第2話
学校での生活は順風満帆、とはいかなかった。まず俺は地頭があまり良くない。勉強についていくことが難しいため、周りにおいていかれてしまう。自分で勉強をして少しでも追いつけるようにしなければ。
「うーん、ここはどうすればいいんだ?」
「そこはこの式を使うのよ」
「おぉ、たしかに!アドバイスサンキュー。って、いないし…」
確か今の声は、アスターさん、だったかな。今度会ったら改めてお礼を言わなければ。というか、案外悪いやつじゃないのか?
「っと、次の授業が始まるな。えーと次は、基礎実習…あー、外に集合か」
遅刻が確定してしまった。
「遅れてすいません、先生」
「お〜、次から気をつけろよ〜」
タールハイム先生はゆるいから楽で助かる。魔法の扱いに関しては一流と言っても過言ではないだろう。
「今日は火の応用についてやっていくぞ〜。火の魔法についてはもう大丈夫だよな〜、リューゼ」
「は、はい!もちろん大丈夫です!」
「ほんとか〜?じゃあ今説明してみろ〜」
「え、えーと…火の魔法はー…」
「教室に戻ったら教科書読み直しとけよ〜。まぁ念の為に説明をしておこう。空気中には魔素が漂っていることは知っているな〜。この魔素を体内の魔力によって具現化させるのが魔法の根本だ。この時体内の魔力をうま〜く扱うと様々な魔法を扱えるようになるんだ〜。このように」
先生の周りに火や水が漂い始めた。
「「「おー!」」」
「この魔力をうま〜く扱うには経験が一番大事だ〜。それでは、周りとよく距離をとって、みんなやってみよ〜。最初は火の魔法から〜」
よし、やってみよう。たしか体内の魔力と空気中の魔素の感覚を掴むのが大事だと言っていたな。まず体内の魔力からだ。うーん…あ、この流れかも。流れを手に集めて…と…よし。後は魔素の感覚を…あぁ、たぶんこれだ。よし!
ボッ
「お〜、いい感じじゃないか〜景斗」
「ありがとうございます。先生の教え方が上手いからですよ」
「そうか〜?褒め上手だな〜」
周りの生徒はなかなか苦戦しているようだが、自分だけできて気分がいい。他にも何人か上手いやつがいるな。
「今はできなくてもやっていけばそのうちできるようになるからな〜。それにこの授業には適性を確かめる意味もあるんだ〜」
適性。人にはだしやすい魔法に違いがあるらしい。どういう違いがあるかとかはわからないが、とにかく自分の適性を確かめるのがこの授業なのだろう。
「次は水を試してみようか〜」
水か。よし、さっきの感じで…って、あれ?魔力の感覚はうまく掴めるが魔素が集まってこない。これは、水の魔法は苦手というところだろうか。
「ねぇ!見てみて景斗!さっきは上手くできなかったけど水は簡単に出せたよ!」
「おー、すごいな、リューゼ。どんなふうにやってるとかあるか?」
「うーん。ぎゅーとしてばんってやったらできた!」
「あ、あぁ…そうか」
こいつは超感覚派なのだろう。こいつにできて俺にできないのはなんか癪だ。
「よーし、今日でだいたい自分の適性がわかってきたと思うけど、今日わからなくても授業を重ねれば感覚をつかめると思うから、だんだんとやっていこ〜」
「「「ありがとうございました」」」
今日の授業を通して、俺は火の適性があることがわかった。そのうちクラス分けがあるらしいが、今は座学をやらなければいけない。とりあえずはやく教室に戻って勉強をしなければ。