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奉仕活動①

課外授業の当日。

リリアが寮を出たときに、偶然アリアと鉢合わせた。


「アーリィ、おはよう!」

「うん、おはよう・・・」


アリアはいつもの元気さが無く、寝不足なのか目の下の隈が目立っていた。

顔色は青白く、視線は故意に逸らされているように感じる。


「アーリィ、本当に大丈夫? 具合が悪いの?今日はお休みした方がいいんじゃない?」

リリアが心配そうに尋ねる。


「だ、大丈夫よ! ちょっと疲れているだけ。ほら、早く行かないと馬車に遅れちゃうわよ」

アリアは努めて平気なふりをしたものの、その手はポケットを固く握りしめていた。


リリアは強い違和感を感じたが、それ以上は追求せずそっとしておくことにした。



孤児院へは学園所有の少し古い馬車に乗って、二人一組で向かう予定だ。

リリアとアリアは同じ馬車だと決まっている。


「それではみなさん、決められた馬車へ乗り込んでください。くれぐれもこの学園の恥になるような行動は慎んでくださいね」

引率の教師がそう言うと、準備のできた生徒が順番に馬車へと乗り込み始めた。


やがて、リリアとアリアの名前が呼ばれ、馬車へと案内される。


リリアが馬車に乗り込もうと一歩踏み出した、そのとき、アリアがふと立ち止まった。

彼女はその場に縫い付けられたように動かない。


「アーリィ?どうかした?」


そう声をかけるが、返事は無い。

アリアの胸元で握られている手が、小刻みに震えている。

リリアは、その手に握られた小さなガラス瓶の存在に気づいたが、それが何なのかは分からなかった。


リリアは馬車に乗るのをやめ、不安に駆られながらアリアへと近づいた。

「アーリィ?」

アリアは、顔を上げず震える声で呟く。


「・・・リリィ。ごめんね」


そう言うと、アリアは手に持っていた小さな瓶の蓋を素早く開ける。

そして瓶の中の液体を、「ばしゃっ」とリリアの制服へ勢いよく振りかけた。


「っ!?」


驚きと同時に、リリアは咄嗟に身を引く。

だが一瞬の出来事だったため避けることもできずに、振りかけられた液体は制服へ染み込み、消えない跡を残した。


アリアは突然リリアの手を強引に引いて、半ば押し込むように馬車の中へと乗り込み、バンッ!と扉を勢いよく閉める。

あっという間の出来事に、リリアはされるがままだった。


目の前に座ったアリアは、顔を押さえてうつむいている。

その手は、先ほど見た時よりも震えが大きくなっていた。


「・・・、アーリィ?」


アリアの行動の意味が分からず、リリアは困り果てていた。


「リリィ・・・本当にごめんなさい」

そう話すアリアの目は、今にも涙が零れ落ちそうだった。

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