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殺人兵器が愛を知る方法  作者: たてごと♪
【4】狂乱
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〔4-9〕親子の対話

「ロイヤルストレートフラッシュ」


「……やめてよリリィ、そういうの本当に出しちゃうとか……」


「いえ、私も驚いているんですが……これはちょっと、いかさまでもしない限り、いくら出そうと思っても出せるものではありませんよ? 出る確率は、0.0015%強です」


「完全に運かよ……どんだけ強運だよ……」


「ふええええ……リリィちゃんって何かもう、憑いちゃってるんじゃあ」


「魔物が居る、ここに居る……成敗しなければ……やられるッ!」


「リリィ……おそろしい子!」


「削除。削除。削除。削除」


 そんな感じでみんなでガヤガヤやっている……いや、ガタガタ震えているのかな?

 とにかく遊んでいると、やがてこの家の主人は帰宅してきた。


「あ……父さん」


「織彦元気か? 久しぶりだな。ええと、松平瑞穂さん。それに、リリィ・ウォーターさんか。初めまして、こんばんは」


「あ……あの……こ、こんばんは……」


「こんばんは、お父様。お世話になっています」


「話は聞いたよ。むしろ、織彦のほうがお世話になっているとか。特に松平さんのお宅にはご迷惑お掛けして、申し訳無い」


「い、いえ、わ、私も……宮前くんには迷惑掛けてばっかりで……」


「私もオリヒコには、寄り掛かってばかりいます。こちらこそ申し訳ありません」


「おい織彦。どこでこんな出来た子たち、引っ掛けてきた?」


「いや……引っ掛けたというか……引っ掛かったというか……」


「この甲斐性無しめ。……ただ松平さん。少々苦情を言わせてもらえば、すぐに知らせてくれなかったのはあんまり水くさい。そのうちご挨拶に伺わせてもらうから、よろしくお伝え願えるかな?」


「あ……その、ご、ごめんなさい……」


「ああ、気にしないでくれるかな。一番悪いのは、何も言ってこなかったこの阿呆だ」


 ゴツン!


「痛いよ父さん! 父さんにもぶたれた事無かったのに!」


「お前は何を言っているんだ」


 父さんはそんな事を言いながら、今ぶん殴ったばかりの僕の頭をぽふぽふ叩いたりしている。


「まあ言えない気持ちは、解らんでもないがな」


「……」


 そういえば本当に、今まで体罰らしい体罰を受けた覚えが無い。

 とすると今のは、他所の人が居る手前の、パフォーマンスだったのだろうか。

 確かに、体罰はよくないとみんな口では言いつつ、実際には必要悪と認めてやっていたりするみたいだけれども。

 それについてよく、羨ましいとか何とか言われるし……。


 何か、難しいのかな?

 そのあたり。

 そうしないと、甘い、とか思われるとか。


「さて。腹は減ってるが、その前に話は済ませてしまおう。三日月と冬空と雨鳥、悪いがお前たちは退場だ。部屋に行っててくれ」


「えー。ぶーぶーぶーぶー」


「いい歳して駄々こねてんな。行くぞー」


「ぎゃー! みずちゃんリーちゃん助けてー!」


 下の姉は上の姉に引きずられるようにして、妹は無言で僕をにらみ付けてから普通に、二階への階段を登って行った。


 うんコレ、下の姉が一番長生きするパターンだよね?


「ま、座ろうか」


「あ、うん」


 父さん、母さん、僕、リリィ、松平瑞穂。

 五人、居間にある和室ローテーブルを囲む。


「まずは聞け、織彦。取りあえず、お前が何人の女の子と交際しようが、お前の人生だ。俺はそこには干渉しない。まあこの家は女だらけだったしな、お前にもいろいろあるだろう。俺も男だからな、それは理解する」


「うん……」


「ただ先に言っておくが、もしその事で何らかのお金が入用になった場合。つまり例えば、子どもが出来てしまった場合。それをどうするにしろ、うちからはビタ一文出さない。お金だけじゃなくて、手も貸さない。お前が自分でする事だからな。そこはよく考えて慎重に行動して欲しい」


「……はい」


「子どもを作ってはいかん、という事じゃあないからな? しかし、結婚の資格が無い人間が子持ちになればとんでもない荒波を受けるのは想像できるだろうし、それに結婚できるようになってからでもだ。相当の覚悟が要るし、覚悟だけじゃなくて経済力も要るし、子どもの為に自分の時間すら投げ出さなくちゃいけない」


「……うん」


「複数の女の子を囲んでいるなら、子どもや結婚の問題はなおさら深刻だ。もちろんそんな事は煩わしいと言って捨ててしまうのもお前の自由だが、そんな無責任な事をするなら当然ながら勘当させてもらう」


「うん……」


「そんな重たい話をしたいのではなくて、今は単に恋愛ごっこを楽しんでいたいと言うんなら……まあその場合は、しっかり避妊しときなさい」


「……はあ」


 結局、そういう話になるんですか。


「本題だ。ウォーターさんがお前に、マンションを買ってくれると云う」


「リリィと呼んでください」


「あ、そうか。ではリリィさんね。……織彦、お前はもしかしたら、そんなお金が簡単に出せるのならそれでもいいかと思っているかも知れないが、これは大変な事なんだ。たとえ、リリィさんが進んで申し出ている事でも、だ」


 あー……すいません。

 確かにちょっと、そんな考えでした。


「リリィさんがマンションを丸ごと買えるくらいの大金持ちだと云うなら、なおの事だ。人間の欲には際限が無い。今はそうは思っていなくても、時間が経つにつれて他の何かも欲しくなってくる。自分で努力しないで何かが手に入るとは、そういう事なんだ。お前が乱れないでいられるか。差し当たりそんな懸念があるんだが、そのあたりについてお前の考えが聞きたい」


「……えっと……」


 考えって言われても……正直、何も考えていなかった。

 何を、どう言えばいいんだろうか。

 また頭が、空転し始める。

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