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第1話「順応性の高さ」

とりあえずたくさん投稿して一息付いたら自分で読み直しておかしなとこを直していったりしようかなと思います。

 AWOにログインした際の衝撃で少しの間意識を失っていた誠司が目を覚ますとそこは見覚えのない場所だった。

 そこはドーム状の建物のようで中心には魔方陣らしきものが描かれていた。そしてその中で倒れていた誠司が周りを確認すると12本の石柱が並んでいた。


「なんだここ……てかさっきの衝撃はなんだったんだよ」


 そう呟きながらも端末の故障かと心配になった誠司はまずログアウトをしようとメニュー画面を出そうとした。


「ん? メニューが開けない……どうなってんのこれ」


 少し焦りながらも何回か同じようにメニュー画面を出そうとしていると不意に建物内を吹き抜ける風をその身で感じ混乱した。


「なんで風が……このゲームはまだそういった感覚は搭載されてないはずだし……もしかして大規模アプデでもされたのかな?」


 もしアプデなら不具合でメニューが開けないだけだろうと少し安心したが無意識に額を手で拭って更に衝撃を感じる。


「ん? なんで汗が……さすがにこれはゲームの域を超えてるって……」


 本来感じることのない風、ゲーム内で出るはずのない汗、そして未だに開くことのできないメニュー画面、これらの異常事態に誠司は一つの答えを導きだした。

「もしかしてこれってゲームの中に閉じこめられたとか?」

 湧き上がる衝動を胸にその可能性を検証するため誠司は周囲に人気がないか確かめた後、建物内を走り回ってみたり、装備していた刀で手を切ってみたり、服を脱いで細部まで見たりといろいろなことをした。


「走ったら少しだけど疲れるし痛覚もある、それにゲームでここまで体が作り込まれてるわけないだろうしゲームに閉じこめられたっぽい……いや、どっちかっていうと異世界トリップってやつか!」


 現状にそう結論を出した誠司はある種の感動を覚えていた。なぜなら誠司は学生時代、数多くの小説や漫画を読むことが趣味の一つだったのだ。そしてそのジャンルは異世界転成や異世界トリップ、そしてゲームが現実になった等のジャンルを好んでいたのだ。今でこそAWOという仮想現実へのトリップで昔の子供じみた夢、異世界に転成したいというのを抑え込んでいたがそれでも心の片隅には未だにその願望はあったのだ。

 どうせ現実世界に戻ったところで会社でこき使われる毎日を送るだけの日常が待ってるだけだし今は一人暮らしなので心配をかける相手も特にいない。ならばこの状況を存分に楽しもうと思った。

 長年夢見た異世界に興奮した誠司だったがそれもつかの間自分が女性になっていることを思い出した。


「あっ、この体じゃもしこの世界で活躍しても女の子とイチャイチャとかできないじゃん……」


 誠司は4年前の自分の選択にひどく後悔したのだった。



 現状を確認した誠司はとりあえず建物から出て近くの村や町を探すことにした。しかし建物の外は鬱蒼とした森の中で村はおろかどこら辺に人がいるのかすらわからなかった。


「んー、ゲームのキャラでトリップしたわけだしスキルとか能力も備わってるんかねぇ」


 なのでとりあえずは自分の身体能力を確かめつつ森を抜けることにした。




「あーすごい身体能力だ、これはゲームじゃ味わえない爽快感だなぁ」


 森の中を疾風の如く駆けながらもその目は自分の戦闘力を確かめるための生贄を見つけるために周囲を観察していた。

 そして現実ではまずありえない巨体に豚の頭を持つ生き物を見つけた。所謂オークと呼ばれるモンスターである。オークの後ろで停止し、こちらに気付いたオークが振り向こうとした瞬間に……


「こんにちはっ、そしてさよならっ!」


 チャキンッという音と共にオークの頭が胴体から離れた。


「よしよし、刀の方は問題ないっぽいかな……グローブの方も試してみるか」


 そう言うとシンプルなデザインでありながらどこか気品を感じる白銀色の手袋を着けた左手を倒れかけているオークの体に向けると手袋の指先から白銀の糸が飛び出してオークの胴体を細切れにした。


「よしっ、こっちもゲームの操作と同じ感覚で使えるみたいだし戦闘面では特に問題はなさそうかな」


 満足した誠司は自分のキャラクター「ツクヨミ」の戦い方を思い出していた。

 「ツクヨミ」の戦闘スタイルは主に自分の魔力を周囲に発散することで領域を作りその領域内に入る敵を愛刀、「新月之一太刀(しんげつのひとたち)」による目にも留まらぬ早さでの居合切りで斬るスタイルと左手に着けた手袋「アルテミスグローブ」の固有能力である魔力糸生成してその糸で敵と切り裂いたり縛ったり罠を仕掛けたりと臨機応変に敵を翻弄するというスタイルの二つである。

 「ツクヨミ」がAWOトッププレイヤーに入ることができたのは自由度の高いAWOで自分の戦闘スタイルを極めていけばスキルを使わなくても十分戦っていけると信じ特訓をした誠司の努力が成せたことだろう。


「うーん、戦闘面は問題ないからあとは生活が問題なんだけどせめてアイテムボックスが開ければなぁ……ん?今なんか感じたぞ」


 ゲームの中でも感じる独特の感覚、それは何をした時に感じていたかを思い出そうとする誠司。3分ほど考えるとふとAWOのシステムを思い出した。

 AWO内で魔法を使う方法は、自分が習得している魔法を使いたいと意志を明確にして魔力を込めて唱えるとで発動する。逆に魔力を込めずに魔法を唱えると一瞬喉に魚の小骨が刺さったような違和感を感じるのだ。そして先ほどの独り言で感じた違和感がそれだと思い出した誠司は今度は魔力を込めて口にした。


「<アイテムボックス>」


 そう唱えると自分の目の前にAWOで集めたアイテム画面が映し出された。


「なるほど、アイテムボックスは魔法扱いになってたのか……となると他のゲームメニューも魔法として使えたりするのかな」


 確認するためにアイテムボックスを閉じて思いつくゲームメニューの言葉を魔力を込めて唱えるのだった。

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