大教祖
「あなただったのか!」
ディアの前には一人の美しい若い女性がたっていた。彼女の髪は金色に光り、肌は雪の様に白く透き通っていた。これまでディアが出あった女性の中で悪魔であるシャーリーを除けば、これほどまでに美しい女性をディアは見たことがなかった。
「そなたは、なぜこの部屋で自由に動くことができるのじゃ!」
美しい顔の眉間にしわを寄せて彼女はディアに問いかけた。
「それは、私にもわかりません・・・・それよりもなぜあなたはこんなことを・・・・レフティ!」
今度はディアが問いかけた。
「ふふふ、こんなこととは何を言っておるのかわからぬが、どのみちそなたもこの部屋におる、そこの二人もこの部屋に入った時点で終わっておるのじゃ! 後ろを見てみろ!」
レフティの前には先ほど鏡に戻ろうとしていた異形のものが、再び姿を現していた。
「この低級の魔物ふぜいが、どうかしたというのでしょうか?」
ディアは振り返ることなく話を続けた!
「この国では悪魔神とか言うものを信仰していると聞きましたが、まさか、これの事を言っておられるのか?」
「ははっははは! お前は何も分かっておらぬわ! それはこの国の教会にある魔の鏡の中を徘徊しておる悪魔にすぎぬ!」
レフティはさらに話を続けた。
「どうせ、そなたたちは、これで終わりじゃ! 面白い話を聞かせてやろう!」
レフティはそういうと、祭壇の鏡の方にゆっくりと歩き出した。
「この鏡は魔の鏡といってなこの国のすべての教会の地下と、神都の神殿の地下にある・・・・これがどういう意味か分かるか?」
レフティはディアに問いかけた。
「この国の各教会と神都はその鏡によって繋がっている・・・・ということですか・・・・」
ディアは、何とかペスタを元に戻すための方法を探ろうとそれらしい態度を心掛けた。
「いったい、何隠してるんだ! 教えてくれるんなら、さっさと話してほしい!」
ディアは心の声が漏れないように、必死だった。
「そうじゃ、褒めてやるぞ! ハハハハ・・・・そしてこの悪魔が悪魔神様のために出家したものの魂の一部を集めて神都に運んでおるのじゃ!」
レフティは悪魔の頭をやさしくなでている! 悪魔も嬉しそうにレフティに寄り添っている。
「また悪魔神って、オレはそんなこと頼んでないぞ!」
ディアは、つい本音を言ってしまいそうなところを、必死で抑えた!
「悪魔神というのは、どこにおられるのですか?」
「ははははっ、神がおわすところなど一つに決まっているではないか!」
そういうとレフティは右手を天にかざして一刺し指を建てた。
「神というのは天界におられるのだ! 何を馬鹿なことを! ははははっ」
「先ほど、あなたは悪魔神様のために魂を集めているといいました! あったこともない悪魔神様があなたに魂を集めて欲しいとでも、あなたにいったのですか?」
ディアはかなりイラついている。
「さっきから、何を言っておるのだ! まだわからぬのか! わららはこの国を作り、数百年間この国を治め続けておるレフティ大教祖である!」
レフティは自らが偉いのだといいたいのか、精一杯胸を張った。
「それが何か?」
大教祖と明かしても、ディアの態度はそっけなかった。それを見て、今度はレフティの方がイラついていた。
「悪魔神様を絶対神と崇めるこの国を治めるわらわのために、魂をささげること、これすなわち悪魔神様の御意思なのじゃ!」
レフティはどうだとばかりに言い放った。
「なんだ、結局お前は、悪魔神を見たこともないし、何も知らないのに、勝手に利用したというわけか!」
ディアはふつふつと怒りがわいてきていた。




