日常が壊れたとき
はじめまして。外国人ですが、日本語で小説を書いてみました。
まだ勉強中なので、読みにくいところがあればすみません。
ぜひ楽しんでください!
――今週は本当にきつかった……もう限界だ。
ユウジはかすれた声でつぶやきながらベッドに横になり、目をこすった。
――もう……耐えられない……。
そのとき、スマホのアラームが鳴った。毎日飲む薬の時間を知らせるものだ。
習慣のように、ベッド脇の引き出しを開けて薬を取り出す。しかし手にしたまま、飲むべきかどうか迷って固まった。しまおうとして、結局また手を止め、そのまま飲み込んだ。
「はぁ……結局、怖くて飲まないなんてできないんだよな。飲まないとどうなるかって、散々脅されてきたし……俺、本当情けないな……」
乾いた笑いが漏れる。それは笑いというより、痛みのにじむ声だった。
ユウジはゆっくり立ち上がり、毎日のように繰り返す日課の準備を始めた。持ち物をそろえ、その中には例外なく薬も含まれている。
部屋は散らかり放題で、代わり映えする気配もない。家全体がそんな状態だった。
マンション三階の部屋を出て階段を降りると、ちょうど隣人のレイアと出くわした。
十八歳、高校最後の年。彼女にはユウジに会うたびに必ずする“習慣”があった。――笑顔を向け、妙に距離の近い仕草で誘惑してくるのだ。
彼女に惹かれていないわけではない。むしろタイプだった。しかし二十三歳の自分が、まだ高校生の相手と付き合うのは“社会的に”よろしくない。
誘惑に負けないよう、必死に自制していた。
「ねぇぇ~? 一回でいいからデートしてよ。誰にもバレないってば。ほら、私なら女子力高いし、年上に見えるでしょ? 気づいてるくせに~?」
「……気づいてるよ……」
彼女の胸元を見て、思わず涎を垂らしそうになりながらも乾いた笑いを返す。
レイアはそっと彼の胸に触れようと手を伸ばした。気づいたユウジは慌てて距離を取る。
「ね? やっぱり私のこと、気になってるんでしょ? もう大人なんだからさ~!」
「ごめん……社会的なルールは守らないと……」
「この地区じゃ誰も気にしてないよ? なんでアンタだけそんな真面目なの?」
「俺は……他の奴らとは違うんだよ。じゃあ、学校行ってこい。真面目にやれよ」
「絶対あきらめないからねー!」
「偏見さえ無くなれば……俺だって……」小さく呟きながら、足早に去る。
自転車が盗まれていないことを祈って駐輪場へ向かうと、そこには守衛が立っていた。
「お前のチャリ、危なかったぞ。昨日、泥棒が来たからな。俺のロッカーに入れといた」
「ありがとうございます……!」
「また109号室の学生に引き止められたのか? あの子、本当しつこいな」
「……はい」
「若いんだから、付き合ってやれよ~? 誰にも言わんよ」ニヤニヤ。
「じいさんまで何言ってんだよ……!」
そんなやりとりをしていると、階段の方から気配が。
「やっぱり待っててくれたんだぁ!!」
守衛がまたニヤッとする。その顔を見てユウジは折れた。
歩きながら何度も後悔しつつ、彼女を見るとまた惹かれてしまい、無限ループだった。
周囲の視線も気になった。
「ねぇ……なんでそんなに見てくるの?」
「……どうして俺なんだ? 俺、病気持ちだし、見た目もモデルみたいじゃない。君の年齢なら、もっと“いい男”いくらでもいるだろ」
「そんなの知らないよ……。理由なんてわかんない。でも、あんたのこと好きなんだよ。ずっと前から。別に狂ってるほどじゃないし、他の男も好きだけど……あんたは特別なの」
「……そっか。ほら、学校ついたぞ。頑張れよ」
レイアはそっと彼の唇に触れる程度のキスをして笑った。
――周囲の視線が突き刺さる。
ユウジは顔を赤くし、自転車に飛び乗って走り去った。
時計を見ると遅刻ギリギリ。足の筋肉が軋む。持病の症状だ。
痛みに耐えながら、自転車を必死で漕いだ。
職場の24時間コンビニに着き、ロッカーへ向かう途中、同僚に怒られた。
数時間後、胸騒ぎがしてポケットを探ると――薬がない。
次の支給は来月。絶望が襲う。
更衣室を探し回り、同僚にも聞いたが見つからない。
「筋肉……全部固まって……俺……死ぬ……」
首に下げたお守りを握り、呼吸を整える。
そこに客が入ってきた。
「おーい、調子悪いの? いいから働けよ」
棚に物をぶつけながら歩く客にイラつきつつ拾っていると、急に足が動かなくなった。
全身に激痛。身体の自由が消える。
床に倒れ、必死に叫んだ。
客は笑いながら近づき、逃げようとしたが、ユウジはその足を掴んだ。
骨がきしむほどの力だった。
「い、痛いっ! 放せよ!」
「逃がすかよ……泥棒が……!」
蹴られても殴られても痛みは感じない。ただ力だけが溢れていた。
客が商品を置き逃げると、ユウジはようやく掴む手を離した。
よろめく客を見届けて、棚を支えに立とうとした――
その瞬間、棚が紙のように潰れた。
「……な、なんだよこれ……」
ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想やアドバイスがあれば、とても嬉しいです。
次回もよろしくお願いします。




