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1. 上陸

これはどこかの日本のお話。

経済は低迷したり持ち直したり、国際化は勝手に進み、AIが騒がれても世の中はさほど変わらぬまま、時間だけが経過していた

 それからいくらか未来の話。太平洋とフィリピン海のプレートが入り乱れ、地殻変動がこっそりと進んでいく最中、関東の横、太平洋の海上に、ある日一つの島が浮かび上がった。

 唐突な出現、今まで誰にも知られることのなかったことから「奇跡の島」ともてはやされた末、誰かが「神の島」と呼ぶようになった。

しかし、本土を差し置いて神が作った島と呼ぶのでは、それでは表現が大きすぎると反発する声も多々生まれ。

 対立の末、新たに「神の島」になぞらえて「香島かしま」と命名されたのであった。

 小さな島であるが、面積は280km²程あり、車で一周するのに1時間ほどかかる。

唐突過ぎる出現に当初は気味悪がられたが、その土地の広さから「新たな事業拠点だ」、「未来の移住地だ」ともてはやされ開発が進められることとなる。


1

─ボーッと低い音を立てフェリーが港に着く。

太陽は地平に溶け込み、夕焼けと夜空が混ざり合う。

気分転換に染めた金髪が日光を反射して透けている。

季節は初夏に入ろうとしていたが、暑さはまだ控えめだ。

 

(もうこんな時間か。

予定していた時間より2時間も遅く到着してしまった。)


 乗る予定であった便が何らかのトラブルにより欠航し、次の便を待つこと1時間。

代行便が到着し、本土からこの島まで1時間かかり、今に至る。


(はぁ、もっと感動的な到着になると思っていたのになぁ。)


 予定外の到着によって、青年ー羽田野美織の顔には疲弊の色が滲み始めていた。

 美織はスマホで地図を確認した後、もうすぐ着きますと叔父にメッセージを送った。


 この香島が発見されてから早数十年。

指定された船のみが、島の出入りを許される。

最初こそ企業が我先にと島に参入しようと争っていたが、事態は急変。 争いの末、国に管理権が移ったと思いきや、とある一族が島を所有してしまったのだ。

それ以降この島は一族の管理下へ、そして許された者のみが出入りできる状態となってしまった。


 島への移住を許可された一人に叔父が居た。

そもそもの発端は叔父が所属する大学の民族研究室に突然回ってきた依頼である。

≪香島の生活文化および不可解現象の記録補助をお願いしたい。≫

という内容が届き、噂の島の調査かと研究室では盛り上がったそうだ。

(不可解現象・・・?)いかにも怪しい内容である。

 これはヤバいと一家総出で止めに入ったが、新しい土地の調査にたいして叔父は学者としての血が騒ぐと制止を振り切って燃えていた。

 その後、1週間ほどで仕事を引き継ぎ(部下に押しつけ)、意気揚々足早に島へ向かっていったのであった。


 それが2月の頭くらいのこと、それから3ヶ月ほど経って叔父からメールが届いた。


「時間があるならこちらで働かないか、許可は得ている。なかなかに面白いぞ」


 時間があるとは自分のことだ。

つい先月に会社を辞めたことで、時間の余裕ができてしまった。

一般的な文系の大学を卒業し、一般的な会社に就職したつもりだった

決して本望ではない。可能であれば普通の会社員として社会に貢献したかったのに、労働時間の長さや上司との対立で辞職という決断に至ったのだ。そしてこれ幸い、転職活動の最中、タイミング良く叔父から声がかかり、今に至る。

 

ボーッ


フェリーが音を上げる。

これまでの経緯を思い出しているうちに、港に着いたのかアナウンスが流れる。

美織は荷物を持って足早にロータリーへ降りた。


乗り場の建物を出る。あたりを見渡すと建設物はほとんど無く、広い駐車場が続いており、その先に道路が敷かれていた。

観光写真には東京並みのビル群の写真が見えていたはずだが、また別の場所なのだろう。


 駐車場の端の方、電柱の近くに初老の男性が待ち構えていた。

例の叔父だ。

美織は足早に駆け寄っていく。


「おじさん!久しぶり!」

「久しぶりだな!美織!元気してたか!」


 自分と同じくらいの背丈に、ズボンからはみ出る下っ腹。

レンズの厚い眼鏡は、学者という役職にぴったりだ。

 以前より太ったように見えるのが気になったが、変わらず健康そうでよかった。

見慣れた顔に安心する。


「いきなりの誘いでびっくりしたよ、そんなにこの島楽しい?何か変わったことあった?」

久しぶりの対面に興奮して美織は矢次早に質問する。


「ははは、ちょいと落ち着きなさい。興奮するのは分かるが。」

「この島なすごい楽しいぞ。後で色々説明するから。」

叔父が返答する。美織は自分が少し緊張していることに気づいて、質問を控えた。

「着いて早々だが、もう暗くなるから家に行こう。」

「車乗りなさい」

空に目をやると夕日はほとんど見えなくなり。星々が輝き始めていた。

叔父の提案に賛同し、顔をあげると近くに女性がいることに気づく。

「ああ、そうだ、その前に紹介しよう」

忘れかけていたのか叔父がとっさに女性の紹介を始めた。

「彼女は猿見遥さんだ。この島の案内人だよ。」


 女性は眼鏡にスーツと言った出で立ちで、少し赤みのある髪を後ろでまとめた髪型をしていた。いわゆる”務め人”の出で立ちであったが、前髪を顔の半分まで垂らしており、そこまできっちりとした風貌ではないようだ。

落ち着いた雰囲気をしているが、眼鏡の奥にはキリリと細い目が覗く。


「よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。島支庁の猿見です。」

「ご存じの通り、当島は色々と秘密ごとがございまして・・・」

「監視という形に近いですが、軽く付き添いをさせていただきます

。」


(はっきり言う人だ)

秘匿が重視された島で、頼んでないのに最初から居る。確かにこれは案内ではなく監視が目的だ。

あえて伝えたということは彼女なりの気遣いなのだろう。

出入りの制限のある島、情報の制限がある島。

どこの独裁国家だよと突っ込みたくなるが、一応ここは日本。政府が譲ったということはそれを了承しているということだろう。


(しかし軽く・・・とはどこまでどれくらいか?)


「お前は俺の隣な」

疑問に思いながら僕は後部座席に座った。

「失礼します」

猿見さんが運転席に座る。


フェリーを背に、車はゆっくりと走り出した。


車の中で叔父が話しだす。

この島にはこの島独自の注意事項があるらしい。


1.基本的に島の情報は外部に漏らしてはいけないこと。


今の時代スマホがあるし簡単じゃん。そう僕も考えました。

そしたら猿見さんが「やってみてください」と一言。

試しにスマホで写真を撮ってSNSを開いてみる。

インターネットの接続エラーが出た。・・・そもそも電波を受信してない。

「この島では決められた回線のみでインターネットが使えます。登録し直す必要があるんです。」

「今日はもう遅いから、後で契約しに行こうなぁ」

叔父が楽しそうな様子で返答する。

「それで、監視してるとか?」

「ご明察です。」

徹底してるんだなぁ。

隙のなさに軽く恐怖を覚えたと同時に、このシステムを本土にも取り入れればいくらか救えるモノがあるんじゃないかと悲しくなった。


2.夜間帯の外出は控えるか、灯りを持って移動することを推奨

する。

これは本土でも同じだ。いくら治安がよいからといって、周囲の危険には目を向けなければいけない。



3.お上の御前では慎重に。

─何だろうお上とは、島特有の身分制度でもあるのだろうか。

なんだかうさんくさい。

役職としての身分はあるとしても、人類は皆平等。優劣をつけてはいけないと倫理的に教わっただろう。

 もしかして江戸時代のようにお殿や侍がいて、通るたびに頭を下げなければいけないのか。または本当に独裁主義が適応されており、本土は内密に買収されているとか。

 そしてこれを聞いたのち、自分の置かれている状況があまりよろしくないことに至った。


─今の状況ヤバくないか。

 閉ざされた島、そこで囲われる叔父、島からの監視、そして逃げ場のない車内。今向かっている場所は叔父の家ではなく、島が運営する場所で、この後洗脳されるのか。

 次々と不気味な点が浮かび上がり、嫌な想像がとまらない。

もう義務教育は終わったはずなのに、敵と対峙したときのシュミレーションをし始める。いや、今回は役に立つかも。


─ガチャリ


「どうした?気分悪いか?」

叔父からの声かけに意識が戻る。

どうやら目的地についたようだ。ちゃんと叔父の家である。


「それでは私はここで。面会の目処ができましたら、また連絡します。」

「失礼します。」

運転的から顔を出して猿見さんがそう告げた。

ずっと監視されるのではないかとヒヤヒヤしたが、そうではないらしい。

車は僕らを後にして走り出す。


「ほれ、灯り」

遠ざかる車を見つめていると、横から叔父が何かを手渡す。

青緑に光る提灯だ。

「え、なにこれ」

「香島2番目のルール」

「さっき言ったでしょう。夜は危ないからね、この島こういうもあるんだ。」

「スマホじゃ駄目なの。」

「風情だよぉ風情。」

 叔父の口角がつり上がる。よほどこの島が気に入っているのだろう。

「じゃあ、晩飯の準備に取りかかるとするか。」

 そう言って叔父は家の中に入っていった。


 すでにルールは適応されているのかと拍子抜けする。

島全体に根付く奇妙な風習に、やはり何かあるのではと疑念が残るが、

夜間に提灯を持って闊歩事を想像すると、確かに風情がある。

 見たことがない提灯だ。

中を覗いてみると小石が入っており、それが光を放っている。

どういう原理か石が少し浮かんでいる。

(こんな石あるんだな。)


 SFにでてきそうと思いながら辺りを見渡すと、通電式のライトの他に、赤い提灯や叔父から渡された提灯と同じモノが各々かけられており。それが尚更和風情緒を醸し出していた。

 コンクリ造りの建物や、昭和の家屋が多く、この辺り一帯が尚更古びた印象を与えていた。






小説初めて書き始めました。

元々構想していたものを下手なりに表現しております。

そのため今の流行りとはだいぶ離れたものだと思いますが、読んでいただければ幸いです。

アドバイス、改良点ありましたらどんどん教えていただきたいです。

エタる可能性もありますが、何卒よろしくお願いします。

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