死神の生き方
ジャックは3人の会話を楽しんでいた。 しかし、ジャックの脳裏にはあるキーワードが浮かんでいる。
黒魔天団という言葉だ。
ジャックは重い口を開け、2人に聞いてみた。
「ちょっと。二人ともいいかな?」
「ジャック君。どうしたんだい?」
「黒魔天団って何だ?」
一瞬部屋の空気が凍りついた。
「会話が聞こえてたのか。ジョニーのオッサン。隠し事はよくない。ジャックにも話したらどうだ?」
「いや。まずは仕事だ。一気に色々な情報を与えるとあまりよくない。一つずつこなしていくんだ。」
ジョニーは死神の生き方を熟知しているようだった。
「ではまず、仕事について説明しよう。」
ジョニーは自分のスーツの内ポケットから白い手帳と十字架のボールペンを取り出した。
「まず、死昇の依頼が神から私の手帳を使い伝えられる。」
「つまり、ジョニーのオッサンの手帳に依頼が入るんだ。」
ロイはジョニーの難しく、回りくどい言い方を通訳しているようだった。
「そして、その仕事を君達に伝え、実行してもらう。」
「その時に忘れちゃならないのがコンビだ。コンビっていうのは二人組ってこと。一人は偵察。一人は後方支援にまわる。って言ってもたいした事じゃない。要は、下見係と、案内係ってことだ。」
死神の仕事も厄介のようだ。
人間の仕事とたいして変わらない。
「ロイさん、何で下見や案内係が必要なんです?ジョニーから指示が出て、ターゲットの所に行って、死昇させれば終わりでしょ?」
ジャックは疑問だらけだった。
何故、二人組になるのか?
わざわざ二人組でやらなくてもできると思っていた。
「ジャック君。君の言いたいことはわかる。だが、用心に越したことはない。我々は人の命を司る神だ。間違いなんかあってはいけないし、万が一の為の備えなんだよ。」
「万が一って?」
ジョニーとジャックの会話は長引きそうだった。
「万が一っていうのはあれだ…その…」
ロイは言葉を詰まらせていた。
万が一についてどう説明すればいいか、わからなかった。
「とりあえずは仕事をしてもらうよ。早速依頼が来ている。ジャックとロイのコンビで動いてもらいたい。仕事のやり方についてはロイに聞くといい。」
「わかった。やってみるよ。」
ジャックのヤケクソもここまでくれば大したものだった。
ジャックにとってはやれることをやるだけだからだ。
「まずは、一通り案内してやるよ。俺についてきな。」
ロイは席をたち、ジャックと共に部屋を出た。部屋を出ると、一本の廊下があり階段に通じていた。
その階段は下の階と繋がっているようだった。
階段を降りると扉があり、何やら音楽の音や人の話し声が聞こえる。
「ロイさん、ここはどこなんです?」
「まぁ、すぐにわかるさ。」
ロイは扉を開いた。
「嘘だろ…」
そこは、誰がどう見ても酒場だった。
「ここって…」
「酒場だ。お前だって飲みに来たことくらいあるだろ?」
ジャックはまさかという顔をしていた。
酒場の二階に死神が集まってるなんて思ってもいなかったからだ。
「まず、紹介しとこう。酒場のオーナーのスレイブさんだ。」
「ようこそ。新人さん。」
そこには、バイカーの様な格好をした、恐そうなおじさんが立っていた。
「ロイさん、スレイブさんは俺たちが見えてるんですか?」
「あぁ、見えてるよ。」
「でも、普通の人には見えないはずじゃ…」
「スレイブさんは例外だ。生まれ持った能力だよ。」
ジャックは死神という不思議な世界についていけそうもない気がしていた。
「まぁ、細かいことは抜きにして。仕事に行くぞ。」
ロイはジャックを連れて、店の外に出た。
ジャックは死神としての生き方を受け入れることができるのか?
黒魔天団とは何か?