リアル 部活の存亡
これからも超スローペースでの投稿になります。
今日の夢は『部活の皆と砂浜をジョギング中に、洞窟を見つけて肝試しな感じで中を探検する』内容だった。どう考えてもリアルとVRMMOがごっちゃになった結果であろう。そういえば部活の皆はVRMMOの事知っているのかな?確か稼動初日頃に部室での雑談に上がっていた筈だけど。
着替えて家を出てジョギングしながら今日の事を考える。今日は教頭先生に返答をしなくてはいけない。
(僕的にはラグビー続けたいし、皆も頑張る努力はするだろうから、後は新しい監督次第だと思うけどなあ。)
大学に着いてそのまま朝食を取っていると、小野君と昨日の部員達がやって来た。
「大原は相変わらずだなあ。今日が教頭に返事をする日だってのに。緊張とかしないの?」
「うーん。緊張してもしょうがないし、聞かれたら僕の意見を言うだけだし。」
「それはそうなんだけどね。じゃあ今日も午前は基礎練?」
「そのつもりだよ。」
「じゃあ一緒にしようかな。その方が気が紛れるし。」
その後皆と基礎練をした後、小野君が「皆と一緒にいたら寝過ごす事もない!おれって頭いいー。」という事で、昼食も一緒に取りそのまま進路指導室に行く事になった。そして食べている時に『ラグビー部員は昼休み後に進路指導室に集まって下さい』と放送が鳴った。談笑していた部員達は急にそわそわし始めた。
「とうとう来たか。緊張するけど大原、行こうぜ。」
小野君からの言葉に返事しながら、皆で進路指導室に向かった。着くと、室前には他の部員達が集まっており、やや重い空気が静かに流れていた。そんな中、小野君が「お前らも暗くなる位なら基礎練すりゃ良かったのに。」と話しかけていた。
しばらく待っているとドアが開いて、中から一昨日と同じ先生が出て来て「今度は静かに待っていた様だな。」と言いながら中に入るように促した。
中に入ると一昨日と同じ光景となっていた。違うのは、何故か皆に後ろから押された所為で自分が一番前にいる事だろうか。
全員が中に入り、ドアが閉まった所で教頭先生が「さて、皆集まったようだね。一昨日言っておいた事は覚えているだろうか。『部活を再開し、新しい監督が入っても事件等が起きず、且つ良い成績を残せるかどうか』の事だが、皆の考えは決まっただろうか。・・・一番前にいる、前回質問してきた君、君の考えを言ってくれ。」
まさかいきなり僕が答える事になるとは思わなかったので、少し緊張しながら口を開いた。
「えと、僕なりの考えですが、まず新しい監督との事件は起こらないと思います。前の監督は僕達やOBさん達の意見を聞かず、自分の考えのみで決めていく人でした。また、気が荒くて暴力的でもありました。なので試合で柔軟な対応や指示が出来ず、辛勝とOBさん達からの苛立ちで部員に暴力を振るったんだと思います。そして日頃から、意見を聞いてくれないので不満が溜まっていた部員達の堪忍袋が切れたので今回の事件になりました。なので、新しい監督がきちんとしていれば部員やOBさん達と衝突することは無いと思うので、大丈夫だと思います。」
「ふむ、なるほど。ではいい成績は残せるのはどうなのかな?」
「僕達はこれまで通り練習をします。後は、新しい監督が『今の僕達が勝つ為に足りていない物』が分かっており、それを補強する事が出来て、人間関係で問題を起こさなければ大丈夫だと思います。」
「その『今の僕達が勝つ為に足りていない物』と言うのは?」
「前の監督は、個人の技術を向上させるだけの練習でした。それだけでは細かい連携が取れず、勝利するのは難しいと思います。ただ、それを改善してもそれだけでは去年より良い成績を出すのは難しいと思います。『今の僕達では思いつかない練習や技術』も取り入れるべきだと思います。」
「なるほど。分かった。では『新しい技術を持っていてきちんとした新しい監督が来たら、暴力等を起こさず、練習も真面目にし、成績も上げる』と言う事でいいかね?」
「・・・成績に関しては出来る限り頑張ります。」
「・・・ではその条件で新しい監督を探してみよう。ではラグビー部は現時点では廃部にはしないので、部室と道具・グラウンドも使っていい事とする。新しい監督が見つかり次第、報告しよう。以上だ。」
『ラグビー部は廃部にならず、普通に部活が出来る』
そのことが分かった瞬間、心が軽くなった感じがした。まだまだ大変な状況だが、取り敢えずはラグビーを続けられる事が分かった為だ。
周りの部員も同じ気持ちなのだろう。室内の空気も軽くなったような感じがする。
そして全員が退出したら一斉に『っしゃああああ!』の叫び声。すぐに先生が出て来て『おまえらするさいぞ!』の大きな声。でも皆は雄叫びを上げた後、口々に喜びと不安だった事を大声で言い合っている。
1人の部員が、「おい、部室行こうぜ!久しぶりにボールに触りてえ!」と言うと、一斉に部室に向かって走り出す。僕も最後尾になりながら後に続いた。
数日振りの部室に入ると埃臭く少し汗臭い、懐かしい匂いを残していた。ボールを手に取ると懐かしい感触と共に、今までのたくさんの試合や練習の事を思い出し、目から涙が出そうになった。
他の部員もボールを触ったり、懐かしさや喜びを語り合っていた。
その後、部室や器具を掃除して、夕方までグラウンドに器具を設置し、思い思いに練習をした。
練習後、今日もお開きの言葉を小野君から頼まれてしまった。
昨日と同じ様に緊張して何も思い付かなかったので、「このまま存続させる為に頑張りましょう。」と一言で終わらせてしまい、小野くんが「短いよ!」と笑いながら言い、お開きの言葉をまとめていた。
器具を外して、部室で着替えて帰る準備をしていると小野君から、「皆、この数日の不安が無くなったから、この後何人かでカラオケと食べに行くんだけど、大原もどう?」と言われた。今まで誘われた事が無かったから凄く驚いた。
食べは良いけれど、カラオケはほとんど行った事が無いし歌いたい曲も無く、恥ずかしい。それに今の僕は帰ってVRMMOをしたかったので、「ごめん。ちょっと用事があるから・・・」と言い、小野君は残念がっていたが、行かない事にし、帰宅した。
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部員が去った後の進路指導室。屏風の後ろから1人の黒髪の女性が出て来た。
教頭はその女性に、「さて、どうでしたかな?」と問いかける。
女性は、「生徒達の士気は高く、皆部活を存続させたいと思っています。私も、問題を起こしたり生徒と一方通行な関係にはするつもりは無いので、不祥事は起きないかと。」と返す。
「では成績は上がりそうかね?」
「・・・私が持っている知識や技術は教えていきます。最低でも今よりは良くなるかと。」
「ふむ。分かりました。では後は学校側で話し合います。決まりましたら連絡を入れましょう。」
「お願いします。」
そう言うと、教頭ともう1人の先生が出て行き、女性一人になる。
女性は、「さて、どうなることやら。まあ、生徒達にとって良い方向に話が進む事を期待しておくか。にしてもダチがあんなに喋るとは思わなかったねえ。これは良い事を知ったな。」と言いながら部屋を出て行った。