リアル 部員達の気持ち&情報サイト
今日の夢は『何か怖いもの』から必死に逃げる夢だった。リアルでの『廃部になるかも知れない』恐怖感と、VRMMOでの『まいちゃんの救出が緊迫した状況だった事』が合わさった結果かも知れない。起きた時に呼吸が荒くなっており、下着も汗でびっしょり濡れていた。(汗がべとついて気持ち悪いなあ。とりあえずシャワーでも浴びるか。)と思い、風呂場に向かった。
スッキリして風呂場から出た後、今日はグラウンドで柔軟体操とランニングした後、トレーニングルームで機械を使って運動をしようと考え、着替えてジョギングをして食堂に向かった。そして朝食を食べていると、
「おっはー大原。」
と小野君の声がしたので振り向いて見ると、小野君と十数人位の部員がやって来ていた。
(ん?小野君はいつも通りだけど、他の部員はどうしたんだろう?)と思いながらあいさつを返す。
「ねえ大原。昨日教頭先生から言われた事覚えてる?正直おれは廃部にしたくないんだよね。それで昨日の夜、寮にいる部員達と話し合ってみたら、皆も廃部にしたくないって思っていたんだ。だから明日教頭先生には『部活動を続けさせて欲しい』と言うつもりなんだ。ただ『新しい監督を見つけたとしても今回のような事件がまた起こるのではないか。それに去年のような良い成績を残せるのか。』の事だけど、監督はどんな人かによるけど、余程じゃない限りおれ達から問題は起こそうとは思っていないから大丈夫だと思うけど、成績についてはどうしたらいいのか分からなくて。部長が居てくれたら良かったんだけどね。大原、おれ達どうしたらいいと思う?大原の考えを聞かせて欲しいんだ。」と尋ねてきた。小野君の後ろの部員達も不安になっている様な目を向けてきた。
「(やっぱり皆も続けたいんだな。うーん。監督や部長がいないと方針が決まらないし、出来る事をするしかないと思うけど・・・。というかあいさつや試合以外で皆と話すのは初めてだから緊張するなあ。)えと僕なりには、今は監督も部長も居ない状態だから戦略が無いし、部活も出来ないからラグビーの能力を上げる事も出来ないけど、部活を続けていきたくて且つ成績を残したいなら、監督が見つかるか部活が再開するまでは身体が鈍らないように運動しておくのがいいと思う。しておいたら部活が再開したら直ぐに実技に入れるし、万が一部活が無くなって他部に行く事になっても、ある程度動く事は出来るだろうし。」
僕が話し終えると皆は『なるほど!』と言った顔をしていた。
「・・・確かにそうだよね。不安になっているだけじゃあ駄目だよね。・・・よし、これからグラウンドかトレーニングルームで身体を動かそうかな。あ、大原は運動する為に来てるんだよね?一緒になってもいいかな?」と小野君が言うと、他の部員も小野君に続いて聞いてくる。
「(まあ、こうなるとは思っていたからいいけどね。そういえば皆、僕が初めて話しをしたのに誰も何も言わないんだな。緊張して損した気分になるなあ。)うん、いいよ。じゃあ食べ終わったらグラウンドに行くね。」と返した。
その後、皆と夕方まで休憩を挟みながら身体を動かした。皆は「ラグビーしてえ」「ボール持たないと感覚忘れそう」等と不満を言っていた。
日が沈みかけた頃、小野君が「今日はお開きにしようか?」と言って来たので「そうだね。」と返すと、
「じゃあ皆を集めてくるね。」と言い皆に声を掛けに行った。
(何で集める必要があるんだろう?)と思いながら待っていると、皆が僕の回りに集まって来た。
「じゃあ大原。お開きの言葉をお願い。」と小野君が言ってくる。皆も僕の言葉を待っている様だった。
「え、何で僕が言う事になってるの?と言うか全員集まらなくてもいいんじゃないの?」
「いやあ、今日の運動は大原の提案だったし、正直おれ達不安だったんだよね。けどどうしたらいいか分からなかったから凄い恐怖だったんだ。でも大原が『今出来る事の最善を尽くそう』的な言葉で不安がかなり取れたんだ。だから大原に締めてもらいたいんだ。」
「(何でそうなる。また皆の前で発言しないといけないの?けど皆こっち見てくる・・・はあ、嫌だなあ。)えと、皆今日はお疲れ様でした。これからどうなるのか分かりませんが、出来る事をしていきましょう。・・・でいいかな?」
「ちょっと硬いけどまあいいか。じゃあ皆解散!明日も昼までやろうな!」
小野君の言葉で「お疲れー」と言いながら皆は帰って行った。
「いやあ大原、今日は助かったよ。それにしても大原が皆の前であんなに喋る所初めて見たよ。皆も驚いたんじゃないかな?」
「まあ、僕から話し掛けたりはしないからね。」
「もっと話し掛けてもいいと思うけどね。いじめは無いだろうけど浮いちゃうし。じゃあおれも帰るね。お疲れー。」
「お疲れ様。(今までは皆から他愛の無い話題は振られなかったけど、今度からは振られるかもな。あまり人と話し慣れていないから緊張するなあ。)」
小野君と別れ、僕も帰路に着いた。
家に帰った後、いつもは風呂や着替え・食事等をした後ゲームをするのだが、今日はまいちゃんが言っていた情報サイトを見てからゲームをする事にした。早速サイトを開いてみると、カラフルな大文字で『祝 発売5日で50万人突破!』と書かれていた。
(凄い事なんだろうけど、いまいち実感が湧かないなあ。)
と思いながら左側にある項目を見てみると、アップデート(追記有り)・街・フィールド・モンスター・装備品・アイテム・職業・スキル・クエスト・NPC・画像・情報求・小ネタ・話題・雑談・・・等のたくさんの項目があった。
(まずはアップデートから見ておくか。)
と思い、開くと最新の情報が載っていた。予告で言われていた内容と、昨日知った観察スキルの件以外にもいくつか有り、その中で『ステータス画面での設定で、モンスターがドロップしたアイテムを自動で道具袋に入れる事が出来るようになりました。但し鑑定出来ないアイテムは???の状態で入ります。』というのがあった。
(これは設定しておいたら拾わずにすむから楽になるな。)
と思いながら次に街を見てみる。3種類ありイースト・ヤゴナ・セイダンと言うらしく、イーストが1番大きい街で、南門からヤゴナへ、北門からセイダンに行けるとの事だった。
(今の所、他の街に行く気は無いなあ。)
次にフィールドを見てみると地図が出て来た。情報が載っている所はクリック出来るようになっているらしく、イースト周辺と東門から海岸まで、ヤゴナとセイダンまでの道はクリック出来たが、西門は門付近の草原しかクリック出来なかった。
(つまり西門に行っている人は少ないって事だな。まあ多少はいるだろうけど。)
モンスターは見た事あるのが2割・無いのが8割だった。そしてウルフと砂人形っぽいのは載っていなかった。
(砂人形の砂浜は知られていないって事かな?)
装備品は色々種類が別れており、ヤゴナやセイダンではイーストより良い装備が買えるみたいだった。因みに大盾は種類がほとんど無かった。
(大盾を使う人が少ないって事だよな。確かに見かけないなあ。)
アイテムはより多種になっており、回復・攻撃・補助・鍛冶・食材・ドロップ品等があった。
(僕には観察があるから、アイテムは手に入れてから考える事にしよう。)
職業は戦士や魔法使い等よく目にするのから、祈祷師・忍者・作成者等見た事が無いのもあった。重戦士は載ってはいたが説明文は無く、『情報求』となっていた。
(説明文位は載せてもいいかな?けど特定はされたくないんだけど・・・)
と投稿方法を見てみると、匿名希望でも出来るようだったので、説明文のみ投稿しておいた。
スキルは職業より多種になっており、武器・魔法・補助・その他に別れており、特にその他は隠蔽・念力・空想等、謎が多かった。盾スキルは何故か武器スキルの項目にあった。情報求となっており、盾はスキルが載っていたが、小盾は項目のみで、大盾は項目すら無かった。
(新しく項目作って投稿しておくか。)
今分かっている所までの情報を投稿した後、クエストを見てみる。街の中でもあるらしく、簡単な配達みたいな事からボディーガードのクエストもあった。そしてやはり僕がしたクエストは載っていなかった。
(情報求とは書かれていないから投稿しなくていいよな。)
NPCはほとんど街の中にいるらしく、女性や美人のキャラには詳しい情報と画像やイラストが投稿されていた。
(まあ、そうだろうね。鍛冶場長好きはマイナーですよね・・・あ、そうか鍛冶場長の画像を撮ればいつでも見れるんだよな。今度会った時に撮っとく事にするか。忘れそうだけど。)
画像は海岸から新しい街・フィールド・モンスター・NPC等色んな画像があった。そして『様々な画像をお待ちしております!(但しコラージュ画像はご遠慮願います)』と書かれていた。その中には僕(フィールドで撮られているので装備も写っている)が写った画像も有り、『珍しい職業 重戦士 まるで要塞』と書かれていた。また、チーム4人で街中を歩いている時の画像も有り、『ゲーム内のリア充も爆発しろ!』と書かれていた。
(うわあ。これは恥ずかしいし、ここでも勘違いされている。人前を歩きにくくなるなあ。というか現実の世界で会ってしまったらどうしたらいいんだろう。やはり仮面は付けた方が良かったのかな?)
少し考えた後、気を取り直して僕も何か画像を投稿しようと考え、昨日撮った断崖からの絶景を投稿した。(名前は簡単に『断崖からの絶景』としておいた。)
情報求はとりあえず僕の知っている情報は投稿したので見ずに、小ネタも僕にとっては特に意味のあるものは無かった。
話題・雑談はそれぞれ色んな題名があり、その中で投稿者達が話し合う感じだった。その中に『昨日南門での女の子と重戦士』と言う嫌な予感がする題名があった。見てみると、
「昨日南門で可愛い女の子を両腕に抱いた重戦士(巨漢)を見た。直ぐに魔方陣に入って行ったので少ししか見れなかったが、女の子には泣いた後があったぞ」
「いわゆるお姫様抱っこ?」
「何!?可愛い女の子を泣かすとは・・・重戦士許せん!」
「俺も昨日それ見たけど、女の子と重戦士って前の『リア充爆発しろ!』の人達だと思う」
「あの大通りを美女3人引き連れてた重戦士か。確かにあの重戦士以外の重戦士を見たことが無い」
「戦っている所を見た事あるけど最前線に立ってちゃんと3人を守っていたよ。悪いやつじゃあ無いと思う。因みに俺は4人ごと俺のチームに誘ったが、リーダーらしい女性に『私達4人は目に見えない力で結ばれているの』と言われて断られた泣」
「目に見えない力って何!?ていうか誘ったのかよ。勇気あるな」
「じゃあ昨日のはモンスターから逃げて来たとか?で、女の子が怖くて腰が抜けたとか?」
「確かに女の子はHP全快だったけど重戦士の方は7割位だった」
「じゃあ重戦士が泣かしたって事じゃ無いんだな」
「でもお姫様抱っこは羨ましい」
「羨ましいなら重戦士になるか目に見えない力をつけることだな。俺には無理だ」
と続いていた。
(・・・まいちゃんのHP全快にしておいて良かったぁ!と言うかもしかして僕以外に重戦士っていないのだろうか?個人が特定されるのは嫌なんだけどなあ。)
と、情報サイトを見て僕が想像以上に目立っている事が分かり、若干不安になりながらも情報サイトを閉じて、ゲームを起動した。