日が沈む
酒場に戻ったロイとジャックはすぐにラグーンの話をジョニーに聞かせた。
「ほう。ラグーンとは凄いアイテムだな。」
ジョニーは感心した様子でラグーンをスグに腕にはめた。
「ブラキとズールは何処にいるんだ?」
「またスラム街に戻ってったよ。次は一撃で死昇させるとか言ってな。」
ロイは呆れ顔をして肩をすくめていた。
「ジャック。今日は、一通り仲間達に会ってきただろ?我々は死神だけで仕事をしているんじゃない。色々な助けがあって仕事が出来ているんだ。それを忘れちゃいけないよ。」
「わかったよ。明日は何をすればいい?」
「明日は早速だが依頼が君に来ている。ロイとコンビで仕事をしてもらうよ。今日は、ゆっくり休むといい。色々と疲れてるだろうからね。」
ジョニーは笑顔でジャックと会話をしていた。
ロイはジャックの背中を二回ほど軽く叩き、手招きをした。
「どうかしたんですか?」
「ついてこい。」
ロイとジャックは部屋を出て目の前にある部屋の扉を開けた。
酒場の二階には3部屋あるようで、1つ目はジョニーや皆がいる部屋。
残り二つはまだ入ったことがなかった。
その内の1つはジョニーの部屋の出入口を出ると目の前に扉があり、すぐに移動することができる。
ロイとジャックはその部屋へ入っていった。
「この部屋は?」
部屋の中には本がぎっしりと並べられていた。
「この部屋は勉強部屋だ。わからないことがあればここで調べる。」
本の中には黒魔術の本や召喚術の本など人間だった時には見たことも無いような本ばかりだった。
「今はそんな本置いとけ。こっちだ。」
勉強部屋の奥にいくと屋根裏に繋がるはしごが見える。
ロイとジャックははしごを登り屋根裏に移動した。
「今日からここが俺とお前の部屋だ。」
屋根裏と言ってもボロではなく、とても綺麗な作りになっていた。
ただ、屋根裏だけに天井が低いようで、ロイより少し身長が高いジャックは頭を軽く下げていた。
「ここだ。着いたぞ。」
そこは酒場の屋根の上だった。
ロイは屋根のてっぺんに座り、街を見渡した。
「もうこんなに暗くなってたんですね。」
「今日は1日うろうろしたからな。どーだ?死神になった気分は?」
「微妙ですよ。ハッキリ言って喜ぶ人はいないでしょう。」
「それもそうだな。明日から死神としてやれそうか?」
「わかりませんよ。ただ、やれるだけの事はやります。それしか方法はありませんから。」
「ジャック。これだけは覚えとけよ。死神ってのは命を奪う悪魔じゃない。死を司る神だ。」
「はい。」
ジャックは夜空を見上げ、明日から始まる死神としての人生を想うのであった。