エピローグ・独白
とても短い、後日談。
あれから、数か月が経った。
朝方まで起きていたけど、あの日は平日で、翌日も平日だった。よって、私は半分以上寝ながら学校へ向かった。電柱にぶつかったら目が覚めた。
勇輝は、あれ以来学校へ来ていない。
さすがに心配したのだろう、彼の両親から行方を尋ねられたが、知らないと答えた。
異世界で魔王と戦ったはず、その後は分からない……なんて、説明されても困るだろう。
いずれにしろ、魔王と戦ったその後どうなったのか本当に分からないから、知らないと答えるしかなかった。
ただ、たとえ勇輝が勝利していたとしても、もうこの世界へ帰ってくることはないだろうと感じていた。
勇輝は、自分を勇者と呼び讃えてくれるあの世界を選んだのだ。生きていても死んでいても、もう鏡の向こうからこちらへ戻ってくることはないだろう。
私は――あの日から、毎日ドレッサーを覗き込んでいる。もう日課なのだ。
反応がなくてもがっかりしない。そういうものだと思いながら、それでも毎日眺めている。時にはお茶とお菓子を揃えて、自分の顔を眺めながらお茶を飲むこともあった。
「……」
鏡に手を伸ばす。そっと触れたのは、鏡の表面。
私の手は鏡をすり抜けないし、鏡面が波打つこともない。
「大丈夫。待ってるよ」
誰にともなくつぶやいて、鏡面をなぞる。
鏡の向こうの大切な人。
私は今日も、彼の声をもう一度聞ける日を待っている。
――それにしても年単位で待たせられるとは、ちょっと思わなかったけど。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
結局どうなったんだ、という終わりかもしれませんが、当初からこういう終わりにすると決めていました。
むしろ、はっきりと再会が訪れると書く気すらなかったのですが…
自分のやりたい事をやった話となり、読みにくいところも多々あったと思います。
もう少し深堀したいところもたくさんあったのですが、このような形に収まりました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。




