失敗の始まり
私は中学生になった。
小学生のころ私服だった私は、新しい制服にわくわくしていた。
中学で充実した青春を送れるものだと信じていた。
友達をたくさん作って、彼氏も・・・と。
「優菜~!!おはよう!!」
同じ制服に身を包んだ有紀が走ってくるのが見えた。
「おはよう。もうすぐ春菜も来ると思うよ。」
「じゃあおしゃべりでもして待ってようか!!こないだね・・・・・」
二人は、というか有紀はしゃべり、私がそれを聞きながら春菜が来るのを待った。
有紀とは小学校4年生のころから仲がいい。
4年生のときに、同じクラスになって有紀から話しかけられた。
「優菜・・・ちゃんだよね?これからよろしく!!」
「うん。よろしく!」
人見知りで静かな私とは対照的に、明るくて社交的な有紀とすぐ仲良くなり、毎日のように遊んだ。
「おはよう~!優菜!有紀!遅くなってごめん!」
細い体の春菜が大きなかばんをゆっさゆっさと揺らし急いで走ってきた。
春菜とは小学校6年生のときに出会った。
私が春菜に話しかけて仲良くなり、しばらくして3人で遊ぶようになり、3人は大の仲良しになった。
二人だったらなんでも話せる自身がある。恋の話、嫌いな先生、家族のことも。
「遅いよ~春菜~!!もう1時間ぐらいまったよ~!!」
「そんなに待ってないでしょ!!」
有紀がボケて、春菜がツッコム。そんな二人のコントのような会話を聞いているのがとても心地よかった。
私には居場所がある。このときはそうだった。
10分ほど歩くと私たちがこれから3年間通う○×中学校が見えてきた。大きな門の前に立つとたくさんの桜が私たちをむかえてくれた。たくさんの花びらが降り注ぎ、あっという間に地面はピンクのじゅうたんになる。