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魔族と人間

タイトルセンスの無さはいかがなものか。

もっといい感じにしたいです。

『人間は魔族に感謝して移り住み、そこで新しい暮らしを始めた。しかしそこで、彼らの暮らしがかつてのように栄えることはなかった』

「どうして?」

『彼らは技術を封印したのだ。人間たちは、あの天変地異は自分たちの技術が行き過ぎた結果だと考えていた。だから同じ轍を踏まないように、それまでの技術の一切を捨てたのだ』

「ああ……なるほど。そうかもね」


 文明が発展すればするほど、地球が傷を負う。異常気象に見舞われる。自然災害が起こる。私達の世界と同じ話だ。

 聞いた限り、かなりのオーバーテクノロジーだったようだから、その反動が来てしまったのかもしれない。


『彼らは徹底していた。技術の痕跡を少しも残さないように、その歴史そのものを葬り去った。当時はそれが最善だと誰もが思ったが、のちにこれが大きな禍根を残した』

「禍根?」


 ディーは一口ワインを口にして、グラスを机に置くと、大きくため息を吐いた。酔っているわけではなさそうだが、とても疲れているように見えた。


「あの、話したくないなら……」


 思わずそう口にしてしまったが、ディーは疲れた表情のまま笑って見せた。


『大丈夫だ。――人間は全ての歴史を抹消し、最初から世界に大陸は一つしかなくて、そこで人間と魔族が暮らしているのだと伝えていった。のちに生まれた人間はそれを信じたが、だからこそ不公平を感じたんだ。自分たちが狭い土地で細々と暮らしているのに、魔族が我が物顔で歩いているのはおかしい、と』

「何それ。言いがかりじゃない。魔族は人間を助けて、自分たちの土地を譲ってあげたのに」

『だが分からなくもない考えだ。真実を知っていた人間達は黙したまま生を終え、子孫の人間は本当に何も知らずに育つ。理由もないのに小さな土地で押し込められるように育てば、不満を持つのは当然だろう』

「それは……」


 そうかもしれない。私達は、自分が不当だ、不公平だと感じると声を上げる。そこにどんな理由があるか、深く追及する前に。

 異世界の人間達も、似たような思考回路をしているらしい。過去に何があったのかより、目の前の不当な扱いの方がずっと気になる。


 「……でも人間は、魔力が濃い場所では生活しづらいんでしょう? だったら、安全な場所がそこしかないって知ればいいんじゃないの?」

『安全な場所は作れる。人間達は魔力の源泉の涸れ跡を見つけた。魔力は無限ではなく、源泉が涸れた土地なら人間が住めることに気付いたのだ』


 全ての技術を手放したとはいえ、知力が後退したわけではない。人間達は気づいてしまった。

 外の世界の危険は、取り除けるものだと。


 「もしかして、暴動とか起きたの……?」

『いや。彼らは魔族に力で挑むことはしなかった。もとより、自分たちの方が賢いという自負を持ち合わせていた。彼らは魔力の源泉を涸らすための研究を始めたんだ』


 人類は辛抱強く、魔力について研究した。

 危険を冒して魔力が満ちる魔族の土地へ赴いたり、時には魔族を捕らえて実験しようとすらしたという。

 魔族ははじめ、人類が何をしたいのか分からなかった。

 魔力が溢れる土地で倒れている人間を見つけては、人間が暮らす土地の近くまで送り届ける。

 余程、今の土地が窮屈なのだろうと、不憫に思うものさえいたそうだ。

 だが人間が研究の成果を見せた時、魔族は初めて人間を敵と認識した。

 彼らの生命線である魔力の源泉が涸らされ、人間は自分たちの生活圏を広げていった。行方不明になっていた魔族が実験に使われた成果だと知り、魔族たちは激高し、人間を嫌悪した。


『人間にも魔族にも、少なからず歩み寄ろうとする者はいた。話し合い、お互いを尊重して生きていく方法があるはずだと。――結局叶わず、人間と魔族の間の溝は深まっていくばかりだった』

 「でも、その……話を聞く限り、悪いのは人間じゃない? 魔族は全然、悪いことしてない」


 自分も人間なのに、人間が悪いというのは奇妙な感覚だった。世界が違う、第三者だから言えることだろう。

 

『確かにそうだった。だが、そうではなくなった。お前が言ったように、ほとんどの魔族がそう思っていた。自分たちは悪くない、人間が悪い、と。自らの大陸に住むことを許し、魔力を涸らしてまで土地を提供した。なのに何も知らずに鬱憤をため、好き勝手に自分たちの土地を荒らす人間が許せないと思うものが出た』


 はぁ、とディーはため息を吐いた。

 今夜、彼は何度ため息を吐いただろう。


 『結果として、魔族は人間を殺してしまった。人間はこれに怒り、団結して魔族を根絶することを誓って国が興った。人間を嫌った魔族が、皮肉にも人間達が団結するきっかけを与えたんだ』

 「でも、人間が先に、魔族を実験に使っていたんでしょう? それなのに自分たちが手を出されたら怒って魔族を滅ぼすっていうのは……」

『こういうものは、先も後も関係ない。一度でも手を下せば、その事実は取り消せない。報復が繰り返されるだけだ』

 「そ……うかもしれないけど。それでも、そんなのひどい……」


 ディーが魔族だからなのか。私は魔族に同情し、感情移入していた。

 彼らは何も悪いことをしていない。少なくとも、私の視点からは。人間が滅んだ方がよほど平和だったのでは、なんて思ってしまう。

 ディーがそんなこと望んでいないということが分かってしまっているから、言わないけど。


 「あ、それなら人間に本当のことを伝えればいいんじゃないの? 魔族が人間を受け入れて、人間は移住してきたんだって伝えれば……」


 人間が同じ轍を踏まないように、技術とともに葬られた真実。でも、人間が真実を知らないから暴走し、魔族のものである土地を奪い、魔族にも害を為すなら、真実を教えてしまえばいいのだ。

 そのあと人間が悔い改めるならそれでいいし、技術をまた利用しようとするなら、今度こそ本当に滅んでしまえばいい。

 私は異世界の人間に対して、全く優しい感情を持てなかった。

 あの世界で唯一知っている人間はピュールさん。彼に滅んでほしいとは思わない。彼のように優しい人も、たくさんいるのだろう。それでも、これまでの歴史の積み重ねが、私に偏った考え方をさせた。

 私の言い分に、ディーは緩く首を振った。どうして、と訴える私に、ディーは諦めたような笑みを浮かべた。


『私がこの話をしたのは、お前が二人目だ』

このあたりは区切りが難しくて、変なところで次に続くみたいなのが

多いです。読みにくくて申し訳ありません。

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