死神の場所
ジャックは死神になり、初めての外出だった。
「じゃあ、一通り案内してやるよ。そうだなぁ、まずは、ハンズの所に連れて行ってやる。ついてこいよ!」
ロイは、一人で歩き出した。
「この街に名前とかあるんですか?」
「あぁ、レインシティだ。雨の街って意味だ。大体いつも雨が降ってるんだ。今日は、珍しく晴れてるけどな。」
レインシティには多くの人が住んでいた。
「ハンズって誰なんです?死神なんですか?」
「いいや。ハンズは死神じゃない。彼もスレイブと同じさ。特殊なんだよ。この街にはそういう人間が多いんだ。」
レインシティには大きく分けて3つの顔がある。
1つは富豪地域。
お金持ちが住んでる地域だ。
2つめはスラム街だ。
犯罪も多く貧しい地域になる。
3つめが歓楽街地域。
普通の人たちが暮らしている地域で、店や銀行、ショッピングセンター等もある。
人口は20万人位の小さな都市だ。
「ジャック。1つ面白いことを教えてやる。」
「何です?」
「スラム街には足を運んだ方がいい。あそこは勉強になる。それに特殊な人間が多い地域になる。おそらく、ズールとブラキはスラム街に仕事に行ってるはすだ。今度、行ってみるといい。」
ロイとジャックは歩きながら会話を続けていた。
酒場を出て10分位歩いていると、一軒家の家の前で足を止めた。
「ここが、ハンズの家だ。」
それは、普通の一軒家だった。
「ハンズって人はこの家に?」
「そうだ。とりあえず中に入ろう。」
ロイとジャックの二人は玄関に向かって歩き出した。
まるで、セールスマンが来た様な光景だった。
「でも、どーやって家の中に入るんです?チャイムを鳴らすんですか?」
「ジャック。お前冗談だろ?俺達は死神だぞ?」
ロイはそう言うと玄関のドアに向かって歩き出した。
「すげー…」
ジャックは驚いていた。
ロイは玄関のドアに吸い込まれるように入っていったのだ。
「一体どうなってるんです?」
すると、家の中から声が聞こえてきた。
「おいジャック!早く来いよ!俺達は死神だぞ!ドア位通り抜けられる!」
ジャックはゆっくりとドアに手をかけた。
「ホントだ…」
ジャックの手は手首の所までドアの中に入っていった。
「ジャック!二階だ!先に行ってるぞ!」
ロイは先に家の中に入り、二階へと足を進めていた。
ジャックは慌ててドアに飛び込んだ。
「俺…ホントに死神なんだ…」
ジャックはやっと死神として活動している実感がわいていた。
ジャックは玄関を抜け、目の前にある階段を急いで駆け上がった。
ロイが二階の部屋の前に立っている。
「ここの部屋がハンズの部屋だ。」
ロイの指す方にはドアがあった。
「いくぞ。ついてこい。」
ロイとジャックはドアの中に入っていった。
「ようハンズ!久しぶりだな!元気だったか?」
「入ってくる時はノック位してくれ。これだから死神は嫌いなんだよな。」
「ロイさん…まさかとは思うけど…この人が?」
「そう!ハンズだ!」
ジャックが唖然とするのも無理はなかった。
なぜなら、ハンズは見かけが5歳の男の子だったからだ。
「だって彼はまだ4、5歳の少年じゃ…」
「見かけはな。だけど中身が違う。彼は前世の記憶を全て覚えてる。」
ハンズは積み木で遊んでいた。
「でも、どう見ても子供のようにしか…」
「うるさいなぁ。だったら子供扱いしてくれればいいだろ。」
ジャックは固まっている。
ロイは少し笑いながら二人を見ていた。
肝心のハンズは不機嫌そうに積み木を重ねていた。
「ハンズ。紹介しとくよ。新しく死神になったジャック=デップだ。」
ロイはジャックの事をハンズに紹介した。
「はぁ。死神だかなんだか知らないけど、また面倒なのが増えたってことなんだろ?もう勘弁してくれ。」
ハンズの口調は間違いなく5歳の男の子の話し方ではなかった。
「とりあえず、いつもの頼むよ。」
ロイはハンズに何かを頼んでいる様だった。
「まったく…」
ハンズは立ち上がりジャックの手を握った。
「な、何なんです?」
ジャックは突然の事に驚いていた。
「いいからじっとしてろよ。」
ハンズは目を閉じて何かをブツブツと言っている。
ジャックに何をしようとしているのか? ハンズは何者なのか?