告白
こういう設定で話が書きたくて、勢いで始めたので、話数ごとに長さがバラバラです。
これがいちばん短いかな。
学校からの帰り道。隣を歩いていた幼馴染の歩調が、緩くなっていく。私は彼を追い抜かさないようにもっとゆっくりとした歩みに調整する。並んで歩いていた二人の距離が開いていく。勇輝が歩みを止めた。私も、三歩の距離を空けたところで足を止める。
「お前に伝えたいことがあるんだ」
来た! 私は思わず身構えた。待っていた瞬間が、遂に来た。
近々、告白されるかもしれないと思っていた。人生で初めての事。最近になって、勇輝を異性として意識し始めた私に断るという選択肢は初めからなくて、もし告白されたら、どう答えようかというシミュレーションだけを重ねていた。
『いいよ。試しに付き合ってみよう』
これだ。これでいく。何度も考えて思いついたアンサーだ。余計なことは言わずに、自然に答えることだけ考える。待ってました、という雰囲気は絶対に出さない。私もあんたが気になっていた、くらいの好意が伝わるように。
振り向いた勇輝が、まっすぐに私の目を見つめる。真剣な目。ときめきはなかったが、緊張していた。頬が紅潮していると、自分でも分かる。きっと、耳まで赤い。でもそれを、悟られたくない。
私が言っていいよ、のつもりで頷くと、勇輝も一つ、頷いた。
「俺……異世界で、勇者やってるんだ」
……。
「はっ?」
シミュレーションがぶっ飛んだ。いや、一瞬、意識も飛んだかも。
好きって言われるか、付き合ってくれって言われるか。それくらいしか想定してなかったし、答えは一個しか用意してなかった。
全然想定外だよ。何でそうなるの?
書きたいところを書くために書き始めたので、結構速足であっさり終わる予定です。