第三話
「ふわぁ~ 何時だ?」
ってやばっ!!
「今日は課外授業だから早く寮を出ないと!!」
なんて、騒がしくしているとコスケがあくびをしながら春のベッドから出てきた。
俺は急いで制服に着替え
「行ってくるコスケ!」
バックを掴んでドアに向かった...が、ドアノブに手を掛ける前に扉が開いた
「おい春! 課外授業だから早くしろ!って起きてた?」
もちろん雨田だった、急いでいたのか寝癖付きだ
「お前、さっき起きたばかりだな?」
雨田は、何故それをしっている!と言いたげな顔をしていた
「バレバレだ、寝癖ついてるからな...で、誰が早くしろなんて何て言えるんだ?」
「すみません」
春は呆れ顔で
「なぜ、謝るんだ?」
「だって、寮の先輩として早く起きてお前を起こしに行けば良かったのに」
「安心しろ、期待してないから。お前に起こされてたら毎日堂々と遅刻することになるからな」
「少しは期待してくれ」
「もうすでに、お前のお陰で遅刻ギリギリになっているんですが」
「ヤバい、ダッシュだ!」
結局、俺たちは課外授業に遅刻した。
「全くお前ら何で遅刻するんだ!」
「すみません」
あっちの方で龍名君と雨田君が遅刻したことを怒られている。
「あき~ 早くいこ~!」
「あっ うん、今行く~」
今回の課外授業の内容は自分たちの主にモンスターの討伐
モンスターといっても今回はゴブリンやスライムあと、魔虫などのDランク以下のモンスターだけがターゲットだから討伐授業としては簡単だ。
秋は友達の茜と紅葉であたりを回っていた
歩いて5分くらいのときに茜が聞いてきた
「ねぇ そういえば秋の魔法ってあたし知らないんだよね」
「あっ わたしも!」
「私あまり魔法使うことがないから」
秋は笑顔を作ったら
「そっか、秋は槍だけでも強いもんね」
よかった気づいてなくて
「あっ! ゴブリンみっけ!
茜は目がいいため一番に気づいた
「行こう、 紅葉」
「あっ! 待ってよ茜」
二人は見つけたゴブリンの方に行ったが、秋はゴブリンがうしろにもいることに気づいたからそっちにいくことにした
「私はこっちにも見つけたからこっちに行くね」
「うん、じゃあね!」
「ったく、先生の説教は長いよなそう思うだろ 春」
「遅刻しなくて済んだかもしれなかったけどな けどいっか、早く狩って終わらせよう」
雨田は急に噂話を持ってきた。
「なぁ、知ってるか?ここらでオーガが出たらしいぞ」
「へぇ~」
「へぇ~って興味無さそうだな」
「だって俺らの討伐はオーガじゃないだろ?」
と言いながら春はこの間の秋が食べていた菓子の入れ物を開けた。
そしたら、雨田が
「一本貰うぞ」
「ダメだ 」
「なんで!」
「これは俺の武器だ!」
「物は言い様だな」
話を聞きながら、菓子を一本食べた。
「食ってんじゃんか!」
「しょうがない、いるか?」
「貰うよ、それにしても今日は女子が春に集らないな」
「それはそうだろ、実習授業は成績上げるチャンスだって聞いたし...ってか集まらない方がいいけどな」
「良いよな。強者の余裕ってやつ」
「冗談は止めろ、みんな編入生が珍しいから集まってるだけだろ」
「お前自覚持てよ」
「はぁ?」
「まぁいいけどよ、それにしてもはじめて20分でかなり片付いたみたいだな、静かになった」
「そうだな、でも成績は取っとかないとまずいから少し遠くまで行ってみるか」
「そうだな、いくか!」
俺たちは、森の奥に行くことにした。
森の奥には成績UP材料が目移りしてしまうほどいた
「ここは、当たりみたいだな」
春は剣で次々にザコモンスターを倒している。
雨田も持ち前の動体視力で相手の攻撃を避けカウンターでモンスターを短剣で切っていく、意外と雨田は他の生徒より相当強いかもしれない。
「そうだな、これで成績UP間違いなしだ!」
何故、こんなに成績が欲しいかと言うと、毎回春達はほとんど授業を聞いていないため成績がひどいことになっている。
だからこのような実習授業(成績大幅UP授業)のときに取れるだけ成績を取ることができれば、あとの授業をサボることができる
つまり、今後の授業をサボるために頑張っている
春達は、スライムと魔虫を十体ほど倒しもとの集合場所に戻った。
あれ?
「私、道に迷った?」
つまり高校生にもなって...迷子!?
秋は茜と紅葉と別れたあとゴブリンを追いかけることに必死で森の奥の方に来てしまったらしく迷子になっていた。
「どうしよう」
うーん
これから、どうしよう
「ここで待ってようかな、そろそろ集合時間だし茜と紅葉が私がいないことに気づいてくれるはず!」
と一人で話していたら、背後からドスーンという音が聞こえてきた。
秋は後ろを振り返ってみた。
「うそ、何でこんなところにこのモンスターがいるの!」
「じゃあ、これで今日の課外授業を終わるぞ。先生は学校で仕事があるから先に行くが、お前らは早く寮に帰れよ」
と言い残し先生は学校に走っていった。
「じゃあ、いくか」
「ちょっと、待て」
雨田はさっきの大量にモンスターを倒したから、かなりへばっている
「わかった 5分な」
少し経って女子2人が走って来た。
「ねぇ 秋見なかった?」
すごく心配そうな目で聞いてきた。
「いや見てないけど」
「見てないな けど、どうしたんだよ茜そんなに慌てて」
「秋がいないんだよ」
「先に帰ったんじゃないか?」
「それも考えた..けど誰も秋のこと見てないの!」
「春、どう思う?」
「わからんな」
全く手掛かりなしに考えることは無理がある
とりあえず、秋を最後に見た森の場所まで案内してもらって、みんなは雨田の提案で手分けして捜すことになった。
一応、この当たりでオーガの目撃があったので二人一組行動になった、ちなみに春のペアは紅葉になった。
紅葉は肩を震わせながら後ろを歩いている、
何でこんなことになったんだ?と心の中で呟いた
震える紅葉を気遣って、怖かったら無理に来なくても良かったんじゃないか?と聞いてみた
「秋の為だもん頑張らなきゃ!」
いい奴だな と感心していた。
「声が震えてるぞ、これでも食ってリラックスしろ」
そう言って自分のスナック菓子の箱を渡した
「ありがと、いただきます」
「あまり食べ過ぎないでくれよ、もしものときに戦えないし あとでお前のせいで太った~とか言われても困るし」
それを聞いて少し恥ずかしそうにうつむいていた
(それにしても、これだけ探しても居ないなんて少しおかしいな)
少し先に進むと少しおかしな場所に出た
木が折られて道の様になっている
「噂は本当らしいな」
隣で少し驚いて 嘘ですよね?と言ってきた
「嘘じゃない、これは...」
春はこれの原因を言いおうとすると
とんでもない衝撃音聞こえた。
ドーン!!
「あそこか!」
春は、紅葉からいつもの細長いスナック菓子を一本取って急いで音の聞こえた方に走った
「待ってください、置いてかないでくださーい」
後ろで紅葉が追いかけて来る
少し走ったところで座りこんでいる御園 秋とそれを攻撃態勢になっているオーガの姿が見えた
「見つけた!」
オーガが棍棒を秋に向かって振り下ろした
春はその攻撃を魔法で変えた剣で横から突っ込んだ。
結果は棍棒が横にぶっ飛び オーガは少しよろけたが
すぐに態勢を立て直し背中にある巨大な斧を取りだした
「セーフ」
そのあと、紅葉が到着に大丈夫?と言いながら秋に駆け寄った
「おーい、まだ終わってないからな~」
「龍名君!相手はBランクのオーガだよ!?さっきの攻撃は油断していたから当たっただけであんな攻撃はオーガには届かないよ!だから逃げよう 早く!」
秋は心配してくれたが
春的にはケンカの途中で背中を見せる真似はしたくないというプライドが俺を留めている
「すまないが先に帰っててくれ、俺はこいつとケンカしてから行くから」
数秒オーガと睨み合う
先にオーガが動いた
動きはオーガの中でも早い方だと思うが
だが遅いぞ!
春はそのスピードを上回る速度で走りオーガの横殴りの攻撃を避けオーガ懐まで走りこみ剣を上に振り上げた。
攻撃は当たり、オーガの両腕が切断され血が切られた腕を中心に広がっている
オーガは腕がないのにも関わらず体当たりをしてきた。
そんなオーガの首筋に春の一太刀が浴びせられた。
オーガの首から鮮血が吹き出し崩れるように倒れた。
甘いんだよ、と言いって秋たちの方戻った。
「大丈夫だったか?」
いつの間にか、雨田と茜も合流していた
「おう、ケリつけてきた」
茜にあんたって本当に強いわね、と感心された
「まあな」
春はそう言いながら秋を見たが、表情が暗かった。
森を抜けるとすっかり日が暮れていて俺達の寮に帰った。
部屋に戻って風呂を沸かしている間外で散歩する事にした
少し歩くと広場に出た。
夜の広場はとても閑散としていた。
俺は広場を通ろうとしたが向かいから足音が聞こえた。
少し警戒したがそれを解いた。
特徴的な髪なのですぐにわかる。
「夜に女一人だと危ないぞ、御園」
「秋でいいですよ。」
秋の銀髪が月光で煌めいていて、夜なのでオレンジの瞳が綺麗に見える。
そうか、と言ってその場を去ろうとしたが秋に止められて少し話をしませんか?と言われベンチに座らされ隣に秋が座った。
「何の話なんだ?」
「今日の話です」
ありがとう、と頭を下げられた
「やめろよ、俺はオーガを倒しただけだ」
「でも、私を助けてくれれました この借りはいつか返します」
じゃあそうしてくれ、と言って春はその場から立ち去った
そして、次の日になりいつも通り雨田と一緒に学校に春は登校していた
「それにしてもお前オーガを倒すとか強すぎだろ」
「あまり言うなよ、騒ぎになるとめんどいから」
春は鋭い視線を感じ後ろを振り向くと誰もいなかった。