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殺人兵器が愛を知る方法  作者: たてごと♪
【3】超人と呼ぶべき存在
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〔3-14〕三人目

 その時、その場に居る三人以外の者が発言した。


「何やら深刻な話をしているな?」


「……え?」


「だったら、死んでみないか?」


 そんな事を言い放った人物は、少し背の高い女性だった。


 その長髪は見事な栗毛で。

 その目は翡翠色。

 その顔は凛々しく美形。

 その歳の頃は二十代後半?

 身に着けているのは革製の黒い、よく解らないデザインの、手足むき出しの丈夫そうな服……。


 もちろん会った事など無い人物だが、しかしこれは、どう見ても。

 この人は。


「こんな所で初対面になるとは思わなかったぞ? マークⅡ」


「……」


「私はマークⅢ。今後よろしく」


「……」


「マークⅡ?」


 呼び掛けられたリリィは、しかしなかなか反応しない。

 そんなリリィに、マークⅢを名乗った女性はおどけてみせた。


「何か言ってくれないか? お姉さんは悲しいぞ?」


「では、一度だけ言います。私はリリィ。マークⅡなどというものではありませんので、よろしくどうぞ」


「リリィ? 名前なんてものがあったのか? マークⅡ」


「……」


「ああ、そうかそうか。なるほど」


 彼女は、リリィが言外に要求した、ある一定のルールを理解したらしい。

 鷹揚に頷くと、改めて話し掛ける。


「では、リリィ」


「私に何か用ですか?」


「いや今は、あなたには特に用事は無いぞ? 私は私の標的を追っていただけだからな。しかし、偶然にしても見付けてしまったのに、挨拶しない訳には行かないだろう?」


「そうですか。しかしもう、挨拶は済みました。用が無いなら行ってください、さようなら」


 年上の相手をあしらうリリィ。

 そんな光景に、ちょっと内心笑えてきた。


「待った待った、用はある。あなたには無いと言っただけだ」


「オリヒコを、殺しに来ましたか? それはさせません、オリヒコは私の」


「不正解」


「……は?」


「用があるのは、あなたにです。松平瑞穂さん」


 マークⅢと名乗った女性は、松平瑞穂に向き直る。


「私……?」


「はい。私はあなたの、命を貰い受けに来ました。申し訳無いが、ちょっと死んでみてもらえるかな?」


「死……?」


 まったく当たり前だが、言われたほうはぽかーんとしてしまっている。


 しかしこれは……新しい刺客が、松平瑞穂を殺しに来た?

 僕が狙われた理由すらまったく不明だが、しかしどうして彼女まで?


「マークⅢ。どういう事ですか?」


「あなたに説明する義務は無いんだが、説明が欲しいか?」


「教えてください」


「そうだな。タダで教えるのも何だから、取りあえず一つ言う事を聞いてもらおうか?」


「お断りします。でも説明はしてください」


 ぶっ。


 あんまりリリィ無双過ぎて思わず吹いてしまった僕を尻目に、マークⅢはぼやいた。


「マークⅡ、それはちょっと無いんじゃないか?」


「……」


「ああ、リリィ」


「あなたの言う事が真摯なものであるなら、一考するのもやぶさかではありません。でも今のそれは、単なる気まぐれなのではないですか? 私は、そんなものに耳を傾けるつもりはありません」


「手厳しいな。こんなでは苦労していないか? 宮前少年」


 え、僕ですか?

 えーとえーと……。


「リリィは、可愛い女の子です」


「そうか? だからといって何でも許していると、後で大変な事になるぞ?」


 あー。

 何か格好つけてみたら倍返しされてしまいました……。


「マークⅢ。話をそらさないでください」


「言うと思うか?」


「その場合は、実力行使をする事になります」


「私はマークⅢだ。バージョンナンバーの高いほうが、能力も高いのは常識だが?」


「勝敗は、能力の優劣で決まるものではありません。試してみますか?」


 マークⅢは、苦笑した。


 ……って、あれ?

 苦笑した?


「やめておく。あなたの言う通りだ。本当に能力差があるのかどうかは実は知らないんだが、いかんせん私には実戦経験が無い」


「では、早く説明をしてください」


「せかすな。まあ、勿体ぶっただけで大した説明にはならないが、そこは勘弁して欲しい。彼女を殺す目的は、あなたの宮前少年と同一のものだ。それだけだが、いいか?」


「それでは説明になっていません。私は、オリヒコを殺さなければいけない理由を知らされていませんから」


「……何だって?」


 その言葉にマークⅢは、非常に驚いたらしい。

 その表情は明らかに驚愕のそれである、のだが……。


 表情?


「それともあなたは、それを知っていますか?」


「それは私が尋ねたい。あなたは何故それを知らないんだ?」


「どういう事ですか? 私が知らない理由は、知らされていないという以外にありません」


「本当に知らないのか。あなたを完全体にする為だろう?」


「まったく話が見えません。完全体とは何ですか?」


「……マスター、これはどういう事だろうか?」


「マスターがここに居るんですか?」


「いいや、今のは私の独り言だ。しかし本当に、どういう事なのか……」


 待ってー?

 僕と松平さんにはもっと話が見えないですよー?

 置いて行かないでー?


「分かりました。私をまったくの無知という前提に立てて、すべてを話してください」


「それはやや膨大過ぎる。あなたから、知りたい事を尋ねてくれないか?」


「そうですか。ではまず、完全体とは何ですか?」


「それについては逆に前提知識を尋ねるが、我々が何であるかは知っているか?」


「殺人兵器」


 マークⅢが今度見せた表情は、怪訝のそれである。


「……何だ? それは。一体どこからそんな勘違いが……」


「違うんですか?」


「違う。その、兵器というのは何の事だ? 我々は、人間だ」


 ……。

 え?

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