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【第16章】親友との決着

 ——ナイトフォール城・崩壊直後

 悠月たちは、崩れゆく城から間一髪のところで脱出していた。

「……はぁ、はぁ……間に合った……」

 佐弥香が息を切らしながら呟く。

「危なかったな……」

 仁典も額の汗を拭いながら深く息を吐いた。

 悠月は、背後で完全に崩れ落ちたナイトフォール城を見つめた。

「"影の爪"は、もう終わったんだな……」

「いや」

 アークスが静かに言った。

「"影の爪"の組織は崩壊したが、帝国はまだ残っている」

 悠月は拳を握りしめた。

(そうだ……帝国を本当に終わらせるには、まだ"最後の戦い"が残っている)

 すると——

 ——ザッ……ザッ……

「……誰か来る!」

 賢有が素早く剣を構える。

 悠月たちは警戒しながら、瓦礫の向こうから現れた人影を見た。

 そして——

「……お前は!?」

 悠月は目を見開いた。

 そこに立っていたのは、かつての親友だった。

 ***

 ——帝国軍士官・カイル

「久しぶりだな……悠月」

 親友のカイルが、冷たい眼差しで悠月を見つめていた。

「……どうして、お前がここに?」

 悠月は驚きながら問いかける。

 カイルは、帝国の軍服を身に纏い、腰には銀色の剣を携えていた。

「お前が"影の爪"を倒したと聞いてな……もう一度、お前と決着をつけるべきだと思った」

 悠月の胸がざわつく。

(カイルは……俺の幼馴染だった。それなのに、なぜ帝国に……?)

「カイル……まだ帝国のために戦うつもりなのか?」

 悠月が静かに問いかける。

「帝国の未来は、俺が守る……それが、俺の"選択"だ」

 カイルは剣を抜いた。

「そして、お前の"選択"が本当に正しいのか……俺が試させてもらう!」

 悠月は静かに木剣を構える。

(俺とカイル……かつては同じ道を歩んでいた。だけど、今は……)

「お前がどんな未来を選んだとしても……俺は、俺の道を貫く!」

 悠月の瞳が、強い決意を宿す。

「なら、戦え……悠月!!」

 カイルが猛然と突進してくる——!

 "親友との決着"の時が、ついに訪れた!!




 ——ナイトフォール城跡地

 悠月とカイルは、互いに剣を構え、激しくぶつかり合った。

 ——カンッ! カンッ!!

「お前は変わったな、悠月……」

 カイルは冷静に剣を振るいながら言った。

「昔のお前なら、こんな戦いを選ばなかったはずだ」

 悠月は木剣を構え直し、息を整える。

「お前こそ……本当にそれが"選んだ道"なのか?」

 カイルの眉がわずかに動く。

「俺は……帝国を信じている」

 カイルの剣が鋭く閃く。

 悠月は即座に受け止めたが、強い衝撃で足がわずかに沈む。

(カイル……昔よりもはるかに強くなっている)

 悠月は歯を食いしばりながら言葉を続けた。

「でも、お前が守ろうとしている帝国は、本当に"正しい未来"を作れるのか?」

 カイルの目が一瞬揺らぐ。

 しかし——

「迷いはない!」

 カイルは強く言い放ち、さらに鋭い連撃を繰り出す。

 ——ガガガッ!!

 悠月は必死に防ぎながら、確信した。

(カイルはまだ迷っている……それでも、"正しい"と信じ込もうとしているんだ)

「なら、決着をつけるしかない!」

 悠月は力強く踏み込み、渾身の一撃を放った——!

 ——ズバァァッ!!

「ぐっ……!」

 カイルの剣が弾かれ、彼の身体が後ろへと吹き飛ぶ。

 悠月は剣を構えながら静かに言った。

「お前の"選択"が間違っていないなら、もう一度立ち上がれ……!」

 カイルは荒い息を吐きながら悠月を見つめた。

「……本当に、変わったな……悠月」

 悠月は静かに頷いた。

「俺は、"自分の未来"を選んだんだ」

 カイルは、剣を握りしめたまましばらく沈黙し——

「……フッ、負けたよ」

 ゆっくりと剣を下ろした。

 悠月は木剣を収め、カイルに手を差し伸べる。

「お前も、"自分の未来"を選べるはずだ」

 カイルは一瞬目を見開いたが——

「……そうだな」

 その手を掴み、静かに微笑んだ。

 こうして——

 悠月とカイルの"親友との決着"は、戦いを超えて、新たな選択へと繋がったのだった。


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