表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春夏秋冬  作者: クロ&シロ
5/5

第五話

「お前らが俺を相手にどこまで出来るか見せてくれ」

夏目は心配そうに言った。

「先輩、痛い目みても知りませんよ?」

冬島が続けて自慢げに話した

「そうですよ、こう見えても僕たち1年のトップなんですから」

「そうなのか?でも、怪我の方は心配しなくてもいいぞ」

冬島は 怪我なんてこの学校ではしませんよ と言われた。

「え?、この学校ってそんな便利な機能があるのか?」

呆れ顔で質問に答えてくれた。

「知らないんですか?この学校(島)に張ってある結界の中では怪我はしません、が怪我の代わりに痛みが来る まあ、激痛で気絶したり最悪の場合ショック死するだけですが」


ショック死...


マジかよ


「つまり、怪我の心配はありません。それにショック死は余程凄い衝撃がない限りその心配ありません」

「なるほど、もし俺が剣でお前らを切っても怪我はしないってことだよな?」

夏目が目を輝かせて答えた

「そうですよ!この結界って凄いですよね~」

この結界についてはあとで雨田...いや、あいつはダメだバカだから。秋とか紅葉にでも詳しく聞くか。

「さてと、じゃあ始めようか。この石が下に落ちたら始めるぞ」

春が手に持った小石を見せた。

確認を終えると小石を上に弾く。

春はその小石が落ちる前にいつもの菓子を手に持った。


そして、 小石が落ちた瞬間に相手の二人は後ろに飛んだ。それに対し俺は前に踏み込み二人が自分の間合いに入った瞬間、春が剣を振り上げようとした。その時だった、冬島が片手をこちらに向け魔法を行使した。

「ぶっ飛べ!」

彼の手が出した魔方陣から(いかづち)が轟音ともに出てきた。

咄嗟に自分の前に魔力を集め即席のシールドを作りガードしたが受け止められず後ろに吹き飛ばされてしまった。

「いまだっ!」

冬島が叫んだ先を見ると夏目がいつの間にか弓持っていてこちらに狙いを定めている!

夏目は笑いながら

「捉えましたよ~」

と言い、夏目は弦を離すと、寸分の狂いもない狙いで矢が向かってくる、それもとんでもない速さで...

「やばっ!」

春はそのまま空中でとんでもない速さの矢を弾いた。そのあと、地面に着地し二人の場所を把握しようとしたが、その姿がない。

魔法を行使する速さといい、武器の扱いといい、十分に3年生の上位と戦える位の強さだぞ!、こいつら本当に1年なのか!?

冬島が正面から走ってくるのが見えた。

そして、自分も冬島を迎え撃つ。

春は空いている横腹に剣を叩きつけようとする。が、急に背中に悪寒がした。本能的にこれは危険だと感じたのか意識しないうちに攻撃をやめて横に身体を投げていた。


その一瞬後、自分がいた場所を轟音と共に雷の束とでも言うべきものが通り過ぎた。


さっきの場所を振り替えると地面が魔力による熱で炭化している。

今の魔法攻撃は通常の雷魔法の魔力とは比べ物にならないほど、膨大な魔力だったことがそれを見れば一目瞭然だ。

ヤバい、意外に強いな。

((あれれ? 先輩、どうしちゃったんですか?))

どこから夏目の声が聞こえた

「お前ら俺をショック死にする気か!」

((大丈夫ですよ、最悪ショック死するだけでから))

「大丈夫じゃないだろ!」

あれ?

そういえばさっきの魔法って誰がやったんだ?

それにさっきの魔法攻撃は冬島の魔法だよな。でも、冬島は俺の前にいたし...!!

考えているうちに飛んで来た2本の弓矢をサイドステップで避けて木の陰に隠れた。

冬島はあの魔法を避けていない、結界の影響で身体が焼けて無くなることはない、なのに魔法が通った跡には冬島は居なかった。たった一瞬で避けられるはずもない...だとすると。

と頭の中で考えていると前と横の2方向から同時に雷光が迸る。

その瞬間、春は横から向かってくる雷の方に走ったした。2つの雷は木に衝突し爆発音を立てる。

雷によっての怪我がフィードバックで痛みになり気絶位はしているはずのに、春はもといた位置に立っていた

しかも、痛みもない。

「バレちゃったのなら、隠れる必要もないですね」

そう言って夏目が木の陰から出てきた。

「幻影の魔法...あまり使う人がいない。いや、使える人がいないが正しいな」

そう、この幻影の魔法は使う人の魔力の性質が適していないと使うことが出来ない。他にもこのような魔力の性質によって使えたり使えなかったりする魔法が多い。

つまり、生まれつき使える魔法と使えない魔法が決まっているのだ。

こういう魔法を セレクト という。

「よくこの魔法を知っていますね。意外に先輩は頭脳派なんですね」

「いや、魔法については一通り軽い説明が出来るようにはしていただけだ....しかし、凄くいい幻影だったな~ まあ、だけど俺はもう見分けられるけど」

俺は自信満々に言ってやった

「さすが、先輩ですね。僕でもまだ見破れないのに...」

少し悔しいのか冬島の声が最後の方は小さくなっていた。

「さて、幻影が見破れられた君達はどうする?」

「どうもしませんよ、幻影無しでも僕達は強いですから」

「ほう、じゃあ評価を続けようかなっ!」

言葉の最後で春は冬島の方にダッシュした。

もちろん、本気ではなく手加減はしている。それでも、とんでもない速さには変わらない。

その人外の速さによって十数メートルあった距離はあと数メートルにまで縮まっていた。

しかし、反応したのは冬島ではなく木の上にいる夏目だった。

夏目はろくに狙いも定めずに矢を放った。普通ならまぐれでもない限り当たらないのだが。その矢はこちらを完全に捉えていた。

何度見ても恐ろしい位狙いが完璧だ。

完璧な狙いの矢を横に跳び回避したが、息を付く間もなく矢が飛んでくる。

仕方なく、後ろに跳ぶが次から次へと矢が飛んでくるため反撃が出来ない。

夏目の弓は構えから射るまでの時間が短く、完璧過ぎる精密な射撃これほど恐ろしい弓矢の使い手は居ないだろう。

次々やってくる矢から逃れるうちに森の川まで来てしまった。

すると、冬島が春の横に飛び出して来てニヤッと笑って

「掛かりましたね」

そう言うと川の水が俺の周りを囲み気が付くと水の球のなかにいた。


息が..出来ない...



さらに、冬島はこの水の球に雷の魔法を使い感電する。もちろん、感電も結界の影響で痛みに変わる。それもただの痛みではなく激痛と言っても甘い位の痛みだ。

そういえば、窒息ってこの結界の効果が効かなかったり...


ヤバい...


次の瞬間、春の手に持っていた剣が薄く紅梅色に光りこの水の球を切った。

普通だったら、この魔法で操られた水を剣で切るということは不可能に近いことだ。

まあ、俺のセレクトが異常なんだけどね...

春は息を整え

「お前らの実力は凄い。が、いくつかアドバイスがある。まず、夏目はもっと幻影の使い方を勉強した方がいい。あと、弓矢に魔法付与出来るようにすれば破壊力のあるものが射てるぞ」

「そうですね...魔法付与は難しいですが幻影は頑張って見ます!」

魔法付与と言うのは自分の武器に魔力や魔法を付けるというもので、魔力のコントロールが難しいことから修得する人は少ない。

が、修得すれば付与した武器の破壊力や切れ味、付与する魔力の質や魔法によっては特殊効果のようなものも付く。

「それで、冬島は魔法攻撃のレパートリーを増やせじゃないと見切られるぞ」

「ん~ 少し考えてみます」

「じゃあ、お前らが予想以上に強かったから少しの間本気になってやる」

冬島は嬉しいそうに 望むところです と言っている。

それじゃあ と言いながら腰のバックからマカロンをつまみ出し、上に投げた。

投げられたマカロンはその形を自動拳銃に変えた。

落ちてきたところを春が取り拳銃に魔力を込め冬島に向けた。

発砲音が鳴り、冬島が作った水の盾を破り相手の身体に命中し後ろに倒れた。

気絶した様にも見えたがすぐに、身体を起こし両手を上げた。

「負けましたよ、先輩」

冬島の隣にいる夏目は驚いた

「えっ!どうしちゃったの?」

ついさっきまで威勢が良かった態度から一変して一発撃たれた位で負けを認めたのだ

「魔力がないんだよ」

「え、なんで、まこっちゃんまだ全然魔法使ってないじゃん」

「原因は魔法の使い過ぎじゃなくて。さっき、先輩が撃った銃弾だよ、あれが僕の魔力に何かしたみたいなんだ」

「そうなんですか?」

「そうだ、俺がやった。まあ、ネタばれは出来ないけどな」

「ええ~、先輩教えてくださいよぉ~」

夏目と冬島は興味津々なのだがこれは教えられないのだ

「さて、そろそろ終わりだから解散するぞ。あと、銃弾のことだが自分で調べな」

そう言って俺たちのグループは解散した。


そして、集合場所に戻ると...

「はるぅ~」

泣きそうな声で俺を呼ぶ雨田が来た

「どうした?そんな声出して」

「俺のパートナーが酷いんだぜ」

「一体、なにがあったんだ?とか聞けばいいのか?」

すると、雨田が涙目で頷いた

雨田の涙目の理由はこうだった

雨田はパートナーの1年に武器の扱い方を教えていると目の前でそれを実践して雨田をグサリと一突き

さらに、魔法のコントロールを見せてもらうと発動した魔法が雨田を襲い...

それらを何回もやられて気絶もしたらしい...

俺は話を聞き終わると

「雨田...御愁傷様です...」

「俺は生きてるよ!」

「生きてるのか!てっきり、ソンビか幽霊かと...」

「そんな訳ないだろ!」

「いや、よく考えてみろ気づいてないけど気絶したときに実は死んでいて、気づいてないけど今ソンビ

になっていたり...」

雨田の顔から血の気が引いていく

「ってことは俺はあの時に実は死んでいたのかぁぁぁ!!」

「いや、冗談だから。よく考えれば結界の影響で死なないし」

「あっ、それもそうだな」

雨田と話していると紅葉や茜それと秋も戻ってきた。

雨田は戻って来た3人に聞いてみた。

「なあ、お前らのパートナーっていい子だった?」

すると3人は揃って いい子だった と答えた

雨田はそれを聞くとその場に泣き崩れた。

そんな雨田の肩に春が手を乗せて

「ドンマイ」

と言うと雨田が

「くそ~ 俺のあの苦労はなんだったんだよ~」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ