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約束の日①

太陽が沈み、学園全体が薄暗くなったころ、リリアは寮の裏側にある温室へ向かった。

今までその存在を知らず、たどり着けるか不安であったが、案外すぐに木々の裏でその建物を見つけることができた。

古いながらも、きちんと手入れされているような温室。


扉をそっと押すと、中から柔らかな光が一気にこぼれ出す。

ランプも何も見当たらないのに、温室全体がまるで昼間のように明るい。

色とりどりの花も咲いており、いい香りがする。


温室の中央で、シンプルなシャツ姿のアルフレッド殿下がリリアを待っていた。

「やあ、リリア嬢。よく来てくれたね」

顔を上げると、彼の柔らかな笑顔が目に入る。


「ごきげんよう、殿下。本日はよろしくお願いします」

リリアが反射的にカーテシーをしようと膝を曲げると、アルフレッドはすぐにそれを制した。


「おっと。ここではそのような礼は不要だよ。それに君にはアルフレッドと呼んでほしいんだ」

彼の真剣なまなざしに、リリアは少し迷いながら答える。


「・・・分かりました。それではアルフレッド様と呼ばせていただきます」

「ああ、それでいい。こちらに来てくれ。見せたいものがあるんだ」

アルフレッドはそう言うと、中央に置かれた丸いテーブルのそばにリリアを連れてきた。


そこに置いてあるのは、金色に装飾されている数冊の本であった。

「これは・・・魔法指導書?」

リリアが表紙に書かれている文字を読む。


「ああ、これらは私の私物なんだ。でももう内容を全て理解しているし使っていない。だから君にあげようと思って」

リリアはぎょっとし、思わず首を振る。


「あげるだなんて・・・!このような貴重なもの、私にはいただけません!」


「でも君は魔法のことを公表するつもりではないんだろう?通常であれば、魔法が使える者は魔塔に登録するんだ。そして幼い頃から魔塔に通い、魔法の基礎や扱い方について学ぶ。私自身もそうしてきた。君はただでさえ魔力量が多く扱いが難しいんだ。だからこの本は必ず君の役に立つよ」


アルフレッドのその言葉に、リリアは疑問を浮かべた。


「・・・魔力量が多いですか?」

「ああ、君の魔力量は私より圧倒的に多い」

「でも、わたし、魔法を使うと魔力枯渇のような症状が出るんです」


リリアはレリーフのときのことなどを正直に話した。

アルフレッドは、リリアの話が終わるまで考えるように黙って耳を傾けていたが、やがて口を開く。


「それはきっと魔力酔いだよ」


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