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第一話

 羽賀うがしょうという男を私が語る前に、先ずはこの男のご近所での評判を皆様にお伝えしよう。彼が生活をしている街の住民に「羽賀うがしょうとはどんな人ですか」と質問してみる。



 「毎朝きちんと挨拶してくれるのよ。しかもこの前なんて髪の色を変えたのをすぐに気がついてくれたの、主人も気づかなかったのに」(35歳女性カリスマ主婦)


 「あれっすよ、文武両道ってやつっす、彼こそ魔王っす。もう尊敬してますっ」(15歳男性中二病学生)


 「この前ねぇ、病院までおくってくれたのよぅ。荷物まで持ってくれたのよぅ。うふ♡」(82歳女性ゲートボール界のマドンナ)


 「翔様が微笑をみるだけで胸がドキドキしてる男がたくさんいるはず。」(16歳腐女子学生)


 「イケメン……それにいい香り……」(19歳女性ストーカー予備軍)


 「いやぁ、俺が若い時にそっくりだよ」(45歳男性元ホストの八百屋)


 「私が若かったら本気で落としにいってたわぁ」(40歳男女性OKAMAバーななみのママ)



 ご近所の意見を聞いて皆様は思っただろう、なんてバラエティ豊かなご近所なんだと。しかし皆様の期待を無視して、ここでは一切ご近所事情には触れないでおく。とにかく、羽賀うがしょうという男はご近所でもすこぶる評判のよい男だという事がお判りいただけただろう。


 さて、私にとっての羽賀うがしょうと言う男は一言で終わる【変態】それ以上でもそれ以下でもない。この人の良さそうな美男子の仮面の下は変態で出来ている。ではいかに彼が変態なのかがわかる話を一つしてみよう。


 あれは一昨日のことだ。私は授業も終わり友人と一緒に帰宅しようとしていると、羽賀うがしょうが私のクラスに現れた。


 「彩、一緒に返ろう」

 

 因に、彩とは私の名前である。この男、通常は私の事を【アーたん】と気持ちの悪い呼び方で呼ぶ。しかし友人やご近所さんの前では【彩】と呼ぶようにお願いし、3週間の攻防の末なんとか【彩】と呼ばせる事に成功したのだ。


 「なんで?」

 「何でって、今朝約束しただろう」


 因に約束などしていない。今朝この男がなにか言っていたのは気がついていたがガン無視して登校したのだった。


 「今日は、サオ達と帰るから無理」


 因にサオのフルネームは山田やまだ沙織さおりだ。


 「先に約束したのはこっちだよ。沙織ちゃん、ごめんね。彩はつれて帰るから」

 「はい、どうぞ」


 本人の了承も得ずに取引を成立させる2人。私の抗議の声はサオには届かないようで、手を振りながら笑顔で教室から退場してしまった。女の友情と言いうものは男の前では儚いとはよく聞くが、このパターンは無いと思う。サオにはもう少し友情を大切にしてほしい、頼むから


 「さあ、帰ろうか」


 有無を言わさぬ勢いで私の鞄を素早く取り上げた挙げ句、そのまま手をつなぎだす。


 「手、離してよ」


 鞄を持って頂けるのはありがたいが、手を繋ぐのは拒否したい。


 「アーたんは照れ屋だな」


 振り払おうとする私の手をしっかり握りながら、目にも留まらぬ早さで私に近づき、おでこにキスをした。



 さて、これまでの流れを読み、皆様は羽賀うがしょうという男の何処が【変態】なのかと思われたかも知れない。むしろ一部の方は「いや〜ん、超ラブラブカップルじゃんっ」とすら思ったかもしれない。確かにこれが両思いのカップルの通常授業の日ならば確かに、ラブい光景だ。しかしそうでないからこそ羽賀うがしょうが【変態】なのだ。


 まず、今は3月中旬である。ついでにいうと、私は高校1年で羽賀うがしょうは高校3年である。ここで大抵の方はこの異常さに気がつくだろう。一部の高校生活などとうの昔で思い出せない人、もしくは学生生活など記憶から抹消している方のために補足説明をしておこう。我が校の3年生は3月1日に卒業している。つまりこの男はわざわざ卒業した学校まで私を迎えにきたのだ。


 さらに、これが一番羽賀(うが)しょうが【変態】な理由なのだが、私のフルネームは羽賀うがあやである。偶然にも名字が一緒だった……ならよかったが、私は羽賀うがしょうの実の妹なのだ。よくある少女漫画的展開で両親の再婚により兄妹になったとか、どちらかが養子であるなどという事もなく、正真正銘同じ親の遺伝子を引き継いだ兄妹である。


 なぜ私がこんなにもはっきり実の兄妹であるといいきれるかと疑問に思った人もいるだろう。もしかしたら、本人達は知らないだけで、など思った人もいるかもしれない。しかし私と兄が実の兄妹だと言う事は科学的に実証されているのだ。数年前、微かな望みをかけた兄がかってにDNA検査を…妹の了承も得ずにおこなったのだった。そしてその結果、人権無視した因果応報か兄は望まぬ、しかし変えようも無い事実を知る事になった。


 その事実を知った後からは結婚の話を持ち出さなくなった所をみると、兄も日本の法律は守るつもりらしい。兄になけなしではあるが常識があって私は胸を撫で下ろしたのだった。流石に身内に犯罪者を出したくなかった。兄の進路先が某有名大学の法学部な事に一抹の不安を覚えつつ、私は変態兄をあしらう日々を送っている。


 たとえ私を隠し撮った写真が大量に兄の部屋を埋め尽くしていようが、たまに使用中の筆記用具が行方不明になり後日兄の部屋からそれを見つけようが、夜中に寝苦しくて目を覚ますと兄が私の頭を幸せそうに撫でていようが、私は耐えることが出来る。なぜなら私たちは兄妹、いずれは別々の家庭を持つのだ、いずれは別々に暮らす事になるのだ……日本の法律が変わらなければ。


 いくらハイスペックな兄であろうと、たった一人で法律を変える事は出来ないはずだ。いくら昔兄妹間での結婚が常識だったと兄が声を高くして訴えようが、二親等間結婚を認めるという法律に賛同する日本人は少ないはずだ……ここは古代エジプトではない…私は日本人を信じている。頼む日本の皆様、私の私の貞操をお守りください。


 後日私は知る事となる、日本の皆様に祈っただけでは足りなかったと。私の貞操は私の想像超え、ものすごく非現実的ファンタジーな方法で脅かされる事になる。


最後まで読んで下さってありがとうございます。


見直しはしているのですが、誤字脱字がどうしても見つけられない人間です。なので、教えて下さると画面の前で頭を下げて喜びます。

日本語も怪しいのでおかしい所があれば指摘くださるとうれしいです、この作品では訂正できないかもしれませんが、後日、ご指摘を胸に他の作品に望ませて頂きます。

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