表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/26

呼び出し

いまだ議論を続けている教師たちを横目に、リリアはアリアの肩を借りるようにして展覧室を後にした。

魔法を使った反動で、全身が鉛のように重い。


「リリィ、本当に大丈夫?顔が真っ青よ。医務室に行きましょう?」

アリアが心底心配そうな声で訴える。

その優しさが、かえってリリアの心に重くのしかかった。


「大丈夫よ、アーリィ。ただ、少し貧血がぶり返しただけ。あのレリーフの騒ぎで、どっと疲れが出たの」

リリアは、そう言って何とか微笑んだ。

アリアに魔法のことを正直に伝えようかと思ったが、今はまともに話せる体調ではない。


「でも、本当に驚いた。レリーフが元通りになるなんて。魔法なんて初めて見たわ」

「そうね。魔法が使える人なんてほとんどいないものね・・・」


リリアは、アリアの話に曖昧に答えることで、この話題を終わらせる。

アリアはリリアの顔色の悪さを見て、それ以上は話を続けず、半ば強制的に寮の自室へと送り届けてくれた。


自室に着いたリリアは制服を脱ぐ気力もなく、そのままベッドにドサリと倒れ込む。

目を閉じると「地の誓いに応えよ」という言葉が頭の中で響いた。


(なんだか、あの言葉は気になるわね)


そう考えながらもリリアがうとうとし始めた、その時であった。


コン、コンと、遠慮がちに扉をたたく音がする。


リリアは重い体を起こし、何事かと扉を開けた。

そこに立っていたのは、見覚えのある人物。

アルフレッド殿下の侍従、ディートリヒ・ヴァイスだった。


「アステル令嬢。お休みのところ申し訳ありません。殿下がお呼びです」


「殿下が・・・?」

リリアは驚き、喉が引きつった。

「今、ですか?」


「はい。すぐにお越しいただきたいと」


拒否する選択肢がないことを悟り、「少しお待ちください」と伝えリリアは急いで制服を整える。

侍従は一言も話さず、リリアを連れて寮を出た。


彼が連れてきた場所は、学園の奥にある生徒会室だった。

扉を開けると、そこにはアルフレッド殿下が一人、静かに待っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ