奉仕活動②
リリアはすぐに震えるアリアの冷たい手を取り、問いかける。
「ねぇ、アーリィ。一体どうしちゃったの?今の、あれは何だったの?」
リリアの切実な問いかけに対し、アリアは顔を上げることができない。
恐怖で、言葉が喉に詰まってしまっている。
彼女の瞳からは涙がこぼれ落ち、制服のスカートに小さな染みを作った。
車内には重い空気が流れ、アリアの嗚咽が小さく響いていた。
リリアは手をぎゅっと握ったまま、静かに待つ。
やがてアリアは意を決したように涙を拭い、ぐっと顔を上げた。
「・・・あのさ、実はね・・・」
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同じ頃、すぐ後ろで発進を待つ馬車の中では、セシリアが満足げに微笑んでいた。
(まさか、あの愚かな男爵令嬢が薬を振りかけるとはね。友情に最後まで殉じるかと思ったけれど、結局は自分の保身が一番だものね。予想外だったけれど、勝手に仲間割れしてくれて助かるわ)
セシリアは笑みがこぼれるのを抑えることができなかった。
目の前の席に座る取り巻きの令嬢が、その様子を怪訝に思った。
「セシリア様?どうされました?」
「なんでもないわ。ただ今日は気分が良いのよ」
セシリアはそう答えながら、馬車の小窓からリリアたちの馬車を再び見た。
(親友だと言っていたくせに、友情なんて脆いわね)
セシリアは勝利を確信し、その口元には冷たい笑みが浮かんでいた。
~~~~~
馬車が動き出した後も、リリアとアリアは話し込んでいた。
「だから・・・――っ!!」
アリアが言葉を言い終える直前のことだった。
「ヒヒィーン!」
馬のけたたましい鳴き声と同時に、馬車が大きく跳ね、激しく揺れた。
その揺れは尋常ではなく、リリアとアリアは悲鳴を上げ、体をぶつけ合いながら床に転倒する。
かなりの速いスピードで、馬車が制御を失って進んでいるのが分かった。
「いったい何があったの?!」
リリアは驚きと恐怖で声を荒らげた。
足元に投げ出されたアリアは、必死に座席の手すりに掴まっている。
リリアもすぐに手すりにつかまりながら立ち上がり、なんとか小窓から外の様子を確認した。
御者が必死に馬を宥めようとしているのが見れる。
だが馬は鎮まること無く、さらに興奮しているようだ。
(まずいわ。この先には急な坂道がある・・・!)
もしこのままの速さで突っ込めば、馬車は間違いなく横転してしまうだろう。
リリアは体中の血の気が引くのを感じた。
(いったいどうすれば・・・)




