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太陽の夜  作者: フジシン
7/11

死神の場所

ジャックは死神になり、初めての外出だった。


「じゃあ、一通り案内してやるよ。そうだなぁ、まずは、ハンズの所に連れて行ってやる。ついてこいよ!」


ロイは、一人で歩き出した。


「この街に名前とかあるんですか?」


「あぁ、レインシティだ。雨の街って意味だ。大体いつも雨が降ってるんだ。今日は、珍しく晴れてるけどな。」

レインシティには多くの人が住んでいた。

「ハンズって誰なんです?死神なんですか?」


「いいや。ハンズは死神じゃない。彼もスレイブと同じさ。特殊なんだよ。この街にはそういう人間が多いんだ。」


レインシティには大きく分けて3つの顔がある。

1つは富豪地域。

お金持ちが住んでる地域だ。

2つめはスラム街だ。

犯罪も多く貧しい地域になる。

3つめが歓楽街地域。

普通の人たちが暮らしている地域で、店や銀行、ショッピングセンター等もある。

人口は20万人位の小さな都市だ。


「ジャック。1つ面白いことを教えてやる。」


「何です?」


「スラム街には足を運んだ方がいい。あそこは勉強になる。それに特殊な人間が多い地域になる。おそらく、ズールとブラキはスラム街に仕事に行ってるはすだ。今度、行ってみるといい。」


ロイとジャックは歩きながら会話を続けていた。

酒場を出て10分位歩いていると、一軒家の家の前で足を止めた。


「ここが、ハンズの家だ。」


それは、普通の一軒家だった。


「ハンズって人はこの家に?」


「そうだ。とりあえず中に入ろう。」


ロイとジャックの二人は玄関に向かって歩き出した。

まるで、セールスマンが来た様な光景だった。


「でも、どーやって家の中に入るんです?チャイムを鳴らすんですか?」


「ジャック。お前冗談だろ?俺達は死神だぞ?」


ロイはそう言うと玄関のドアに向かって歩き出した。


「すげー…」


ジャックは驚いていた。

ロイは玄関のドアに吸い込まれるように入っていったのだ。


「一体どうなってるんです?」


すると、家の中から声が聞こえてきた。

「おいジャック!早く来いよ!俺達は死神だぞ!ドア位通り抜けられる!」


ジャックはゆっくりとドアに手をかけた。


「ホントだ…」


ジャックの手は手首の所までドアの中に入っていった。


「ジャック!二階だ!先に行ってるぞ!」


ロイは先に家の中に入り、二階へと足を進めていた。

ジャックは慌ててドアに飛び込んだ。


「俺…ホントに死神なんだ…」


ジャックはやっと死神として活動している実感がわいていた。

ジャックは玄関を抜け、目の前にある階段を急いで駆け上がった。

ロイが二階の部屋の前に立っている。


「ここの部屋がハンズの部屋だ。」


ロイの指す方にはドアがあった。


「いくぞ。ついてこい。」


ロイとジャックはドアの中に入っていった。

「ようハンズ!久しぶりだな!元気だったか?」


「入ってくる時はノック位してくれ。これだから死神は嫌いなんだよな。」


「ロイさん…まさかとは思うけど…この人が?」


「そう!ハンズだ!」

ジャックが唖然とするのも無理はなかった。

なぜなら、ハンズは見かけが5歳の男の子だったからだ。


「だって彼はまだ4、5歳の少年じゃ…」


「見かけはな。だけど中身が違う。彼は前世の記憶を全て覚えてる。」

ハンズは積み木で遊んでいた。


「でも、どう見ても子供のようにしか…」


「うるさいなぁ。だったら子供扱いしてくれればいいだろ。」


ジャックは固まっている。

ロイは少し笑いながら二人を見ていた。

肝心のハンズは不機嫌そうに積み木を重ねていた。


「ハンズ。紹介しとくよ。新しく死神になったジャック=デップだ。」


ロイはジャックの事をハンズに紹介した。


「はぁ。死神だかなんだか知らないけど、また面倒なのが増えたってことなんだろ?もう勘弁してくれ。」


ハンズの口調は間違いなく5歳の男の子の話し方ではなかった。


「とりあえず、いつもの頼むよ。」


ロイはハンズに何かを頼んでいる様だった。


「まったく…」


ハンズは立ち上がりジャックの手を握った。


「な、何なんです?」

ジャックは突然の事に驚いていた。


「いいからじっとしてろよ。」


ハンズは目を閉じて何かをブツブツと言っている。

ジャックに何をしようとしているのか? ハンズは何者なのか?

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