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第9話「冒険者登録」



「ふう……さすがに疲れました」


 本を読み終わり一息つくツクヨミ。

 棚に本を戻すと受付嬢に軽く挨拶をして図書館を出る。

 利用証を発行してから10日経つが開館から閉館まで入り浸って様々な本を読み漁っていたので今では受付嬢や憲兵とも顔見知りになっていた。

 これまで読んできたのはこの世界について書かれた物、大陸やこの国の歴史、常識やマナーなど、この世界で生きていく上で必要となりそうな本だ。

 欲しかった知識を大体得ることができたツクヨミは満足した顔で宿泊している宿へ戻る。

 途中、おいしそうな匂いに釣られて食堂に入り、シュバリ牛ステーキとチーズを載せたパンを食べて夕食を終える。

 宿へ戻るとネグリジェに着替えてツクヨミはベッドの中に入り明日のことを考える。

 1番の目的である情報収集を終えたのでそろそろ冒険者ギルドに行って冒険者として登録しようと思っているのだ。

 前に聞いたお金を収納できるギルドカードを手に入れたいというのもあるが、冒険者へ出される依頼を受けてお金を稼ぎたいとも思っているのだ。

 他にも冒険者にはランクという制度が存在してG、F、E、D、C、B、A、Sまでのランクがある。

 危険な依頼をこなしたり、高ランクのモンスターを退治したりと功績を立てていけばランクは段々上がっていき、高いランクの冒険者であれば国の権力者等にも一目置かれるようになるとのこと。

 メイド服を着ているツクヨミが「自分は凄腕の傭兵です」と言っても笑われて追い返されるだろうが、そこに高ランクであるという肩書きが加わるだけで相手は態度を180度変えるのだ。自分の忠誠を捧げられる主人探しも楽になるだろう。

 王都では今日まで寝間着や下着を探したり情報を得るために図書館でひたすら本を読むだけだったが、明日からはいよいよ小説や漫画で読んだような異世界ライフを送ることになるのだととてもドキドキして眠りについた。


 朝日が窓から入り込み目を覚ますとベッドから出てネグリジェを脱ぎメイド服を着る。

 最初こそ脱ぐのも着るのも時間がかかっていたメイド服だが今ではだいぶ慣れて時間をかけることはなくなっていた。

 宿を出て、早速冒険者ギルドの方へ歩いて行く。図書館で王国の大まかな地図が載った本も読んだので大体の道は頭の中に入っているのだ。

 ツクヨミの滞在している王都フォロンは商店区画、高級店区画、中央区画、住宅区画、貴族住宅区画、冒険者区画、王城区画の7区画から成っていて今から行く冒険者ギルドは冒険者区画にあり、そこには冒険者向けの商店や宿等が建ち並んでいるらしい。

 冒険者区画に進んでいくと見かける人の外見も変わっていくのを感じる。

 鎧を身につけたごつい男やとんがり帽子に杖といういかにも魔法使いですよといった装備の女などの冒険者らしき人が目に入ってくるのだ。

 中心部に進めば進むほどそういった人達の数も増えていき、彼ら彼女らの姿に目を向けつつツクヨミは冒険者ギルドの方へと進んで行く。


 冒険者ギルドは3階建てでそれなりに大きく、扉から出入りする人の数も多かった。

 中に入ると中央には大きな掲示板が置いてあり、周囲には何人か集まっている。そこから紙を取った人が奥にあるカウンターへ持って行き、カウンターの奥で座っている受付嬢がそれに対応をしている。

 受付嬢は5人いてそれぞれが紙を持ってきた人に対応をしており、すぐにカウンターから離れる人もいれば時間がかかってる人もいる。依頼によって説明や忠告を受けたりしているのだろう。

 ツクヨミが空いてる受付嬢の方へ歩いて行くと周囲にいる人が惚けた顔をしたり、奇異の目線を向けたり、下卑た笑いを浮かべたりなど人によって反応は違うがとにかく注目された。

 そんな視線を特に気にすることもなく近づいていくとこちらに気づいた受付嬢が笑顔で声をかけてくる。


「ようこそ冒険者ギルドへ! 本日はどのようなご用件でしょうか?」

「冒険者として登録させていただきたいのですが」

「冒険者の登録ですね、かしこまりました! ギルドカードの発行に金貨1枚必要となるのですが大丈夫でしょうか?」

「ええ、お願いします」

「確かにお受け取りしました、それではこちらの紙に記入してください!」


 渡された紙は図書館で書かされた時と同じように名前、性別、年齢、職業の欄がある。ここでは更に自由記入としてフォーメーションと使う武器という欄があったのでフォーメーションは前衛、武器は刀と書いて提出する。


「ありがとうございます! ……ツクヨミさん、ですね……傭兵?」「はい、それなりの腕と自負しておりますわ」

「そ、そうですか……それでは早速ギルドカードを作成しますので少々お待ちください」


 そう言って受付嬢が紙を持ってカウンターの奥にある部屋に入り、少しすると戻ってきた。


「お待たせしました、こちらがギルドカードです。依頼を受ける際などに提示してくださいね。あとお金を収納できる魔道具にもなっておりまして、お金にギルドカードを近づけて魔力を込めると収納されます。お金を出したい時は出したい金額を思い浮かべて魔力を込めると出せます。もし紛失してしまい再発行することになったら結構なお金がかかりますので気をつけてくださいね」

「ありがとうございます。……早速依頼を受けたいんですけれどどうすればいいのですか?」

「依頼を受ける際はあちらの掲示板にある依頼書とギルドカードを提示していただければ受けることができます。ですが依頼にはランクによる制限がありまして、ツクヨミさんは今Gランクですので受けれるのはEランクまでとなってます」

「なるほど、ありがとうございます。ではどのような依頼があるのか見てきますね」


 掲示板の方に行き依頼書を見ると依頼書の右上にランクが書いてある。自分の受けれる依頼でめぼしいのを探していると無精髭を生やした柄の悪い男が近づいてきた。


「おう姉ちゃん、メイドがなんの依頼受けようってんだ?」

「あらどうも。冒険者になったばかりなのでとりあえずEランクの依頼を受けようと思って探してるんです」

「Eランクはモンスターの討伐が大半だぜ。いくら雑魚モンスターといっても装備も整ってない状態で挑むのは死ぬかもしれねえし大人しくGランクの依頼にしときな」

「ご忠告ありがとうございます。ですが腕には自信がありますし装備も万全ですので問題ありませんわ」

「装備が万全って……メイド服じゃねえか!」

「フフッ、ただのメイド服ではございませんよ?」

「なんだそりゃ……じゃあせめて俺をパーティーに入れてくれねえか? 報酬は別にいらねえからよ」

「気に掛けてくださるのはありがたいですが知り合いでもない私に何故そこまで?」

「ヘヘッ、そりゃあんたが美人だからお近づきになりてえと思ってな。それに本当に腕がいいんなら今のうちに親しくなっておけばなんかあった時に便利だろ?」

「そうですか、まあいいでしょう。ではよろしくお願いしますね」

「おお、よろしくな!」


 掲示板からEランク依頼「ゴブリン10匹の討伐」を取り受付嬢に持って行く。

 予定外の同行者だが特に問題とは思わなかった。

 冒険者になった以上知り合いは作っておいた方がいいだろう。もし(よこしま)な理由で付いてきて道中で襲うつもりなら容赦せずボコボコにするだけだ。


「そういえばまだ自己紹介が済んでいませんでしたね。私はツクヨミと申します、よろしくお願いしますね」

「俺はゲイルってんだ、改めてよろしくな」


 2人は冒険者ギルドを出てゴブリンがいる森へ行くのであった

どこにも売ってなかった本をこの前ついに見つけることができて読んでいたせいで投稿するの遅れました……申し訳ありません。

復讐モノのストーリーってすごいおもしろいですよね。


話の進みが遅いという感想をいくつか頂いたのでなるべく本編では設定とかを省いていつになるかは決まっておりませんが別途設定資料を書きたいと思います。

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