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異世界に来てまで

“蘭馬、まっすぐ素直に育ってね”

あの日母さんに言われた言葉が頭をよぎった。もしかしなくても走馬灯である。ごめんね母さん、若くしてそちらへ向かう俺を許してほしい。



目の前が真っ暗になり、誰かと誰かが言い争うような声が聞こえた。あれ?俺、生きてる?と思った直後、また意識が遠ざかるような感覚を覚える。


それからすぐだったのかしばらく経ったのかわからないが、気付くと知らない部屋で横たわっていた。

知らない天井だ、一度は言ってみたかったセリフを言う日が来るとは、と現実逃避をしているが実際どこなんだここ?背中にあたる冷たく硬い床の感触や、豪華な装飾がされている天井から考えると病院ではなさそうだ。


体を起こし周りを見渡すと俺と同じように横たわる何人か人間とそれを囲む兵士の様な人間。異様な光景に脳の処理が追いつかない。


「おお、目を覚ましたのですね!!」


声をかけられた方を見やると綺羅びやかな格好をした美女がいた。まるでビスクドールの様な容姿に見惚れていると他に倒れていた人達も続々と起き始めていた。妙に既視感のある人々を見やりながら声をかけてきた美女へと顔を向けなおした。


「急な事で混乱しているかと思いますが、あなた達をここバイアルトの地へ召喚させて頂きました」


衝撃の発言にドッキリ番組か何かかとカメラを探すが見当たらない。ならばと質問をしようした時、見覚えのある男子学生が声を上げた。


「召喚?なんだよそれ、急にこんなところに連れてきて。病院じゃないよな?ここ」


あ、バスに居たあの子かと思ったところでズキッと頭が痛んだ。脳が考える事を拒否しているようであった。

だが他の人間も見覚えのある人でまだ倒れてる男性や、その近くに座る女学生、男子学生のそばに立つ女学生にも見覚えがある。あのバスにいた運転手とおじいさんはいないようだ。


「ここはバイアルトにある、イキューナ王国です。あなた達の世界で言う異世界、という事になります。私はイキューナ王国王女のイキューナ・リリス3世。あなた達の召喚の責任者、とでも言っておきましょう」


何処か慣れたように説明をする美女、もといイキューナ・リリス3世。長いから王女でいいか。そんな王女が言うにはここは異世界で、俺達には壮大な使命があるらしい。ここに来ている時点で大きな力を与えられており、大きな力には責任が伴うのだとかなんだとか。だから運転手やおじいさんは来ていないのかなと考えていたところ、どうやら力の計測という名の鑑定を始めるとの事だった。



若いからかゲーム好きだからなのか知らないが学生達が我先にと鑑定を受けており、近くに居たサラリーマン風の男性も一緒に鑑定を受けていた。男子学生が職業がどう、とかスキルがどうとはしゃいでいたので、そういった内容が知られるのかと少しわくわくしながら鑑定を受けるため王女に近づいた。

王女の前に行くと指を少し切られ、滲んだ血を差し出された紙へと少し落とした。そうすると真っ白だった紙に何やら模様が浮かび上がる。兵士が鑑定紙を受け取り、青ざめた。


「どうされたのですか?早くその方の職業も聞かせてください」


聞かれた兵士は王女へと告げる。


「か、彼は無職です」


....え?ええええーーーー???!?


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