梅の精
朝もやがたち
紅い霞に覆われた道
梅の花香る山の裾野
その霞の膜の向こうに
うっすらと見える白い影
まるで影を護るように
空を舞った白布は
舞い降りた翼か羽衣か
紅い霞のその向こう
天女のようなその姿
神に封ずる舞のように
白装束は円を描き
舞う羽衣は螺旋を描き
霞を取り込み薄紅く染まり
天女の頬も薄紅く染まる
そのまま私の心ごと
彼女に惹きこまれそな時
優しく温かい一陣の風が
天女の螺旋に付き従うよう
紅い霞の膜を揺らした
飛沫が視界を曇らせると
気付いた時には天女はおらず
吹き抜けた風の向こう側から
女の微笑む声がした