第三話~巨大生物たち~
その後は惰性で流されるままだった。深い事情は聞かれなかったのでそこは安心だった。何より星香がはしゃいでいた。二人がかまってくれるからだろう。
そうこうしている間に教えてもらったのだが、男の方がクラシエ、女の方がアンシというらしい。名前からして日本人でないことは明らかだった。
振る舞われた料理をおいしくいただき、就寝することになった。
「いい人たちだね、とおにぃ」
「ほんとだな。でも星香、いつまでもお世話になってるわけにもいかないぞ」
言った通り、ここの場所がわかりしだい、明日にでも出ていくつもりだ。
「うん、わかってるよ。お母さんたちも心配だし…」
言われてから気付いた。そうだ、まだ確認はしていない(できない)が、親や、あるいは海人もあの光を浴びているとするなら、俺たちと同じようにどこかへ消えているのかもしれない。
そう考えると今にも飛び出したくなる焦燥感に駆られた。
「星香」
言葉を吟味する前に口に出てしまった。仕方ないので更に続けた。
「星香、学校はたのしいか」
何を聞いているんだ自分は。
しかし、ふと横をみるとすでに星香は寝息を立てていたことに、安心した。と同時に抱いていた焦燥感に無意味さを感じた。
人は寝ている間に情報を整理しているという。ならば、明日になれば新しい発想もわくものだろう。
そう期待して透は眠りについた。
翌日、透が目覚めるとすでに隣に星香の姿はなく、綺麗に畳まれた布団だけが目についた。こういうところは小学生にしてはよく出来てると思う。さて、その小学生に対抗心を燃やしながら布団を綺麗に畳む限界を追求した後は、やはり、この家の主に顔を出さなければならないだろう。
どんな顔すればいいのか分からない。笑っておはようごさいますと言うか、真面目な顔してとめていただいてありがとうございます、というか。
考えていても仕方がないのでとにかく話し声のする扉を開けた。すると、目の前のテーブルにはすでに朝食が四人分用意されていた。勝ち誇った顔をみるに、星香も料理を手伝ったのだろう。透は気おくれを感じた。
とにかく、一同揃っていたから、挨拶をした。
アンシが反応した。
「おはよう。ご飯できてるから席に座って」
食事を済ませるとクラシエが言った。
「じゃぁ、今日は町の方にでも行ってみるか」
「町?」
「ああ、ここは町外れだからね。たまに行かないと生活できないんだよ。」
「あっ、じゃあ俺もついていきます」
借りを作りっぱなしでは何なので荷物持ちぐらいならできると考えた。
「狩りは得意?」
「・・・狩り?」
「そう、魔物狩り」
「・・・魔物?」
「あ、あれ、知らない?」
素直にはいというと、二人に大笑いされた。星香と透はぽかんとしていた。
どうやらここには魔物が住んでいるらしい。一体どういうことかとそとにでたらすべて把握できた。
この家は山のふもとにあるのだが、逆を向けばあたり一面に広がる緑の草原が広がっていた。そしてそこには見たことのないような動物、もとい魔物がはびこっていた。ものすごい勢いで緑を駆けている奴、巨大な羽をば
たつかせている奴、そして、それよりもさらにとてつもなく巨大な体をもつ亀のような生き物など。
星香と透はびびった。それを見たクラシエとアンシは本当に知らないのかと顔を見合わせていた。
「これで連れて行けるかしら」
「無理だろうな」
「じゃあ私が一人で行ってくるから留守番しててくれない?」
「あい、わかった。まかせとけ。」
「それじゃ、いってくるわね」
そういって、アンシはいってしまった。
残された三人はその背中を見送り、しばらくしてから家へと引き返した。いまだにあの光景が脳裏を離れない。
だが、そんなことはお構いなしにクラシエは言った。
「一狩り行っとくか」
・・・・・・え?
「武器を持てぇい!」
・・・・・・・・・・・・・・はい?
「これからあいつらをなぎ倒しに行きます」
・・!?
「しょ、正気ですか!?あんなのを倒せって・・」
「大丈夫だ、俺が守るから」
そういって大きな声で笑いながらドアを出て行った。
こうして透と星香の修行が始まった。
この小説は文章力を上げるためにあるんだ。だから拙くてもいいんだ。
そう考えるようにしました。