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【第17章】伝説の剣の真価

 ——ナイトフォール城跡地・夜明け

 悠月たちは、カイルとの戦いを終え、夜が明けるのを見つめていた。

「……終わったのか?」

 佐弥香が静かに呟く。

 悠月は、カイルが去っていった道を見ながらゆっくりと頷いた。

「いや、まだだ」

「そうね。"帝国"はまだ崩れていない」

 桃子が真剣な表情で言う。

 悠月は拳を握った。

(カイルの迷いを断ち切った。次は……"決戦の準備"だ)

 すると——

 ——カツン、カツン……

 誰かが近づく足音が響く。

「……誰だ?」

 仁典が警戒しながら剣を握る。

 悠月たちが振り向くと、そこには黒衣を纏った老人が立っていた。

「……待っていたぞ、"未来を選ぶ者"よ」

「……あんたは?」

 悠月が尋ねると、老人はゆっくりと頷いた。

「私は、"エルガディアの祭壇"の守護者だ」

「"エルガディアの祭壇"?」

 賢有が眉をひそめる。

 老人は静かに答えた。

「お前が"神託の書"を巡る戦いの中で選んだ未来を貫くには、"伝説の剣"を手にする必要がある」

 悠月の目が大きく見開かれる。

「"伝説の剣"……?」

「そうだ。それは、"未来を切り拓く力"を宿す剣」

 老人は悠月をじっと見つめる。

「お前が、それを手にする資格があるか……試されることになるだろう」

 悠月は、静かに息を整えた。

("伝説の剣"……それが、本当に俺に必要なものなのか)

「行こう。"エルガディアの祭壇"へ!」

 悠月たちは、新たな試練へと歩みを進めた——!




 ——エルガディアの祭壇・入口

 悠月たちは、"伝説の剣"が眠るというエルガディアの祭壇へと辿り着いていた。

「……ここが"伝説の剣"の眠る場所か」

 悠月は古びた石造りの門を見上げながら呟く。

「ずいぶんと長い間、誰も訪れていないみたいね……」

 桃子が足元に転がる苔むした石を見つめる。

「でも、本当にここに"未来を切り拓く剣"なんてあるのか?」

 仁典が疑問を口にする。

 悠月は拳を握った。

「試すしかない」

 悠月たちは、静かに門を押し開いた——

 ***

 ——エルガディアの祭壇・最深部

「……これは……!」

 悠月たちの目の前に広がっていたのは、巨大な円形の石台。

 その中央には——

 一本の剣が、岩に突き刺さっていた。

「"伝説の剣"……!」

 賢有が息を呑む。

 剣は、まるで悠月たちを待っていたかのように、わずかに光を放っていた。

 悠月はゆっくりと前へ進み、剣の柄へと手を伸ばした——

 ——しかし、その瞬間!

 ——ゴゴゴゴゴ……!!

 突然、床が揺れ、巨大な影が悠月たちの前に現れた。

「な、なんだ!?」

 佐弥香が驚きの声を上げる。

 そこに立っていたのは、黒曜石の鎧を纏った巨大な騎士。

「試練……?」

 悠月は剣を握る手を強めた。

「"伝説の剣"を手にするには、この"守護者"を倒さなければならないのか……!」

 黒曜石の騎士は、無言のまま悠月へと剣を振り下ろす——!!

「来るぞ!」

 悠月たちは、"伝説の剣"を手にするための最終試練に挑む——!!






 ——エルガディアの祭壇・最深部

 悠月たちの前に立ちはだかる黒曜石の鎧を纏った巨大な騎士。

「……こいつが"伝説の剣"の守護者か」

 悠月は剣を構え、騎士を見据える。

「どうやら、ここを通るには戦うしかなさそうね」

 桃子が短剣を握る。

「悠月、どうする?」

 仁典が低く問いかける。

 悠月は慎重に騎士の動きを観察した。

(……ただの"敵"じゃない。こいつは"試練"だ)

 騎士は無言のまま、巨大な剣を悠月たちへ振り下ろす。

 ——ズドンッ!!

「うわっ……!!」

 佐弥香が跳び退る。

 衝撃で床が大きく揺れ、石の破片が飛び散る。

「力が桁違いだな……!」

 賢有が慎重に剣を構えた。

 悠月は拳を握りしめた。

(こいつを倒せば、本当に"伝説の剣"を手にできるのか……?)

「悠月、"未来の鍵"を使え!」

 明日望が叫ぶ。

 悠月はポケットから"未来の鍵"を取り出し、強く握りしめた。

「……"未来の鍵"よ、俺に"道"を示せ!」

 すると——

 ——カァァァッ!!

 鍵が強烈な光を放ち、悠月の手に吸い込まれるように消えた。

「えっ……!?」

 悠月は驚いたが、次の瞬間——

 手にした剣が、淡く光を帯びていた。

「これは……!?」

「悠月、今の君なら"守護者"の攻撃を見切れる!」

 明日望が確信を込めて叫ぶ。

 悠月は静かに目を閉じ——

(見える……"次の動き"が……!)

 騎士の剣が振り下ろされる瞬間、悠月は迷わず踏み込み——

 ——ガキィィィン!!

 騎士の剣を"受け流し"、一気に懐へと潜り込んだ。

「行け、悠月!!」

 仲間たちの声が響く。

 悠月は剣を握りしめ——

「"俺の未来"は、自分で選ぶ!!」

 渾身の一撃を、騎士の胸元へと突き刺した——!!

 ——ズバァァァッ!!

 黒曜石の騎士が、静かに崩れ落ちる——

 悠月の前に、静かに"伝説の剣"が光を放っていた——!!




 ——エルガディアの祭壇・最深部

 悠月の一撃を受けた黒曜石の騎士は、静かにその場に膝をついた。

「……やったの?」

 佐弥香が慎重に問いかける。

 騎士はもはや動かない。

 悠月は息を整え、騎士を見下ろした。

「"未来を選ぶ者"よ……」

 騎士の声が、幽かな残響のように響く。

「お前は……自らの未来を切り拓く覚悟を持ったのだな」

 悠月は静かに頷いた。

「俺は、誰かに決められた未来じゃなく……自分で選んだ道を進む」

 すると——

 ——ゴゴゴゴゴ……!!

 騎士の身体が淡い光を帯びながら消えていく。

 その場に残されたのは——

 悠月の目の前に"伝説の剣"が浮かんでいた。

「これが……!」

 悠月は、静かにその剣の柄を握る。

 ——カァァァァァッ!!

 剣が強く光を放ち、悠月の手の中に収まる。

「……すごい」

 桃子が息を呑む。

 悠月は剣をゆっくりと掲げた。

「この剣は……"俺が選ぶ未来"を示すものだ」

 剣の刃は、まるで悠月自身の決意に応えるように淡く光っていた。

「悠月……これで"帝国の支配"を終わらせられる!」

 仁典が力強く頷く。

 悠月は、仲間たちを見渡し、深く息を吸い込んだ。

「……行こう。"帝国の本拠地"へ!」

 悠月たちは、最後の戦いへ向かう覚悟を決めた——!!


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