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第8話「初めてのお買い物」

 中央区画に着くと商店区画よりも人が少なかったことに少し驚いた。

 中央というくらいなのだから商店区画より賑わっているんだろうなぁと思っていたのだが、中央区間は商店もあるにはあるがその数は少ない。

 代わりに公園や病院等の公共施設らしきものが立ち並んでいた。

 憲兵も商店区画よりも多く配備されているようでよく見かける。

 用事を済ませて時間が空いたらここら辺の施設とかも見てみようかな〜と思いながら服屋を探していると服屋らしき看板が掛かった商店が密集している場所に着いた。

 そして親切なことに看板の絵は一目で男性向け、女性向けだとわかるようになっていた。

 早速女性用の服屋の中に入ってみると店の中にはチェストが置いてありその上に服を着せたマネキンが載っている。それが何カ所にも同じように配置されていた。

 客の女性はチェストの中からマネキンに着せられているのと同じ服を取り出してじっくり見ている。

 チェストの収納部は3つあるのでおそらく3サイズで分けられているのだろう、と推測して寝間着になりそうな服を探していく。

 見つからなかったので次の店に入るとそこは下着を専門に扱ってる店のようでマネキンは下着を着ていた。

 寝間着を買いに来たけど下着もそのうち買うつもりだったからこの店で先に下着を買うことにした。

 しかし女物の下着を買うなんて生まれて初めてなのでどう買えばいいのかと思い悩んでいると女性が近づいてくる。栗色の髪を三つ編みにして肩にかけていて可愛らしい外見だ。


「こんにちは、どの下着を買うか悩んでるの?」

「あら、どうもこんにちは。買うか悩んでいるわけではないのですけども、こういった下着を買うのは初めてですので……」

「あぁ、なるほどね。王都の下着ってすごいオシャレだから初めて買う時は戸惑うわよねぇ……原理はわからないけどだいたいのサイズの下着を付けたら調整されてぴったりのサイズになるからすごい便利よ」

「下着が調整、ですか……それはなんともすごい技術ですね……」

「そうよねぇ、王都で初めて下着を買った人はみんな驚いてるわ。実際私も初めて王都の下着を付けた時は感動したもの」


 下着の無駄にすごい技術力に驚きつつとりあえず6セット程買う。


「困っていたので教えていただき助かりました、ありがとうございます。私はツクヨミと申します」

「別に気にしないで、たいしたことをしたわけでもないし。私はエリナよ」

「エリナさんですか…… エリナさんはここら辺に詳しいですか?」

「そこまで詳しい訳じゃないけどだいたいはわかるわ」

「もし知っていたら寝間着を扱っているお店を知っていたら教えて欲しいのですが……」

「それくらいなら大丈夫よ、案内してあげるわ!」


 エリナに案内された店に入るとその店のマネキンが着ていたのはフリルをあしらったワンピースのような服、所謂ネグリジェだった。


「ここのネグリジェはかわいいし値段もお手頃だからオススメよ」

「そうですね、かわいらしいデザインです」

「でしょ? 私はそろそろ行くけどまた会えるといいわね」

「案内して頂きありがとうございました。しばらく王都に滞在するつもりなのでご縁があればまた会えるでしょう」


 エリナと別れて店の中を周り、適当にネグリジェを買う。

 思ったより時間がかかってしまったが無事にネグリジェと下着を買うことができたので一息つく。

 店を出るといい具合にお腹も減ってきたので昼食を食べようと思い寝間着を探す途中で見かけた公園に行く。

 ベンチに座り、アイテムボックスからラビットサンドを取り出すと買った時のほのかな暖かさが残っていた。

 もしかしてアイテムボックスに入れた物は入れた時の状態が維持されるのかな、と考えながら食べるのだった。



 ラビットサンドを食べ終わると公園を出て、近くにいた憲兵に図書館への道を聞く。

 公園から5分くらい歩くと他の建物よりもふた回り程大きな建物が見えてくる。看板も他の店よりも大きく、本の絵が描かれていた。

 扉の前には憲兵が3人程立っており他の場所よりも警備が厳重になっている。

 中に入るとすぐ近くにカウンターがあり受付嬢が座っていてそのすぐ側には憲兵が2人立っている。


「すみません、初めて図書館を利用するのですが……」

「初めてのご利用ですね、それでは証明書のご提示をお願いします」

「これですね」

「はい、ありがとうございます。ではこちらの利用証発行書に記入をお願いします」


 出された紙に名前、性別、年齢、職業等を書く。


「ありがとうございます、お名前は……ツクヨミさんですか。それでは利用証を発行しますので少しお待ちください」


 そう言って受付嬢はカウンターの下に潜る。3分程待つとカウンターから出てきて利用証を渡された。


「それではこちらが利用証となります。無くしてしまうと再発行の際に金貨1枚必要となりますので気をつけてくださいね」

「ありがとうございます、大事に保管しますわ」

「それでは簡単に図書館の利用説明をさせていただきます。まず図書館を利用するのは利用証を提示してもらった後に銀貨3枚必要となります。その後は閉館まで利用できますが外出してまた入館する際には再度払って頂くことになります。それと本の図書館外への持ち出しは禁止となっております。最後に、万が一本を破損させてしまった場合は買い取っていただくことになりますが本は最低でも金貨5枚以上しますので丁寧に扱うよう気をつけてください」


 その後も規定などについて軽く説明を受けたが図書館を利用するだけでお金が必要になるということに軽いカルチャーギャップを感じていた。

 銀貨3枚払い中に入ると大量の本が本棚に収められていて所々に椅子と机が置いてあった。

 はやる気持ちを抑えつつ目的の本を探すのであった。

ようやく本を読むことができるのでとても生き生きとしているツクヨミさんなのでした。

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