始まり
「根源とはいったいなんなんだろうな」
「はあ?」
いきなりこいつは何を言い始めるのだろう?
「全てには起因とされるものがある。それらを根源というのだ」
「お、おう」
なんか変な物でも食ってしまったか。いや、むしろ打ち所が悪かったのか?
「この喧嘩にも根源が存在する」
そう、俺たちは今まさに喧嘩していたのだ。
「しかしながら、喧嘩していく過程で我らは根源を喪失してしまった」
「は?」
ようするに喧嘩してるうちに原因を忘れたということだろう。
「今こそ探求すべきじゃないかね?」
「え、何を?」
「根源をだ。我らが仲違いをしたのにも根源が存在する!」
「いやいや。探すほどのものじゃねえだろ」
少し考えればわかることだ。えーと確か、最初こいつが来て、牛乳をひっかけられ……
「おめえが悪いじゃねえか! 俺に牛乳をひっかけてきやがって!」
「いや待て。冷静になれ! 本当にそうだろうか?」
「そうだろうがどう考えても!」
「私の記憶によると、牛乳をひっかける前に……我が校のアイドル佐藤のパンツが見えてだな。それを凝視してしまい段差に躓き牛乳をひっかけてしまった。つまりパンツを見せた佐藤が悪い!」
すごいドヤ顔をしてきたが、
「どう考えてもおめえが悪いだろうが!!」
俺は思いっきり振りかぶり殴ろうとすると。
「いや、待て! 他にもあるはずだ。冷静になれ!」
どう冷静になろうとも、よそ見をしていたこいつが悪い以外ない。
「なぜ私が佐藤のパンツに気付いたのか。そこに何かあるはずだ。そう、そうだ! あの場に彼女がいたことがおかしいのだ!」
「はあ?」
突然こいつは何を出だすのか。まあ、今に始まったことではないが。
「そうあの時間はすでに昼休みも半ば。なのに彼女が出てきたのは視聴覚室。あの部屋は基本的に授業以外では使われず、あの時も大量の生徒が出てきていたところを見るに授業が長引いていたと推測される! つまり、授業さえ長引いていなければ私はよそ見せずそのまま牛乳をこぼすことなく平和に解決していたのだ!」
「ほほお。つまりお前は先生が授業を長引かせたせいで佐藤のパンツが見え、お前は転び、俺は牛乳をひっかけられたということだな?」
「うむ、その通りだ! 納得が早くて助かるぞ!」
「よし目を瞑れ、歯を食いしばれ!」
「え、ちょちょ!」
「そんなんが通じるかボケナスがあ!」
俺は渾身の一撃をぶちかまし、こいつは保健室送りになった。
<了>
まだまだ腕の足りなさが目立ちますが、僕の初投稿作品となります。どうか、読んでくれる人が現れることを祈るばかりです。