リアル 不穏な練習試合(後)
試合内容に関しては、自分の表現力ではこれが限界です。試合時間・人物の動き等、おかしい所がありますがご容赦ください。
OB達が見ている中、相手チ-ムからのドロップキックで試合が始まる。相手からのボールを部長(スタンドオフ(フライハーフ))が確保する。最初だからかすぐにパスは出さず前進する。相手も牽制なのか、1人が部長に向かって来るがそれをかわしさらに前へと走る。そして数人が向かって来た所でセンターにパスする。センターは目の前にいた1人をタックルで押しのけ、さらに走る。また数人が来た所で左ウイング(小野君)にパスを出す。センターに人が向かっていた為、小野君の前は誰もおらず、その俊足でトライまで持って行った。その後部長がゴールキックも決めて7点とする。
相手は少し話し合ってからキックをする。部長が取り今度はすぐにセンターにパスする。センターはタックルで突破しようとするが、2人にタックルされる。そこにいつの間にかいたフランカー(副部長)と他数人が混ざりモールとなりそのままスクラムとなる。僕はプロップなのでスクラムの準備をしつつ相手側を見る。見た目では此方の方が力がありそうなので、スクラムでは負けないだろうと考える。
レフリーの掛け声でスクラムを組み、相手とぶつかる。相手が押してくるが、やはり此方の力が上なのか相手のスクラムを後退させることが出来、ボールはNO.8に渡る。そのままタックルをかわしつつトライを決めた。ゴールキックは再び部長が決めた。これで14-0である。ここで前半が終わった。
ここまでは順調だろう。相手にボールを奪われてはいないし、試合内容も圧倒していると思う。副部長は「これは余裕だな!」と言っているし、小野君も「ほんとに圧勝できるかもね~」と軽い気持ちになっている。部長は「だからと言って浮かれるなよ?まだ試合中なんだからな」とみんなの気持ちを引き締めようとしている。僕も、確かに浮かれるのには早いだろうと思う。今相手チームは何かを真剣に話し合っている。まるで此方からのデータをまとめて計画か作戦を立てているような感じで、諦めているようには見えなかったからだ。
再び相手からのボールを部長が取る。と、すぐに相手2人が向かった来た。部長も向かっていき、1人を弾き2人目に捕まった時に右のセンターにパスする。すぐにそのセンターに部長が弾いた1人と他の1人が向かっていく。センターはいきなりのことに驚いたのか、右ウイングにパスする。右ウイングはそのまま走っていくが、前方にいた2人にタックルされボールを落としてしまう。相手はそのままボールを持って向かってきた。相手は速さは小野君ほどではないが避けるのがうまく、ゴールのやや手前でどうにかスクラムにすることが出来た。
レフリーの掛け声で相手とぶつかる。前は全力を出していなかったのか、今度は相手が重くなっており前回ほどは後退させれなかった。と、ここで驚くことがおきる。ボールが向こうのNO.8に渡ったのだ。どうやら向こうのフッカーが、押されているにもかかわらず上手くボールを手繰り寄せたらしい。そのまま相手のNO.8がトライをし、ゴールキックも決めていった。14-7。このことにより部長以下全員、浮ついた心は無くなった。
その後はお互い得点に繋がらない一進一退の攻防が続いた。此方は部長と個人の判断と能力、相手は複数でのプレイと技術で戦った。最後は相手がゴール前まで来たものの、トライは無理と判断したらしくドロップゴールを決めて終了となった。
結果は14-10。圧勝どころか下手をしたら負けている試合内容だった。監督は「糞が!」と言い、座っていた隣のベンチを殴りつけその場を後にした。そんな監督と態度と今回の試合内容に、OB達がざわざわと話し合っている。副部長は「あーくそ。俺達の方が力あるはずなのにどうして負けるんだ!」と叫んでいる。部長が「相手は情報を共有しあい、チームとして複数で試合に臨んだからだろう。まあ技術があったのもあるが。何にせよチームプレイを育てる為に試合経験は多い方がいいだろうな」と言っている。小野君はもう1人のウイングが倒されたことが気にかかるのか、「タックルに耐えれるような身体にした方がいいのかな・・・」と考えているようだった。
その後、部内で別れて試合をしてみたりもしたがいい結果は得られなかった。何をどうすればいいのかが分からないからである。部長が「今日は慣れない試合で疲れただろうから早めに終える」と言い、夕方には部活が終わった。みんなと別れた後1人で家に向かって走っていると、
「おい、そこの右プロップ」
と後ろから女性の声がしたので
「はい?」
と振り向くと、後ろには女性が立っていた。黒いサングラスにポニーテールで肩くらいまである黒髪、普通体系だけど少し筋肉質っぽい。その女性が僕の顔を見たとたん、驚いたような表情をしていた。
(なんで呼び止めた方が驚いているんだ?)
と怪しく思っていると、
「今日の試合を見ていた。なんだあの試合は。チームプレーになっていないじゃないか。それに部活中も試合をしていないだろう。何故だ。」
(強い口調だなあ。威圧感がある。というか部活も見てたの?ますます怪しい。)と思いながらも、
「現監督の方針です。個人の能力・技術があれば試合にも勝てるはずだと。僕や部長他大多数の部員はそうは思っておらず、部長が何回か進言しましたが却下されました。」
「はぁ。あきれる。今時そんな考えしてる監督がいるとはねえ。部員も可哀想だよ。」
と言った後、
「呼び止めてすまなかったな。急いでいるんだろう?」
と言ってくれたので挨拶をして別れた。