第1話
「まもなく、魔法学校、魔法学校です」
「もうすぐ魔法学校につくみたいよ!景斗!」
「あ、あぁ…」
少し意識が飛んでいたが、もう魔法学校につくらしい。学校が始まってから毎日この時間に起きると考えると少し憂鬱だ。
「楽しみだねー!どんな友だちがいるんだろう!」
「友達判定がはやくないか」
「同じクラスになったら友達みたいなものだよ!」
「そんなもんかね」
駅を出るとすぐに魔法学校が見えた。素朴だが頑丈な造りである。そして…すごくでかい。
「わぁ〜、凄い大きいね!」
「あぁ、流石王国の学校だな」
「新入生の方はこちらにお願いしまーす」
「あ、あっちに集まってるみたいだよ。行ってみよう!」
最初は大広間で入学式だったか。とりあえず行こう。
「君らは社会のゴミだ。それを理解してこの学校に通いなさい」
「…は?」
何いってんだ、この学長。
入学式が始まり、学長の話が始まった瞬間の一言。入学する場所間違えたかな。周りの生徒も困惑を隠せないでいる。しかし、先生方だけは澄ました顔をしていた。
「君らは上のものに生かされている。この王国が存続していけるのは魔学園に通っているか、卒業したもののおかげだと言うことを忘れないように、以上」
「教室はこちらに書いてあるとおりになります。皆さんご移動お願いします」
衝撃的な入学式の後、クラスに案内された。何人かの生徒は当たり前かのような顔をしていたが、この待遇が日常の人たちなのだろうか。慣れって怖いな。ちなみにリューゼとは同じクラスだった。
教室につき、しばらく自分の席に座っていると、中年のおばさんが教室に入ってきた。
「今日からこの教室の担任になります。シュテラと申します。これからよろしくお願いしますね」
どうやらあの人が俺達の担任らしい。
「みなさんごめんなさいね。学長の話、びっくりしたかもしれないけど、あの人は魔法至上主義なのよ。全員がそういうわけじゃないから安心してね」
周りの奴らはホッとしているが、こいつ学長の話を済ました顔で聞いてたぞ。
「この学校で学ぶことはおもに2つ。1つ目は生活魔法
、2つ目は基本魔法ね」
生活魔法。簡単に言えば生活を便利にしてくれるものだ。その気になれば洗濯や料理も魔法ですることができる、らしい。
基本魔法はその名の通り、全ての魔法の基礎となる魔法のことだ。火、水、風、土、光、闇の6つから構成されている。
「後は魔法基礎と歴史、言語の講義を受けてもらうわ。それぞれ違う先生がつきますから、先生方に失礼のないようにね」
「それでは、一番の人から自己紹介をお願いしようかしら」
学校についての説明が終わり、自己紹介の時間が始まった。
「はい、ありがとうございます。それでは次の人、お願いします」
すぐに自分の番が来てしまった。
「神木景斗です。両親が日の国出身で、こっちには生まれた頃からいます。これからよろしくお願いします」
「へぇ、日の国か」「私始めてみたかも」
黒髪黒目が特徴の日の国出身者はこっちではかなり珍しい。日の国は鎖国気味で、独自の魔法技術を発展させているらしい。俺は幼い頃両親から聞いただけで直接見たわけではないが。
「はい、よろしくお願いします。それでは次の人お願いします」
「私、クリミア・アスター。悪いけど、馴れ合う気はないから」
おー、まじか。しょっぱなからかましてるな。一匹狼は学校で通用するのだろうか。ちょっと様子を見ておこう。
「はいはーい!私、リューゼ、リューゼ・トワイライト!みんなよろしくね!」
「まだあなたの番ではありませんが…元気でいいですね。これからよろしくお願いいたします」
自己紹介の後、自由に校内を歩き回る時間になった。地図を渡されたのでどこへ行こうか迷っている。
「あ、あの、これ」
「ん?…って、リューゼのハンカチ。どうして君が?」
「が、学校の入口で、落としてるのを見て、仲が良さそうだったから、き、君に」
「あぁ、ありがとう。でも、どうして俺に渡すんだ?」
「あ、あの人、ちょっと怖い…」
確かにリューゼは活発だが、怖がるほどのものでもない。初めての人だと怖いのかな。
「怖いのに、わざわざ届けようとしたのか。わかった。俺から渡しておくよ。ありがとう…名前は、ななんていうんだ?」
「わ、私、ロシェル」
「ロシェルさんね。これからよろしく」
「よ、よろしくおねがいします。それでは」
「あれ〜、それ私のハンカチじゃん!どっか無くしちゃったのかと思ったよ〜。景斗が持ってたんだね」
トイレに行っていたリューゼが丁度戻ってきた。
「いや、ロシェルさんって人が拾ってくれてたんだよ」
「そうなんだ!後でお礼しなきゃ。どんな人だった?」
「俺から伝えておいたし、大丈夫だよ。それより校内を回ってみよう」
「えー!後でお礼だけは言わせて!」