若干の抵抗感を感じながらも着替える。

 着替え終えてから早速図書館に行こうかと思ったが昨日の失敗を繰り返さないためにも忘れないうちに寝間着等を買っておいた方がいいかと思い直す。

 少し考えてまず最初に寝間着を買って昼食を食べる。そして図書館に行って片っ端から本を読む、と計画を立てたツクヨミは宿を出てそれっぽい看板を探すことにした。


 王都内の商店は基本バラバラに建ち並んでいる。宿屋の隣に武器屋があったり雑貨屋の隣に薬屋があったりと、どこに目当ての商店があるかは全くわからないので、歩きながら直接一店舗ずつ看板の絵を見て探す必要があった。

 しばらく歩いているとようやくそれっぽい絵が描かれた看板——服の絵が描かれている——を見つけ中に入る。

 店の中はそれなりの広さがあり、何種類かの服が壁に掛けられていてその隣には数字が書かれている。そして店の中央には数字が書かれたチェストが置いてあった。

 店の奥を見るとカウンターがあり、そこには50は過ぎているであろう白髪の男が服を折りたたんでいる。

 男はこちらをちらりと見ると「いらっしゃい」と声をかけて作業に戻った。

 店の中を周り壁に掛かった服を見てみるが、数は少なかったのですぐ終わる。

 女性用の服はなかったのでここは男性用、男女共用の服屋なのかな、と思いカウンターに行き店員に聞いてみる。


「すみません、お聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

「ん、なんだい」

「こちらでは女性用の服などは扱っていないのでしょうか」

「ああ、女性用の服だったら中央区画に何店かあったはずだよ。というより服とかはほとんど中央区画で取り扱ってるからね、服を探してるんならそっちに行くことだ」

「そうでしたか……どうりで探してもあまり見つからないわけです」

「ハハハッ! 王都は商店の場所がバラバラだからなぁ……まあ、商店区画で服屋を開いてる変わり者なんて私ぐらいだと思うよ」

「フフッ、そうなのですか。教えていただきありがとうございます」

「いや、私もあなたのような美しい女性と話しができて楽しかったよ」


 ここら辺は商店区画というのかとぼんやり考えながら店を出て、早速服屋があるという中央区画に向かおうと思ったが計画としてはここら辺で寝間着等を買って、適当な店で昼食を食べて、それから中央区間にある図書館に行こうと思っていたのだ。

 しかし、ここら辺に全くない服屋が中央区画に多くあるということなので、区画によって出店される店の傾向は変わるということだ。ならばこの商店区画にはたくさんある食堂は中央区画には全くないかもしれない、という可能性が浮かび上がる。

 それなら中央区画に寝間着類を買って、昼食を食うために商店区画に戻ってくる。そしてまた中央区画に行って図書館に入るという、時間も体力も無駄に使うことになるかもしれないと悩む。

 しばらくどうするか悩んでいると不意にいい匂いがしてくる。焼いた肉の香ばしい匂いだ。

 無意識に匂いのする方に歩いて行き、ある店の前で止まる。掛かっている看板にはサンドイッチのような物を持った人の絵が描かれていた。


「もしかして……お弁当屋さんですかね?」


 食欲と興味をそそられたツクヨミはその店の中へ入っていく。

 店の中では数人の客がカウンターの前に並び、店員らしき女の子から麻のような布に包まれた何かを受け取りお金を払っていた。

 列の最後尾に並ぶ中年の女性にここは何の店なのかを聞く。


「すみません、少しお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「ん? なんだい?」

「いい匂いがしてこちらの店に入ったのですがどのようなお店なのでしょうか?」

「ここは持ち帰りサンドの店だよ。サンドを持ち帰れるように布包んで売ってくれるんだ、便利だろう? 今日の具材はラビットサンドだからいい匂いってのは一角ラビットの肉の匂いだろうね」

「そうですか。教えてくださってありがとうございます」


 やはりこの店は弁当屋のようなものだった。

 よく見るとカウンターの隅には「今日のメニューはラビットサンド 銀貨1枚」という字と角の生えた兎の絵が描かれた木の板が置いてあった。木の板には銀貨1枚が置いてある。

 昼飯をどうしようか悩んでいたツクヨミにとってこの持ち帰りサンドは渡りに舟であったので早速列に並び、ラビットサンドを2つ買った。

 その後、店を出てから人に見られないよう気をつけてアイテムボックスにラビットサンドを入れてみる。アイテムボックスにこの世界で買った物を入れたのはこれが初めてだったので少し不安に思っていたがなんの問題もなく入れる事ができて安心した。

 昼食の問題が解決したので意気揚々と中央区画へと向かうのであった。

1話の文字数増やすために服屋での話も書いてたんですけど思ったよりも寝間着等を選ぶ描写を書くのが難しかったので分けて先に投稿する事にします……申し訳ありません。


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