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殺人兵器が愛を知る方法  作者: たてごと♪
【エピローグ】
66/66

※オフ・レコード

※オフ・レコード


 救いの無い死を遂げてしまったリリィ。


 そんな彼女へ、命を与える方法がある。

 後悔と悲嘆に暮れていた僕へ、そんな事をトリィが言い渡した。

 リリィはもう逝ってしまったのに、もう既に灰にまでなってしまったというのに、一体何を言い出すのか。


 そう思ったが、聞いてみるとこういう話だった。


 結局、人の存在というものは不確かなものであり、では確かなものは何かと云えばそれは、心に残った想いである。

 だから、リリィを心の中に留め続ければよい。

 君の心の中にリリィがあれば、それは君にとってリリィが生きている事になる。


 そんな話だった。


 そんなものは詭弁。

 誤魔化しだ。

 そう主張してはみたがトリィには、では好きにすればいい。

 そんな風にあしらわれてしまった。


 納得できる訳は無い。

 だが、トリィの言った通りの方法でしか、リリィを捕まえておく方法が無い事も確かだった。


 しかしそれでも、そもそも人の心は移ろうものである。

 第一、傍には今、松平瑞穂が居る。

 彼女が好きであるのも本当の事だから、僕は次第にリリィが、僕の心から消え去ってしまうのではないか。

 そんな考えを持ってしまい、それを酷く怖れた。


 何か、形が欲しかった。


 もちろん、このマンションもある。

 墓もある。

 だがそれらは、リリィを表現したものではなかった。

 何でもいい、リリィとはどんな存在であったか。

 それを知る事ができる物。


 そんな物はまあ、探しても見付からなかった。


 だが僕はそのうちに、だったら自分で作ってしまえばいい。

 そう思い立った。

 分かりやすいのは、文章で残しておく事である。

 しかしでは、それは手記か日記か……。

 そんな時ふと目に付いたのが、お気に入りの文庫本。


 そうか、小説。


 振り返ってみれば、なかなか奇想天外な体験をしてきた。

 そんな内容の手記なんか誰も信じないだろうし、でもそれが例えばライトノベルなんかになってみたりしたら?


 それは、悪い考えではないように思えた。


 僕は早速、松平瑞穂からノートPCを借り受けると、ほとんど触り慣れないワープロソフトを操作し始める。

 もちろん、その過程ではどうしてもいろいろ思い出さざるを得ないから、涙は止まらないだろうが、きっとそれもまた悪くはない、筈だ。


 しかし、ライトノベルとするなら、その内容はあくまで架空のものとして扱われてしまうだろう。

 それが気掛かりではあるが、まあ贅沢は言わない。

 要は、心に残ればいいのだから。


 それでも、それに対する一応のささやかな抵抗として、その書き出しはこんなような感じにした。


 この物語はノンフィクションです。


 と……。


‐了‐

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