魂
「おい、そこの悪魔、ちょっとこい!」
デイアはレフティの背中にいつの間にか、隠れている異形の者を指さした。
どうやら、異形のものはディアの事をうっすらと分かっているようで、恐怖で震えている。
「そもそも、あのばあさんが、こんなことやるきっかけを作ったのはお前だよな! おおかた、ばあさんの事がかわいいと、そんな理由だったんだろうが・・・・まあ、この際過去の事はいいか・・・・お前は魂を戻す方法知っているのか?」
異形のものはブンブンと激しく首を何度も横に振ってみせた。
「なんだ、知らないのかよ・・・・だけどこのままにしとくのは・・・・仕方ない、気が進まないけどな・・・・」
ディアは魔力封じの指輪の力を若干緩めて、魔力を解放した!ディアの体から、魔力があふれだした。
「ひええええええっ!」
レフティが何が何だかわからなかったが、体が激しく震えて、失禁してしまった。異形のものも、ディアの圧倒的魔力によって、先ほど以上に恐怖で硬直している。
「心配するな! 別にお前たちを殺そうって、わけじゃない! だけど゛・・・・ばあさんの方は魂取り除いたら、一気に年取って、死んでしまうこともあるのか・・・・わからん」
ディアは色々と考えてみたが、わからなかったので、取り合えず、やってみることにした!
ディアの体から出ている魔の力のオーラがレフティ、異形のもの、それに祭壇の鏡を通して神国のすべての鏡が置かれている教会や神都の神殿までも覆いつくした。
「これならいけそうだな!」
ディアは少々不安ではあったが、自身の魔の力でレフティに奪われた魂を一気に引き出し、神国中にばらまいた!
「ぎぃやあああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
レフティは自身から一気に大量の魂が強制的に取り除かれたことで、悲鳴を上げて倒れてしまった。
「やっぱり、ばあさん、死んだか?」
ディアが不安げにレフティの様子を見ると、どうやら気絶しているだけのようだ。
「ばあさん、てっきり干からびて死んでしまうかと思ったが・・・・」
レフティはディアの予想に反して美しいままの姿を保っていた。
「あれ、あの悪魔は・・・・」
異形のものの姿が消えてしまっていた! 気配はあるのでディアが周囲を見渡すと、異形のものは姿こそ変わらないが、手のひらに乗るくらいの小さなサイズになっていた。
どうやらもともとはこのくらいのサイズであったものが、少なからず魂のエネルギーを吸収して大きくなっていたようだ!
「おい、ばあさん! しっかりしろ!」
ディアがレフティを揺さぶって起こすと、彼女はゆっくりと目を覚ました。
「ひっひええええええっ!」
彼女は意識を取り戻すと、突然飛びあがったかと思うと、土下座のような体制で、ディアに平伏した!
「あ、あなた様は! あ、悪魔神様・・・・」
どうやら、レフティから魂を取り出す過程で、ディアの魔のオーラにふれて、彼女はディアの事が分かってしまったようだ。異形のものも、その小さな体でレフティと全く同じ体制で平伏していた。
「・・・・」
「そういうのいいから・・・・」
ディアはその態度の変わりように、呆れてしまった。
「ききたいことがあるんだけど、ばあさんから、魂すべて抜いたはずなんだけど、どうして、前の姿のまま、元気なんだ?」
「は、ははーっ」
レフティは平伏したまま答えた。
「おそらくでは、ございますが・・・・もう亡くなってしまっている国民の魂のエネルギーは、まだ私の中にあるようでございます・・・・」
ディアはその話を聞いて、レフティのオーラをみてみた。なるほど、彼女からは通常の人間ではありえない量のエネルギーが感じられた。
「この分じゃ、新しい魂なんかなくても数千年は楽に生きられるな・・・・」
ディアは、なんだか、どっと疲れた気がしたのであった。




