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殺人兵器が愛を知る方法  作者: たてごと♪
【4】狂乱
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〔4-8〕乾杯

「この二人の美女への祝福と、この阿呆が地獄へ落ちる事を祈って、乾杯!」


「かんぱーい!」


「……はあ。カンパイ……」


 終業式が終わってからの移動だったので、それなりに昼を回ったが、実家へ到着した時には母さんに迎えられ、まずは乾杯をという事になった。


 そして今、刺身や天ぷらなどを中心としたいわゆるゴチソウが並べられ、乾杯の音頭を取ったのは前日の終業間際にいきなり有給休暇を申請するという荒業をやってのけたらしい上の姉である。

 父さんの姿だけはまだ無かったが、それを除けば大学生の下の姉。

 中学生の妹。

 一通りが集合していた。

 しかし、それにしても……これだけ頭数が揃って、男は僕一人だけか……。


 いきなり母さんに応対されてしまった松平瑞穂は真っ赤に染まり、それから今もガッチンガッチンに固まってしまっている。


 母さんは母さんで、そんな彼女にふふふふふふと微笑んだりしている訳だが。


 一方リリィは……無表情だからよく判らん。

 普通に質問されては普通に回答し、普通に食事している。


 無表情といえば、妹もリリィに負けじ劣らじの無表情で食べ物をガツガツ口へ放り込んでいるが、兄の僕には判る。

 これは怒っているな?

 いやいや、お前は僕の彼女でも何でもないんだから、腹とか立てる筋合いじゃないだろ。


 下の姉は、上機嫌でビールとかグイグイやっている。

 おいコラお前、まだハタチじゃないだろ。

 僕も時々ワイン飲むしダメとは言わないが、せめて慎ましやかに飲めよ。


 順当に行けば酒を口にするのは上の姉の筈だが、こちらは母さんに似てアルコールが得意ではない。

 麦茶をチビチビやっては、僕に問い掛けてきた。


「ううむ。つまり弟よ。リリィ殿の話を総合すれば、瑞穂殿が本命でリリィ殿が二号さんという事でよろしいか?」


「いや……そこはちょっと、いろいろ複雑で……」


「しかしこの容姿を見れば、リリィ殿が二号さんというのはすんなり通らぬな?」


「っつーか、リリィを二号って呼ぶのはヤメテ」


「ほう。いかでか?」


「あー……いや、とにかくヤメテ」


「ふむ。さようか」


「っつーか何なんだよ? その喋り方は……」


「弟よ。私は対応に困っているのだ。高校生の弟がいきなり、肉体関係を持ったという女の子を二人も連れ帰ってきたら……どー対応したらいいんじゃー! しかも、しかもこんな、こんな美少女二人と来た! けしからん、実にけしからん! ……私にゃー生まれてこのかた、そんな相手は……そんな相手はー! ……うううー……」


 知らんがな。


 轟沈した上の姉に替わって、妹が口を開いた。


「母さん……何かニイに言う事無いの?」


「ふふふふふふ。そうねえ、昔を思い出すわあ」


「……昔?」


「あら。昼間っからそういう話したいの?」


「……別に」


「まあ、そうね。一つ言う事があるとすれば……あと二年は、避妊をしっかりね?」


「……ダメだこの親、腐ってやがる」


 妹が食事に戻れば、今度は下の姉が僕へ話し掛けてくる。


「よう。何このみずちゃんって子、メチャカワじゃん。グヘヘ、ちょっと貸したまい」


「何言ってんだよ。っつーか、グヘヘ言うな」


「いーじゃんいーじゃん、先っぽだけ先っぽだけ」


「先っぽって何のだよ。貸さないよ」


「ちぇー。ところでさ、母さんが性におおらかで、びっくりしてる?」


「いや……それは、まあ」


「そこはあれだ。これだけ断続的に姉妹兄弟が生まれてるんだから、推して知るべしってとこなんじゃないの?」


「いや、よく解らんけれども」


「てか母さん、ずっと前だけど織彦の部屋で、イイモノ見付かったってエロ漫画見せびらかしに来たよ?」


「……ぶっ!」


「ヌード写真集とかエロ雑誌とかじゃなくて、エロ漫画、って所が織彦らしいよねえ」


「なっ、なっ、なっ……」


「あー、その様子じゃやっぱ、気付いてなかったんか。母さん優しいし、ちゃんと元通り戻してたんかな? ナイショねーとも言ってたし」


「……むしろ優しくねえよそれは……」


「ちなみに、かく言う私も今、彼氏二人居たりするぞ?」


「……は?」


「本命はもちろん一人だけだけどさ、あれだけしつこく迫られちゃあなあ。奴隷にだったらしてやってもいいぞって言ってやったら、あいつあっさりOKしやがった。言った手前、そんな返事されたら捨てる訳にも行かないじゃん?」


「はあ。みんなそれ、知ってんの?」


「母さんだけは知ってたけど?」


「何で僕の話だけバレまくってるんだよ……」


「ふん。弟よ。私にまずあのような写真を送ってきたのが運の尽きだ。親戚中に転送しまくってやったから感謝したまえよ」


「だそうだ。よかったな織彦」


「よくねえええええええええええ!」


 親戚中に転送とか、お茶目って世界じゃないだろ既に。

 いや、第三者的にはそうなんだろうか?


「しかし妹よ。お前にも相手が二人居たとは初耳だが……その。ものは相談……」


「あん? 一人寄越せってか?」


「どうして判った?」


「判らいでか。まあ奴隷ちゃんのほうは、はっきり言ってあげてもいいんだけど……あんたにゃあ無理だと思うよー?」


「……そんなに変な奴なのか?」


「いんにゃ、無理なのはあんたのほう」


「なん……だと……」


「どことは言えないんだけど、何か残念な感じが……見てくれは別に、悪くはないんだけどねえ?」


「そっ、そんなっ……。私は……私はー! ……うううー……」


 あ。

 また轟沈した。

 チビチビやってるアレ、本当に麦茶なのかな。

 どうも、泣き上戸の酔っ払いにしか見えないんだけれども。


 そんなこんなで、ささやかな宴を過ごし。

 そのままお決まりのアルバム&ビデオ暴露ショーなどを経て、夜を迎え。

 割と普通な夕ご飯を、食べ。

 ついでに、スイカとか食べ。

 食べながら、花火など嗜み……っつーか姉弟で激しく応戦し。

 その後は、適当にトランプなどに勤しみ……いや、何しろリリィはまんまポーカーフェイスで、だからそのゲームでは不動の王座を誇っていたけれど。


 そうやって過ごすも、しかしマンションの話は一切出なかった。

 まあそういう話は、父さんが帰ってから、という事なのだろう。

 あるいは姉妹たちには、その話は知らされていないのかも知れない。

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