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VRMMO 武蔵との2人組(中)

武蔵に続いて森の中に入ると、確かに2人が余裕で並んで歩ける幅がある道があった。少し蛇行しながら奥に伸びている道は、枯れ葉が被さっており地面は見えない。道以外の場所は木々と背の高い雑草が生えている為、地面が見えなくても道なりが分かる感じである。高い木々の枝葉が生い茂っている為、少し薄暗い。


「森の中はこんな感じなんだね。」


「ああ。このまま道なりに歩いて行くけど、時々敵が出るんだ。ここの敵は草原の奴らより強いから、ここからダチには防御主体になってほしい。攻撃は数が減ってきたらにしてほしいがいいか?」


「最初に聞いていたから大丈夫だよ。どんな敵が現れるの?」


「俺が戦ったのは3種類だ。枯れ葉の集合体なのと、体が枯れた幹なのと、大きい団栗だった。戦い方は出会った時に教えるな。」


「(どれも出会った事が無さそうだなあ。)分かった。他に生物はいないの?」


「そういえば見かけて無いな。探せば小さい昆虫ならいるだろうけど。」


「(この森にはウルフはいないらしいな。)なるほど。じゃあ行こうか。」


そのまま武蔵と道なりに歩いていると斜め前方の森の中から、枯れ葉が集まって50cm位になっている人型の敵と、やや細めの枯れた幹が1m位の高さで折れて地面から根が出て歩けるようになっている敵が出て来た。


「早速出やがったな。ダチ、枯葉のヤツは周りの枯葉を飛ばして来る。大盾で防げるはずだ。幹のヤツは根をこっちの足元まで伸ばして攻撃してくる。俺は幹のヤツから叩くから、ダチは枯葉を防ぎながら地面を見てくれ。伸ばしてくる根の動きはそんなに早くない。ダチが狙われたら、積もっている枯葉の揺れで分かるから、危なくなったら移動するか盾で防いでくれ。」


武蔵は喋りながら雷魔法の詠唱をして、終わったと同時に幹に向かって行った。


(ええ!?いきなり情報が多いよ!?と、とりあえず枯葉の攻撃を此方に引き付ける為、枯葉の敵に近付こう。)


そう考えて枯葉の敵の前に向かって行く。すると、枯葉の敵がモゾモゾと動いたと思ったら下に落ちている枯葉が数枚宙に舞い上がり、敵の周りを回り始めた。


(他のゲームでもこういう動きを見た事がある。恐らくいきなり飛ばして来るのだろう。)


そう思っていると、舞っている枯葉が止まったかと思ったらかなりのスピードで此方に向かって来た。


(思ったより早いな。でも予想していていたから防御は間に合う。)


大盾を構えて迎え撃つ。飛んできた枯葉が大盾に当たった瞬間『バシバシィン!』と言う音と共に弱い衝撃が大盾から伝わった。


(枯葉がぶつかったとは思えない音と衝撃だな。幸いダメージは貰わなかったが。さて、どうするか…おっと、幹の根を忘れていた。)


大盾を枯葉の敵に向けたまま、枯れ幹の敵の方を見ると、武蔵が素早く敵に向かって走っていた。枯れ幹の敵は一見動いていないように見えるが、積もっている枯葉の揺れが武蔵にややゆっくりと向かっていた。

武蔵と枯葉の揺れがぶつかる直前、武蔵は斜め横にジャンプをした。その直後、武蔵がいた場所にビュっとやや尖った枯れ根が現れた。


(伸びてきた根は足元から突き刺すような攻撃をしてくるんだな。直撃したら痛そうだなあ。武蔵の回避は慣れている感じだったから最初は喰らったりしたのかな?)


武蔵は回避した後、そのまま敵に向かっていき、槍で枯れ幹を薙ぎ払った。敵のHPは3割強減ったが、雷魔法の効果が切れてしまった。攻撃を受けている間に敵は新しい根を武蔵に伸ばしており、武蔵は攻撃した後、距離を取って積もっている枯葉の動きを見て回避しようとしているようだった。


(戦い慣れているようだから手助けはいらなそうだな。根は同時に1本しか伸ばせないみたいだから、こっちまで伸びて来る事は無さそうだ。)


そう考えていると、急に鎧越しの背中に『バシバシィン!』という音と共に衝撃があり、少し仰け反ってしまった。少し叩かれた様な痛みもあり、HPが1割減ってしまった。


(何だ!?今のは枯葉の攻撃か?)


驚きながら振り返ると、何時の間にか枯葉の敵がおれの後ろ側に移動していた。


(しまった。ちゃんと見ておかないとダメだな。武蔵への加勢がいらないのなら、こいつはおれが倒してもいいよね?)


大盾を構えながら敵に向かって行く。敵は落ちている枯葉を浮かし始めていたが、攻撃にはまだ時間が掛かりそうだったので、そのまま突撃しながら大剣で切りつけた。

敵のHPを3割強減らす事が出来たが、攻撃用の枯葉は止まらずに宙を舞い始めたので少し距離を取り大盾を構える。


(この先、どのくらい戦闘があるか分からないからなるべくダメージを受けないようにしないとな。武蔵が枯れ株の敵に3割強のダメージだったよな。敵の防御力や雷魔法の影響は分からないけど、おれと攻撃力の差はあまり無いみたいだな。あ、そうだ、今の間に敵を『観察』しておこう。)


敵の攻撃を大盾でガードしながら敵を観察する。数秒後、『枯葉人形 枯葉が集まって出来た人形 身体が軽く、移動速度はやや遅めだが足音がほとんど聞こえない。周囲に落ちている枯葉を操り飛ばして来る。レベル12 HP50 属性?? 弱点??』と表記が出た。


(ウルフより強いのか。それにしても、何時になったら属性や弱点が分かるのだろう?)


観察後、再び敵に向かって行き、大剣で切りつけ、少し距離を取って大盾でガード。これを2回繰り返して倒すことが出来た。

武蔵の方を見ると、敵のHPは残り1割以下になっており、ちょうど武蔵が攻撃した直後のようで、敵から距離を取ろうとしている所だった。


(後一撃で倒せそうだな。ここからだと加勢出来ないからあの敵も『観察』しておこう。)


枯れ幹の敵を観察すると、『小枯幹 小さい枯れ幹がモンスター化したもの 身体がやや堅く防御力が少し高い。根を伸ばして攻撃してくるが、その間は動かない。レベル13 HP60 属性?? 弱点??』と表示された。


(防御力が少し高いのか。武蔵の攻撃力はおれと同じか少し高いのかもな。)


その後、根の攻撃を回避した武蔵が敵に攻撃して倒した後、こちらに歩いて来た。


「そっちも片付いたみたいだな。やっぱりダチがいてくれると1体に集中できるから戦闘がすごく楽になったぞ。」


「戦い慣れていたようだけど、1人の時はどうしてたの?」


「ひどかったぞ。最初の頃は、敵の攻撃方法を知らなかったからダメージ喰らいまくるわ痛いわで正直逃げた。毎回、3種類の敵の中から2体出てくるから、1体は放置しておくしかなくて腕に付けてる盾は小さすぎるから、ほとんどの攻撃を被弾しまくったな。スライムからのポーションが無くなったり疲労が溜まったら、草原に戻ってポーション集めて疲労回復してからまた森に入って…を繰り返してた。」


「うわあ。それはキツイなあ。」


「だから奥の方まで行った事が無いんだけど、今回はダチがいるから奥まで行けそうだな。」




それから少し歩いたら、Y字型の分かれ道に着いた。


「これが『問題』の分かれ道だ。」


「(左右ともほぼ同じ道幅で、周りの草も特に差は無いみたいだな…でも若干、右の方が暗く見えるような…上の方の違いは…右の方が木の葉が少し生い茂っている、かな?)確か、『Bar Minority』にいた時に『迷いの森』って言っていたけど、これのこと?」


「そう名付けてみた。どっちに行ってもまた同じ様な分かれ道で、少なくても3回は分かれ道だった。因みに、どんなに奥まで進んでいても引き返したら直ぐに入口に戻れるんだ。で、最初から敵の出現含めてやり直しになる。」


「(ゲーム内での名前が付いている訳では無かったのか。)諦めなかったのが凄いと思う…。」


「『森の奥に行ってみたい』と思っているからな。とりあえず左に進んでみるか。」


左側を進んで行くが、特に周りの景色に変化は無かった。


(恐らく、何か法則みたいなのがあると思うんだけど、今の所は何も分からないなあ。…ん、前方の草が揺れてる、敵だな。)


武蔵も気付いた様で、立ち止まって戦闘体勢に入る。出て来た敵は15cm位の団栗2体で、少し跳ねる様に移動して、おれ達の前方で止まった。


(団栗にしては大きいけど、さっきの敵達よりは小さいな。)


「こいつら2体か。ダチ、こいつらはいきなり突撃してくる。その後は短時間動かなくなって、また突撃してくる。その突撃が結構強いんだ。2体の場合はタイミングをずらして交互に突撃してくるから、ダチは防御に専念してくれるか?俺が攻撃した後の敵を攻撃していく。残り1体になったらダチも防御した後に攻撃できる時間が出来ると思う。」


「分かった。」


攻撃を受ける為、敵の前面に出て大盾を構える。武蔵はおれの後ろで雷魔法を詠唱している。敵は最初は動いていなかったが、すぐに左側の敵が小刻みにブルブルと少し震えだした。


(あれが突撃してくる前兆だろうな。)


数秒震えた後、枯葉の攻撃と同じ位のかなり速いスピードで此方に突撃してきた。大盾にぶつかった瞬間、『ッカーン!』という大音と共に、枯葉の時より大きい衝撃が身体へと伝わった。完全に防いだがHPが0.2割程減ってしまった。


(まるで鉄の玉が思いっきりぶつかった位の衝撃だ。なんて硬い団栗なんだろう。微量だけどダメージを受けるか…武蔵が1体倒すまでどの位かかるのかが問題だな。あ、今の内に『観察』しておくか。)


攻撃してきた敵は盾にぶつかった後、反動で少し後ろに飛んで行き、そのまま地面に落ちて動かなくなった。

敵が動かなくなった直後、雷魔法の詠唱が終わった武蔵が素早く前に出て敵を薙ぎ払った。敵へのダメージは約3割といった所で、攻撃後此方の後ろに戻ってきた。


武蔵は「今度はもう1体の方が突撃してくる。注意しておいてくれ。」と言った後、再び詠唱に入った。


(1体倒すのに3回位かかるのか…長期戦になりそうだな。)


そう思っていると、敵の『観察』が完了した。『小団栗 小さい団栗 身体が硬く防御力が高い。いきなり突撃してくるが、突撃時以外は動かない。レベル15 HP50 属性?? 弱点??』


(防御力が高いのか。魔法の方が相性が良さそうだな。というか、あの大きさで小?)


『観察』が完了したのでもう1体を見ると既に震えだしており、急いで盾を構えて敵の攻撃を防御した後、詠唱が終わった武蔵が最初の敵に攻撃してHPを半分以下にまで減らした。


「次の攻撃の時はダチも俺の後に攻撃してくれ。倒せるはずだ。」


「分かった。」


その後、敵の攻撃を防いで武蔵との連続攻撃で1体を倒した。残る1体は逃げずに攻撃してきた為、防御しながら戦闘を続けて2体共倒すことが出来た。


「よし、終わったな。敵の攻撃を防いでくれてありがとな。おかげで俺はダメージを受けなかったぜ。ダチはHPが少し減ってるが、防御しても減ったりするのか?」


「強い攻撃だと受け止めきれないみたいで一部のダメージをもらっちゃうね。今回は少量のダメージだし戦闘中でも動いていない時に自動回復するから大丈夫だよ。」


「なら良かった。よし、先に進むか。」


その後暫く進むと再び分かれ道に出た。


「(今度は左右の明るさも含めて違いは無いように見えるなあ。最初の分かれ道で選んだ若干明るく見えた左側と同じくらいの明るさだな。)今度はどっちに進んでみる?」


「次は右に進んでみるか。」


その後、右側を進んで行くが、やはり周りの景色に変化は無かった。


(うーん、何も変化が無いなあ。この先、もし左右で明るさが違う分かれ道があれば、次は暗く見える方をを進んでみた方がいいかな?)


その後、敵2体との戦闘(枯葉人形と小団栗で、おれが小団栗と枯葉人形の攻撃を大盾で防いで、武蔵が枯葉人形から倒し、2人で小団栗を倒した。)後、暫く進んで分かれ道に着いた。


「さて、今度はどっちを選ぶかだな。左、右と来ているが。」


「(今度は…右の方が左よりやや暗く見える。最初の分かれ道と同じ感じだな。うーん、これは所謂『ループ』では?)…今度は右に行ってみない?」


「ん?何かあるのか?」


「右の方がちょっと暗く見えるんだよね。最初の分かれ道の時も右の方がちょっと暗かったんだけど2回目の分かれ道は両方側とも明るかったから、今度は暗い方を選んでみたらいいかなって。」


「そうか?うーん…眺めても違いが分からんが、俺にはどっち選べば良いのか分からんから右にするか。」


右に進んでみると、今までの道よりほんの少し木々の影が増えたように見える道だった。


「これで何か変わってくれるといいんだけどな。」


「今までの道より若干暗くなった気がするし、合ってると思いたいなあ。」


「さっきの分かれ道の時もそうだったけど、俺には違いが全く分からんぞ。ダチは目が良いんだな。」


「おれにも『なんとなく』としか分からないけどね。『観察』スキルのおかげかも。」


その後、敵との戦闘(小枯幹2体で、それぞれ1対1になり走り回って根の攻撃を避けながら倒した。)後、先に進もうとしていると武蔵が「おっしゃ!」とガッツポーズをした。


「どうしたの?」


「今の戦闘で『身体能力』と『中距離武器(槍)』のスキルが30になって、槍のスキル『貫通突き』を覚えたんだ。使ってみてー!」


「(最近ログインしていなかった&途中時々逃げて休憩していたとはいえ、朝からしていて今スキル30になった?適性7ってかなり上がりにくいんだなあ。)この先どの位戦闘があるか分からないけど、ちょっとなら使ってみてもいいんじゃない?」


「よし!次使ってみるか!」


そう言って嬉しそうに進みだした武蔵に続いて暫く歩いた後、分かれ道に出た。


「結局分かれ道かよ…。」


「…今度は左の方が若干暗いかな。右はさっき選んだ右側と同じ暗さかな。見た感じ、最初の頃の明るい道は無いと思うよ。」


「俺には相変わらず変化が分からんが、先に進んだって事か?」


「だと思う。森の奥に進んで来たって感じでいいと思う。」


「よし!じゃあ先に進もうぜ!スキルも使いたいし!」


そう言って、待ちきれないという感じで早足で進んで行く武蔵を追って森の奥に進んで行った。



ダチ

職業 ランク2 修練盾戦士


スキル 

盾(大盾) 適性10 初段 レベル5→7

身体能力 適性10 初段 レベル5→7

近戦武器(大剣) 適性9 レベル36→39

観察 適性8 レベル22→28


アクティブスキル

シールドプッシュ

リモートシールド

ビッグシールド

回転切り

貫通突き


装備 

初心者用大剣 攻20+2(10%)

初心者用大盾 防22+4(20%)

初心者用鎧 防16

初心者用兜 防10

初心者用グリーブ 防10

敏捷の腕輪 防2 


総攻22 総防64+6(10%)

肉体疲労10%軽減(身体能力)

HP10%上昇(身体能力)

HP回復力10%上昇(身体能力)

満腹度減少速度10%上昇(身体能力)

状態異常耐性10%上昇(身体能力)

行動速度10%上昇(敏捷の腕輪)



武蔵

職業 ランク1 槍戦士


スキル(ダチと森に入ってからの上昇値)

魅力 適性9 レベル20 変化なし

雷魔法(補助) 適性8 レベル32→38

身体能力 適性7 レベル26→30

中距離武器(槍) 適性7 レベル26→30


アクティブスキル

疾風突き

貫通突き

雷魔法(補助) 自身に付与

雷魔法(補助) 自身の武器に付与


装備 

練習用パイク 攻20+2(10%)

初心者用小盾 防6

初心者用軽鎧 防10

初心者用帽子 防4

初心者用靴 防4


総攻22 総防24

肉体疲労10%軽減(身体能力)

HP10%上昇(身体能力)

HP回復力10%上昇(身体能力)

持続時間10%上昇 (雷魔法(補助))

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