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第10話「森の中」

あけましておめでとうございます!

新年一発目から短い内容での投稿ですがご容赦ください…

今年も読者の方々を楽しませる文章を書いていきたいと思いますのでこれからもよろしくお願いします!

 森に入ったツクヨミとゲイルは早速目的のゴブリンを探すため獣道を進んでいく。

 森には他にも冒険者がちらほらといて薬草や木の実を集めていたり、小動物を狩っていたりする。

 森の浅い場所では危険なモンスターがいないので主にG〜Eランク相当の簡単な依頼で訪れる新米冒険者が多いらしい。

 ツクヨミ達の目的であるゴブリンも森の浅い場所に生息する危険度の低いモンスターだ。

 この世界においてのゴブリンは知能や戦闘力は低いのである程度戦える人なら問題はない。代わりに凄まじい繁殖性を持っており、1匹見たら周囲に10匹は潜んでいると言われるくらい個体数が多いらしい。

 そしてゴブリンは同族の雌だけでなく人間や人型モンスターを母体として繁殖することができるので女性から目の敵にされていて冒険者ギルドではゴブリン討伐依頼が絶えないらしい。


「にしても見つからねえなぁ……ゴブリン程度ならすぐ見つかって終わると思ったけど毎日のように殺されまくって少しは学習したってことかね」


 柄が悪いゲイルだが話をしている内にいい人ということがわかった。

 冒険者ランクはDでそこそこの腕を持っているて、面倒見がよくて新米冒険者に世話を焼いているから人望も厚いらしい。

 更にゲイルは冒険者としては変わり者の部類で積極的にランクを上げていこうとはせずに新米冒険者に対して世話を焼くことを目的としているらしい。なんでも慕われることが好きなのだとか。


「そういえばツクヨミちゃん、気になってたんだけど魔法使いなのか?」

「いいえ、私はあまり魔法が得意ではありませんよ」

「そうなんか? だけど武器らしい武器は持ってないようだけど……もしかしてそのグローブで殴るのが戦闘スタイルとかか?」

「そうではありませんわ。武器は不可視の魔法がかかっているので見えないようになっていますけどちゃんと持ってきていますよ」

「不可視の魔法? そんなん聞いたことないけど魔法がかかってるってことは魔武器か? 魔武器はどんなやつでも高級品だから新米冒険者がそんなもん持ってるって知られたらクズ共に狙われるかもしれねえから気をつけろよ」

「ご心配していただいてありがとうございます。ですがそのような人がいるのなら容赦はしませんので問題はありません」

「ハハッ、そりゃ頼もしい限りだな」


 しばらく話しながら森の中へと進んでいくと絶えず聞こえてきていた鳥の鳴き声や小動物の足音、茂みを揺らす音が止んで急に静かになりだした。

 不意に訪れた静寂を不審に思っていると木々の間から巨大な影が現れた。

 2メートル以上の身長とガッチリとした体格に赤黒い肌、頭は少し黄色がかった白髪が生えていて髪の間からは2本の角が額から伸びている。腰には立派な毛皮を巻き、手には太い棍棒を持っている。オーガと呼ばれるモンスターだ。


「はっ!? なんでオーガがこんなところにいるんだよ!」

「オーガは森の奥に生息していると記憶していましたがこの辺りにも出るものなのですか?」

「いや、普通オーガは森の奥にある住処から滅多に出ないはずだぜ。てか赤黒い肌のオーガなんて通常のよりも厄介なやつだ、無事に勝てるかわからねえから逃げるぞ!」

「いえ、あのオーガは私が倒しますので逃げる必要はありません」

「倒すって新米が何言って……」


 話してるこちらに気づいたオーガが獰猛な笑みを浮かべ棍棒振り上げながら突進してくる。

 それに対してツクヨミは腰に差している不可視の刀「新月之一太刀」に手をかけ体から周囲に魔力を放出する。

 ツクヨミの周囲に魔力が満ちると同時にその中にオーガが入る。するとチャキンという音と共にオーガの体は縦に真っ二つになった。


「ふむ、オーガの体はとても硬いとありましたがこの程度でしたか」

「は、え? ツクヨミちゃん今何やったんだ? 何をどうやったらオーガが一瞬で真っ二つになるんだよ……」

「別段難しいことではありません、ただ刀を素早く振っただけですわ」

「刀を振ったって、そんなの全く見えなかったぞ……もしかしてそれがツクヨミちゃんの魔武器の能力だったりするのか?」

「いえ、私の武器は刀を鞘に入れている間は不可視状態になるというだけのものですのでそこまで大層な力はありませんわ」

「じゃあ今のは自分の身体能力だけで真っ二つにしたってことか……とんでもねえな」

「ところでこの後はどうすればいいのですか?」

「ん? どうするって?」

「いえ、本来森の奥に生息するオーガがこのようなところに来ていたわけですからギルドに報告とかをした方がいいのかと思いまして」

「あっ、そうか……確かになんの報告もしないってわけにはいかねえか。ツクヨミちゃんの実力でゴブリン討伐は十分できるってことはわかったからこのままゴブリン討伐続けさせたいんだけどよ、当事者なわけだから悪いんだけど一緒にギルドまで報告してくれ」

「わかりました、それでは戻りましょうか」


 簡単な依頼を受けてみて冒険者ギルドに慣れるという目的が失敗に終わったツクヨミなのであった。

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